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■オペレータ支援

2019年1月14日 (月)

642keV Gamma-rays


(2012年6月に、ゲルマニウム半導体検出器を導入して以来、この装置で検出される 不明核種を解明してきました。1つだけどうしても不明だったのが、641keVのピークでした。知人から参考情報が来たのでメモしておきます。 K大学の原子炉研究所の研究者だった方から教えて頂いたリストにも無い核種です。 一ノ瀬)

642keV Gamma-rays

memo)

 

 

Prompt γ-rays from neutron interaction in 235U and resonance spin assignments

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H.WeigmannJ.WinterM.Heske

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https://doi.org/10.1016/0375-9474(69)90019-0

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Abstract

 

 

Prompt γ-ray spectra from individual resonances in 235U+n have been measured using a Ge(Li) detector and the CBNM linear accelerator as a pulsed neutron source. Whereas the spectra show very little structure at high γ-ray energies, several distinct lines have been observed in the range 250 keV < Eγ < 1.5 MeV. By comparison of the spectra from resonances with strongly different capture-to-fission ratios decision is possible between γ-rays associated with capture or fission. Resonance spin assignments are made on the basis of the relative strength of the 642 keV γ-ray de-exciting the 2 level at 687 keV in 236U.

 

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0375947469900190

 

 

Thaks to Takaoka

2018年3月 8日 (木)

Tips ガンマ線エネルギースペクトルの中に、不明核種が見つかり調査したい時

ガンマ線エネルギースペクトルの中に、不明核種が見つかり調査したい時:

http://wwwndc.jaea.go.jp/NuC/sbygame.html

核種が判明している場合に、その核種が出すスペクトルを一覧で見たい時:

http://nucleardata.nuclear.lu.se/toi/radSearch.asp

K先生に感謝。

2014年3月29日 (土)

Sr-90測定に関するまとめ 品川区学校給食Sr-90測定開始記念

Sr-90測定に関するまとめ

品川区の学校給食の放射性ストロンチウムを計測する動きは本当に快挙だと思います。

品川区の区民のみなさんの地道なご尽力に心から敬意を表します。

記念して^^)

Sr-90関連、自分のメモ用にちょっと整理しました。

(誤記等お気づきの点ございましたらお手数ですがお知らせください。)

■Sr-90関連ニュース

・2011.7横浜市のマンション屋上からストロンチウム90が検出されて話題になった。(*1)

 測定結果は、Sr-90 : 195 [Bq/kg]

・測定者は、民間機関「同位体研究所」。3M(スリーエム)社製RadDisk-Srを使用。

・3M社製RadDisk-Srを用いた測定では、土壌検査の場合、Pb-210の混入を回避できない恐れがある。(*2)

・文部科学省は、この横浜マンションの民間機関の測定結果に対して、(同一検体の検証はせずに)世田谷区の土壌の検査を別の測定機関(日本分析センター)で行った。

・測定方法は、RadDisk-Srではなく、放射平衡を使う従来法(*3)。

その結果、「Sr-89は検出されず、Sr-90は、最大でも1.1Bq/kgであった」ことから、「Sr-89が検出されないので、福島 第一原子力発電所の事故に伴い、新たに沈着したとは言えない。」「事故発生前からSr-90:~30Bq/kgは範囲内」とコメントした。

(文部科学省ホームページ:平成23年11月24日)(*4)

・しかし、世田谷区で2011年3月に「都立産業技術研究センターで大気を採取し、浮遊物質の詳細検査」した結果から、Sr-89が検出された。このため、文部科学省は、「ストロンチウム89は半減期が50日と短いため、原発事故由来とみられる。」とコメントした。

(読売新聞:2011年12月26日)(*5)

・東京大学の小豆川氏が従来法(放射平衡を待ってY-90のベータ線量で定量する方法)を使って、この問題に決着を付けた。Sr-90は、85 Bq/kg(Yokohama)、35 Bq/kg (Kashiwa)だった。(*6)(*7)

・以上をまとめると、土壌中のSr-90をスリーエム社のラドディスク(商品名エムポア)を使って測定すると放射性鉛210(Pb-210) を放射性セシウム90(Sr-90)として誤認する可能性があるが、「福島第一原発事故により横浜市までSr-90が飛んできた」ことは間違い無いと言える。

■現在の測定体制

・水産庁

http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html

水産庁が海洋生物のSr調査を定期的にやっている。ただし、その点数は非常に限られている。最新の一覧表は以下のとおり。

[H26.3.13 更新]

http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/pdf/result_strontium_140313.pdf

※過去の最大濃度は、#10 シロメバル H24.3.9

Sr-90:1.2、Sr-89:0.45、Cs-134:380、Cs-137:580 [Bq/kg]

・民間機関

北海道の民間企業「ホワイトフード」社が導入して販売自社食品に含まれるSr-90の測定を行っている。

・市民活動

2013年7月に採取した東京電力福島第一原子力発電所構内の観測井戸水から500万Bq/kgのSr-90が検出された。(*8)

これを受けて「豊かな三陸の海を守る会」他団体が、 平成26年2月28日 安倍総理大臣に要請書を出した。(*9)

「ストロンチウム90に係る福島周辺海域の調査と水産食品の摂取制限濃度制定を求めます」

・品川区の動き (New!)

品川区で、学校給食の放射性ストロンチウムの濃度測定が始まるとのことです。

http://yashiochildren.wordpress.com/

http://yashiochildren.wordpress.com/2014/03/28/品川区!全国で始めて!!給食食材検査にストロ/

「1校あたり年に2回はセシウム検査、1回はストロンチウム検査が行われるようです。」「検出下限値については、極限まで下げて欲しいと検査機関へ交渉して下さっています!」

twitter:

https://twitter.com/gurannymama/status/449443268665671680

補足)3M RadDisk と 3M エムポア

3M のStrontium RAD Disks 商品名 "Empore"  エムポア

商品一覧

Empore

※「ホワイトフード」社の機種は、3Mエムポアとかいてありますので、このまとめにおいて、横浜マンションで検出された最初の測定方法(同位体研究所の)RadDisk-Srと恐らく同じ測定方法のようです。

※初出(facebook *10)に、小豆川先生からコメントを頂きました。RadDisk法でも「食品系なら何とかいけるかな...とは思いますが、」とのことです。

同位体研究所が自ら解説していますが、Pb-210を含む土壌などはRadDiskは苦手のようです。

■追記(2014.4.20)

品川区 ホームページ

http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/menu000015500/hpg000015414.htm

トップページ > ライフステージ別ガイド > 学校 > 学校生活 > 学校給食の放射性物質検査の結果について

学校給食の放射性物質検査の結果について
更新日:2014年4月17日

品川区では、平成23年11月から区立小中学校で使用する給食用食材の放射性物質検査を開始しました。
平成23年度は、隔週に1校ずつ、その日の給食食材から米・野菜・果物等の5検体を選び、専門機関に検査を委託する方法で実施していましたが、平成24年度からは、飲用牛乳を除く給食1食分を1週間分まとめて、専門機関に検査を委託する方法に変更して実施しています。
平成26年度については、1校あたり年間2回の検査を予定しています。さらに、1校あたり年間1回のストロンチウム検査を予定しています。
原則として、月曜日から金曜日に検体を採取し、翌週の月曜日に検体を回収して検査し、金曜日に検査結果を区のホームページで公表する予定です。ただし、ストロンチウム検査結果の公表は、翌週になる予定です。


■追記(2014.4.20b)
http://ameblo.jp/amashimama/entry-11810857908.html

愛知県のママさんがカンパを集めてストロンチウムを計測した。
放射能から子どもを守りたいママの会・あま市

■追記(2014.6.27)
水生生物中の放射性ストロンチウム調査結果まとめ(pdf)
http://konstantin.cocolog-nifty.com/blog/files/Sr_suisei.pdf
( @Kontan_Bigcatさんに感謝。)

参考資料)

(*1)横浜でストロンチウム検出 100キロ圏外では初

2011年10月12日3時32分 朝日新聞

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201110110626.html

(*2)

同位体研究所発表 111125
固相抽出法による放射性ストロンチウムの分析に関する発表

http://www.radio-isotope.jp/_src/sc242/Sr9091AA92E8_94AD955C111125.pdf

(*3)

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/pdf_series_index.html

放射性ストロンチウム分析法

「全ベータ放射能測定法」

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/No1.pdf

(*4)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/017/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/12/13/1314201_2_1.pdf

平成23年11月24日

横浜市が採取した堆積物及び堆積物の採取箇所の周辺土壌の核種分析の結果について

文部科学省 原子力災害対策支援本部 モニタリング班

「福島第一原子力発電所の事故の影響を判断するために必要なストロンチウム89(半減期、50.53日)が検出されなかったことから、放射性ストロンチウムについては、福島第一原子力発電所の事故に伴い、新たに沈着したとは言えない。」

「なお、今回検出されたストロンチウム90の測定値は、いずれも、事故発生前(平成11年度~21年度)に全国で観測されたストロンチウム90の測定値(検出下限値~30Bq/kg)の範囲内に入るレベルであった。」

(*5)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111226-OYT1T00825.htm

世田谷で原発由来ストロンチウム89…3月採取

「文部科学省によると、ストロンチウム89が検出されるのは関東地方では初めて。」

「ストロンチウム89は半減期が50日と短いため、原発事故由来とみられる。」

(読売新聞 2011年12月26日)

(*6)小豆川氏の論文

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0057760

(*7) 

https://twitter.com/ichinoseshu/status/448687364055896064

岩波書店科学Apr.2014 vol.84 No.4 pp0373-0377 小豆川勝見氏(1) 2011年横浜マンション屋上で検出されたSr-90定量にてPb-210が一部混入していた問題、(2) 2013年福島第一原発内の地下水観測孔の全ベータ放射能の数え落とし問題を解説。

(*8)昨年7月採取した観測井戸水から500万Bq/kgのSr-90検出

http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2014/02/post-e0df.html

(*9)「豊かな三陸の海を守る会」要請書

http://2011shinsai.info/node/5161

(*10) 初出

https://www.facebook.com/ichinoseshu/posts/609123749177459?stream_ref=10


2014年1月20日 (月)

土壌をゲルマでクロスチェックする際の誤差要因の推定

同一検体(土壌)をNaIシンチレーション式ガンマ線スペクトロメータと、ゲルマニウム半導体検出器で測定した場合に、測定結果が異なる時の要因を推定します。 3つ、要因が考えられます。

1.校正誤差

放射能測定装置メーカーは、「標準線源」を使って放射能を校正しています。この校正の誤差の影響で、同じ検体を計測したにもかかわらず、差が現れます。ただし、この校正誤差の場合は、一定して同じ傾向(例えば、NaIよりも、Geの結 果が、約1.2倍になる、など)となるはずです。

2.土壌の乾燥

クロスチェックの測定時期が、数ヶ月以上離れています。 この場合、土壌の乾燥状態が、誤差要因になります。 放射能の測定結果は、Bq/kg という放射性物質(Cs)濃度で表示されます。土壌の乾燥が進み、軽く(密度が低く)なった場合、同じ検体であっても、相対的に測定結果が高くなる方向に誤差が出ます。

 

3.放射性物質の偏在

数Bq/kg程度の濃度であった場合は、放射性物質の偏在が誤差要因になります。 例えば、東京電力福島第一原子力発電所から降下した時点では、放射性セシウム のエアロゾルの粒子は、直径1μm以下であったと言われています。 仮に、直径が1μmと仮定し、全てが高純度の放射性セシウム137と仮定する と、1粒の放射能は、3.2ベクレルとなります。

もし、土壌の測定結果が、3.2Bq/kgとした場合、1kgの土壌の中に一粒だ け、放射性セシウム137が存在することになります。この放射性セシウム粒子が測定容器の中のどこに有るのかによって、測定結果(センサ体積体への有効放射効率)が異なります。 1.の校正作業は、本来、容器体積の中に平均して放射性物質が存在することを仮定しています。そのため、もし、1粒だけの放射性セシウムが、容器の中の位置関係において、センサのすぐ近くに有れば、放射能測定値は大きく出ます。逆に、容器の縁(センサから最も遠い位置)に粒子が有れば、放射能測定値は小さ い値となります。

従って、クロスチェックは、できれば、低濃度になるほど、同一容器を使って、 検体を詰め直すことなく、そのままの状態で測定することで誤差要因を抑えることができます。

以上

<参考>
直径Φ1μmの放射性セシウム137の放射能は何ベクレルか?
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/06/post-5622.html

風に乗って長い距離を運ばれる放射性セシウムの存在形態
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20120731/nr20120731.html

山田崇裕「放射線計測の信頼性について」
(page-21/37)
体積線源に対するGe検出器の計数効率
https://www.nmij.jp/public/event/2011/forum2011/presentation/yamada.pdf

2013年10月19日 (土)

デジカメのノイズと放射能測定結果の誤差の話題

デジカメのノイズと放射能測定結果の誤差の話題

今回は、誤差の話です。

燕山荘から見た松本市の夜景
:
携帯電話(iPhone5)のカメラで撮ったこの夜景写真のノイズについて考えてみます。そして、デジタルカメラのノイズの話題と食品放射能測定値の誤差の話を繋げてみようと思います。

ゲルマニウム半導体検出器で測った食材の放射性セシウム濃度の測定結果を見る機会があったら是非良く数字を見てください。

例えば、こんな感じ、
Cs-137: 2.0 ±0.4 Bq/kg
Cs-134: 1.0 ±0.3 Bq/kg

この±の右側にある、0.4 や0.3 についてのお話です。


□■□

もし貴方が体重計に乗った時、

48 ± 8 kg

と表示されていたとしたら、理解できるでしょうか?誤差の考え方からすると、次の表現となります。


貴方の体重は
A: 40〜56kgの間です。
B: 32〜64kgの間です。
C: 24〜72kgの間です。

Aの確率は、68.3%
Bの確率は、95.4%
Cの確率は、99.7%



まあこんな体重計は使い物になりません(^^)

□■□

先のゲルマの測定結果は日常生活の感触でいえば、このように、「使い物に成らない体重計の誤差」程度で、セシウムが有った無かったを議論しています。
覚えておけば良いのは、Cのランクで判定する事です。

例えば、
Cs-137: 2.0 ±0.4 Bq/kg
Cs-134: 1.0 ±0.3 Bq/kg

であれば、

±の右の数字を3倍して「足す」
Cs-137: 3.2 Bq/kg ( = 2.0 + 3 * 0.4 )
Cs-134: 1.9 Bq/kg ( =  1.0 + 3 * 0.3 )

同じく、±の右の数字を3倍して「引く」
Cs-137: 0.8 Bq/kg  ( = 2.0 - 3 * 0.4 )
Cs-134: 0.1 Bq/kg ( =  1.0 - 3 * 0.3 )
となります。


ーーーーー
逆にいえば、もし、以下のような放射能測定データがあったとしたらとしたらどうでしょうか。

Cs-137: 2.0 ±1.5 Bq/kg
Cs-134: 1.0 ±0.8 Bq/kg

これは、かなり慎重に判定しないといけません。
何故なら、測定結果は、±の右の数字(誤差とか、σシグマとか、標準偏差とか呼びます)とほぼ一緒の値だからです。例えば、-3σを計算してみますと、負の値つまり、放射性セシウムが、全く存在しない、可能性もある測定結果だからです。

( 2.0 - 3* 1.5 = -2.5 )
( 1.0 - 3 * 0.8 = -1.4 )

□■□

日常生活でも、実はこの程度の誤差の世界に触れる機会があります。

それが薄明や日没後の夕暮れや夜景写真です。


写真が撮れる原理を復習します。
写真は、構図、ピント、露出が決め手です。
露出は、「ISO感度」、「シャッター速度」、「絞り」で決まります。
ISO(イソ)感度は次の定義でした(デジタルの時代になってもっと複雑だけど基本の考えは一緒)。
「晴天時、シャッター速度:1/125秒、絞り:11で適正露光となるフィルムがISO感度100」

これは光量計算すると、フィルムの上で、照度が幾つか計算できます。

(※)デジタルカメラの時代になって、センサの寸法が分かれば、センサがどの程度の光を蓄積してるのか計算できます。

具体的に数字で追って見ましょう。

(※ 照度ルックスは、ルーメン/m^2。555nmの光なら680 ルーメンで1ワット。アインシュタインの式から、555nmの光子1ケのエネルギー(J:ジュール)が計算できますので、単位面積あたりの光子数を求めることができます。)

□■□

初代iPhone3GSに搭載されたカメラの画素数は、200万画素でした。画素というのは、絵を構成する点の数。
最近モザイクアートというのがあります。集団で絵を表現する時一個一個は単色ですが、遠くから全体をみると、絵になっている、アレ。この一つを画素(pixel)と呼びます。

例えば、200万画素のデジタルカメラの場合では、縦横それぞれの辺に沿って、1800 画素 x 1200 画素 が格子状に並んでいます。(厳密に計算すると216万画素です。)

センサーは一つの画素当たり貯めることのできる光量が決まっています。それ以上の光を入れても溢れ出てしまうだけ。更に、「光」は粒子として数えることができます。

一個一個の光の粒を光子と呼びます。

ミツコ ではなく、コウシ と読みます(^^)

それはちょうどバケツに「ビー球」(びーだま)を入れるのに似ています。高級一眼レフデジカメのセンサーでも、一つの画素に入れられる光子の数は高々、3万個程度です。


(※)つまり、例えれば、バケツに3万個のビー玉を入れて、それを200万個バケツを集めて、1800 x 1200の格子に沿って綺麗に並べてる。これがデジタルカメラ(携帯電話のカメラ)と言えます。

(※高々、3万個程度: 印刷会社向け最高級CCD式イメージスキャナ用に開発したKodakのセンサで、かつて、100万個の光子(正確には、電荷量)を蓄積できるセンサが有りました。)


□■□

さて、話を分かりやすくするために、3万個を25,500個ということにしておきます。
年賀状でデジカメ写真を加工したことの有る人は、写真の明暗が幾つの段階で表現されてるかご存知かもしれません。答えは、0-255の256段階です。赤、緑 、青の色毎にこの濃淡があり、これらの値が、撮影された画像ファイルとして、カメラの(携帯電話の)SDメモリーに保存されます。


ここで255とは何かというと、

その画素に光子が25500個溜まった(*2)と言う意味です。
ただしこれは最高級一眼レフデジカメの話です。スマートフォン(iPhone)のカメラはそうは行きません。1/10程度です。(35mmセンサが3.5mmになり画素数が1/10になれば画素面積は1/10)
よって、

255という値を画像ファイルのデータとして保存されたということは2550個の光子がその画素に溜まった。ということになります。

つまり、
255とは2550個の光子が溜まった。


以下同様にして、

128とは1280個の光子が溜まった。

10とは100個の光子が溜まった。

1とは10個の光子が溜まった。

ってことになります。

〜〜〜〜〜

1800 x 1200 の格子状に並べられたバケツ 200万個に、それぞれ、ビー玉が入っている状態をイメージしてください。
溢れる程入れると、2550個。
全く入っていないと、空。
そうした状態で並んでいると想像してみてください。

□■□

ここでいよいよ誤差の原因の話です。

10の値の時には、100個の光子がその画素に溜まっているのですが、実は、自然現象ですのでこの数には必ず「揺らぎ」があります。


100個が「真」の値である場合、ある時は100個ある時は90個ある時は110個という具合です。

この揺らぎに起因するノイズ成分の事をデジタルカメラやイメージスキャナの世界では、「光ショットノイズ」と言います。
より一般用語では、こうした揺らぎの由来となる自然現象を「ポアソン分布」と呼んでいます。
「ポアソン分布」において、1つの画素に溜まった光子の数として、100個が「真」の値とした時に、どのくらい揺らぐのかは、「平方根」で決まります。

平方根(100)=10

(iPhone持ってる人は計算機にして横長にひっくり返して100 √ とボタン押してください。)

どんなにセンサの感度を上げ、どんなに技術革新によってノイズを下げたとしても、どうしても取り切れないノイズが、このポアソン分布由来のノイズとなります。

よって、この場合の「誤差」は、

100 ±10 個

ってことになります。
つまり、「

値に対して、1割が揺らいでいる」

訳です。

さっきのセンサの値に戻すと、

10とは100個の光子が溜まった。
訳ですから、
空の明るさが 10 だったら、その1割、1だけ揺らいでいる。

それを誤差表記すると、

10±1

ってことになります。

3σまで考えると、
10 + 3 * 1 = 13
10 - 3 * 1 = 7
となります。

よって、デジカメの値は、7~13までの任意の値を取るわけです。

本来は一定の色であるべき場所が、RGBのカラフルな偽色のある非常にノイジーな画像になる。

7,8,9,1011,12,13の何れかの値に揺らいでる。

これが、本日の最初に出した夜景写真の偽色

(本来黒、青、オレンジの連続色だったはずなのに、ブツブツと偽色の空となっている)の原因です。

(以下宿題^^)
さて、では殆ど真っ暗で、
値が1だった夜景の空はどのくらい値が揺らいでいるでしょうか?
これが今日の宿題です。
(この記事の最後に宿題の答えが有ります。)


□■□


宿題はお任せして(^^)
誤差の話に少し戻ります。

中学3年のお子さんを持った経験があれば、「偏差値」って聞いた事が有ると思います。
偏差値とは、テスト結果から得点を分類して、50点±10点に当てはめ直した点数です。テストの難易度、受験生の賢さ、に関わりなく、まず平均値を50点に強制的にシフトする。そして次に、集団の68.3%の人数を平均値の±10点の範囲に入るように、平均点からのハズレ程度を比例的に修正(拡大、もしくは縮小)する。
そうした操作をした結果、

偏差値50±10点:40点〜60点の範囲に、全受験者の68.3%が含まれる。
偏差値50±20点:30点〜70点の範囲に、全受験者の95.4%が含まれる。
偏差値50±30点:20点〜80点の範囲に、全受験者の99.7%が含まれる。

ということになります。


例えば、偏差値80点以上ともしくは、偏差値20点未満を取る者は全集団の内の0.3%(100-99.7%)しかいない。ということになります。


なので、誤差の3倍で判定した放射能測定結果を説明する時にこんな言い方が可能です。
Q: 放射性セシウムのこの測定値はどれ位信用できますか?
A:貴方が偏差値80点以上や、偏差値20点未満を取った事の無い人に出会う頻度で信用できます。

□■□


ゲルマニウム半導体検出器の場合、検出しているものは、光子ではなく、ガンマ線ですが、実は、挙動としては全く同様です。(*1)
つまり、1ケ、2ケとガンマ線は数えることができます。
サーベイメータやGM管で、音が鳴っているのを聞いたことがあると思いますが、あの音が、ガンマ線がセンサに入射した1つ1つを捕らえていることを意味します。

放射能測定結果が、誤差を含み

Cs-137: 2.0 ±0.4 Bq/kg
Cs-134: 1.0 ±0.3 Bq/kg

と言った表記をする理由は、先ほどのデジタルカメラの夜景の暗いところのノイズと全く同じ現象であり、「ポアソン分布」由来の揺らぎが有るためである。ということができます。

□■□

宿題の答え

Q:値が1だった夜景の空はどのくらい値が揺らいでいるでしょうか?

A:1とは10個の光子が溜まった。

いうことですので、10個の光子の揺らぎをまず計算します。

√(10) = 3.16

よって、

10±3 個

+3σは
10 + 3 * 3 = 19
-3σは
10 - 3 * 3 = 1

よって、

光子の数は、
1,2,3,4,5,6,7,8,9,1011,12,13,14,15,16,17,18,19

の値の範囲の任意の個数に揺らぎます。

これは、撮影したデジカメの画像ファイルの値としては、10個の光子の時に、値1になる関係ですので、

1~4が、0
5~14が、1
15~19が、2

となります。

従って、画像ファイルの暗部の値は、0,1,2のいずれかの値に揺らぎます。
これは、Red,Green,Blueのそれぞれの色の画素について、ランダムに揺らぎます。

そのため、本来は、殆ど

黒(R,G,B=1,1,1)

で有るべき場所が有ったとした時を考えることにします。
揺らぎのために、例えば、

(R,G,B= 1,0,0)となった場所は、赤い点になります。同様に、
(R,G,B= 0,1,0)の場合は、緑の点、
(R,G,B= 0,0,1)の場合は、青の点、となります。

これらの結果が、暗部において、カラフルな不均一な偽色の原因となります。

□■□

(*1) 正式には、ガンマ線も可視光と同じ、電磁波の一種であり電磁波の持つ光エネルギーの量子性(粒として観察される)の観点では、ガンマ線も光子です。

(*2)「画素に光子が25500個溜まった」
デジカメなどに使われている光センサは、シリコン半導体を使って入射した光子1つに対して、1子の電子を発生させます。従って具体的に溜まるのは「電子」です。

おまけ
槍ヶ岳と金星(これもiPhone5)

2013年8月28日 (水)

放射性セシウム134の光子エネルギースペクトル

[注意:この記事は、TechnoAP 社製 ゲルマニウム半導体検出器(TG-150B)の判定した核種一覧表を読み取る上での留意点です。]

放射性セシウム134の光子エネルギースペクトルについて解説します。

土壌などの検査結果にて、Cs-134の総合判定では不検出(ND)と判定されているにも関わらず、核種一覧表にて個別のスペクトルを確認すると、表中には、Cs-134と誤判定されているスペクトルの存在する場合があります。
この記事では、その主な要因である Ac-228 の光子エネルギースペクトルと比較しながら解説をします。

 

土壌などの測定において、放射性セシウム134の判定がND(不検出)であるにも関わらず、核種一覧表では、Cs-134の核種名がリストされる場合があります。

[ゲルマニウム半導体検出器による核種一覧表に現れる偽りのCs-134]
Cs-134 : 563.0 keV
Cs-134 : 796.0 keV

■それでも Cs-134 が不検出である理由

まず、Cs-134の放出するガンマ線の光子エネルギースペクトルの全一覧は以下の通りです。
lg(%) は、放出率で、この値が大きい順番でスペクトルの山の高さが現れます。
Eg(keV) と lg(%)の間にある斜体の数字:
例えば、
242.738 8 0.027 3
の斜体数字 8 3 は「無視」をして
242.738  0.027のみに注目して表を読んで下さい。



http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/cs134.png

出典:http://ie.lbl.gov/toi/radSearch.asp

つまり、Cs-134は、
(1)97.62% → 604.721keV
(2)85.53%→ 795.864 keV
(3)15.38%→ 569.3 keV
(4)  8.69%→ 801.953 keV
(5)  8.35%→ 563.246 keV
の順番でスペクトルの山が現れます。

もし、放出率(%)が、第(5)位の563keV、第(2)位の796keVのみにスペクトルの山が発生して、第(1)位の605keVに山が発生しない場合、この核種は、Cs−134では無いと判断します。(不検出)

■ Ac-228 である可能性
それでは、

Cs-134 : 563.0 keV
Cs-134 : 796.0 keV

この核種一覧表で、誤判定した不明核種が一体何かです。

土壌には様々な天然由来の核種が存在します。その中でトリウム系列のAc-228は、代表的な核種です。このAc-228のエネルギーを調べると、ちょうど同じ場所にスペクトルが存在します。

562.500 / 0.87
794.947 / 4.25

以上より、この光子エネルギーを放出している核種は、Ac-228であると推定します。

一方、Ac-228は、Cs-134の第1位のエネルギー 604.721keV 近傍にて、
光子エネルギーを持っていません。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/ac228b.png

従って、もし、検体中に、Ac-228とCs-134が混在していても、最終判定にて、Cs-134と誤判定する心配は無いことになります。

関連記事:

核種一覧表の見方

2013年7月27日 (土)

今現在も破損した原子炉から湯気が出ている状況で、2011.3.15に放出された放射性セシウム134と137の比率による推定方法は有効か?

放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率を用いて測定結果を検証する提案を続けています(*1)。

例えば、(市民測定所を含む)放射能測定機関が測定方法の精度を検証する手段として利用したり、「そのCsはどこからやってきたものか」という由来の推定に用いることができます。

最近、こうした(主旨の)質問を頂きました。

1.質問
・放射性セシウムによる汚染は、2011.3.15に放出された放射性セシウム以外にも有るのではないか?
・例えば、今現在も、破損した原子力発電所の原子炉から湯気が出ていることが報告されている。これらが全国に放射性物質としてまき散らかされているのではないか?
・原子炉の中では、核反応が続いていて、それがCsの比率に影響するのではないか?

2.結論
現在入手できる公開資料での推定と結論は以下の通りです。
今回は、計算シミュレーションとして、東京都のデータを使いました。

(1)公開されている東京都の過去の月毎の降下量は、2011.3が最大で、それ以降(2012年以降)では、2013.3が直近では最大値である。

(2)直近の最大値である2013.3の量が、もし過去28ヶ月にわたって毎月降り続いていたと仮定しても、その総和は、2011.3の1ヶ月に降下した量の1/8以下であり全体に占める、2011.3以外の降下物の量の相対的な影響は低い。

(2)また、その2013.3について注目するとそのCsの比率は推定値通りである。(99.7%精度)。Cs比率が推定値通りのCs-134とCs-137が、どんなに降り積もってもその積算によるCs比率は、推定値通りとなる。
(男女比1:1のグループがどんなに多く集合しても常に1:1となるように。)

従って、高い精度で、Cs比率による推定は有効であると思われる。

3.データと解析

3−1.全国
環境放射能水準調査結果 全都道府県の2011年3月の月間降下物
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2013/04/post-2c27.html

3−2.東京都
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2013/05/20113-96a0.html

Cs-137:  8100 Bq/m^2
Cs-134:  8500 Bq/m^2
合算値で見ると、東京都は、2011年3月に16,600Bq/m^2。

ここまでがまず基本データ。

4.2011年3月以降の降下量

4−1.2011.3と2013.3の量の比較
http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/mon_fallout_data_1month.html
ここに1ヶ月毎の降下量が発表されています。
2011/03/01 - 2011/04/01
・・
2013/06/03 - 2013/07/01

表の判定
Cs-137のみに注目します。
28ヶ月で、2012年以降
2011/03/01 - 2011/04/01 の8100
以外の最大値は、2013/03/01 - 2013/04/01 の42
(PM2.5をTVや新聞が拡散した時期ですね。)
もし28ヶ月全てが42であったとしても、その総和は、8100を超えませんので、
(42*28=1176<<8100, 16%程度)
主たる要因は、2011.3で決まっていると判断して良いと思います。

4−2.2013.3に降下した放射性セシウムの比率

2011年以降(2012年以降で)最大は、
2013/03/01 - 2013/04/01
で、
Cs-134/Cs-137: 22/42 Bq/m^2
でした。

Cs比率は
(22/42=0.524, 理論値 2013/04/01で、0.5271,差は、0.524/0.527=0.994)
であって、99.4%の精度で推定通りでした。

(参考)
(*1)放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/04/post-1d72.html

2013年6月 7日 (金)

【iSHL 実験報告】国産麦茶飲料の放射性セシウム抽出率の測定

【iSHL 実験報告】 国産麦茶飲料の放射性セシウム移行係数抽出率の測定
[2013.6.7]

1.目的
放射性セシウムに汚染された麦茶原料から、お湯で抽出して麦茶を入れた際に、麦茶原料から、麦茶飲料に移行抽出する放射性セシウムの比率(移行係数抽出率)を計測する。

2.方法

麦茶投入量:2リットルのお湯に麦茶を200g投入した。(規定では35g/2L)
抽出時間:沸騰したお湯に麦茶原料を投入し、3分経過後にガスの火を止め、そのまま約30分間放置した。(規定では、2〜3分後に火を止める。放置時間の記載無し。)
フィルタ:スレンレス篩で漉し、麦茶飲料用とした。(*1)
放射能測定装置:ゲルマニウム半導体検出器(TechnoAP社製 TG150B)

3.結果

[A]抽出前

Cs:24.4+-2.8 [Bq/kg]
Cs-137:16.3+-1.5 [Bq/kg]
Cs-134:8.1+-1.3 [Bq/kg]
正味重量:295g
容器:1Lマリネリ

このうち、2/3を麦茶(飲料)抽出に使用。
使用した麦茶に含まれれ全放射性セシウムの放射能値:24.4*0.295*2/3=4.80Bq

Fig.-1: (A) 麦茶 原料

[B]抽出後飲料

Cs:1.8+-0.3 [Bq/kg]
Cs-137:1.0+-0.2 [Bq/kg]
Cs-134:0.8+-0.1 [Bq/kg]
正味重量:1010g
容器:1Lマリネリ

※抽出液は、全部で1500g。
抽出した麦茶飲料に含まれる全放射性セシウムの放射能値:1.8*1.5=2.7Bq

Fig.-2 (B) 抽出後 麦茶飲料

[C]出涸らし

Cs:4.1+-0.8 [Bq/kg]
Cs-137:2.6+-0.4 [Bq/kg]
Cs-134:1.6+-0.4 [Bq/kg]
正味重量:475g
容器:V5(630mL)

麦茶飲料を抽出した後の出涸らしに含まれれ全放射性セシウムの放射能値:4.1*0.475=1.95Bq

Fig.-3 (C) 麦茶出涸らし

4.結論、解析
移行係数抽出率は、2.7/4.8=0.56であった。
(※ 56% ですので、半分以上が飲料側に移ったということになります。)
・"ベクレル保存の法則"の検証結果:
(B+C)/A= (2.7+1.95)/4.8=0.969
3%程度の精度が今回の実験で得られたと推定される。

<参照>
■お茶移行係数抽出率
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/09/ishl-a9ed.html

■測定結果公開 麦茶
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/09/post-dff9.html

<検体情報>
エーコープ国内産
六条大麦使用 むぎ茶
賞味期限 2013.7.31
測定結果公開依頼者が、電話でエーコープに問い合わせ済。
ロットすべてが茨城県産の六条大麦。

(*1)ステンレス篩
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/07/ishl-433e.html

■付録
質問を頂きましたので追記します。
twitterより
https://twitter.com/Rosa_centifolia/status/344350246844903425

@Rosa_centifolia きょん さん
川崎市でネット中心に(母数52)給食アンケートとったら、0.03Bq/Kg 37% 0Bq/Kg 35% 1 Bq/Kg 22% 3~5Bq/Kg 4% 0.5Bq/Kg(合算1Bq) 2% でした。

質問と回答:
○質問:麦茶の規定どおりに淹れて、もし今回の移行係数抽出率通りで飲用麦茶に移行したと仮定すると、放射性セシウム濃度が、0.03Bq/Kg 未満となるためには、麦茶原料は幾つ未満であるべきか?
○答え:3 Bq/kg未満。

○計算: 麦茶の汚染 を X Bq/kgとして、 規定の淹れ方は、2Lに35g。
35gに、Csは、X * 35/1000 Bq
これが、0.56移行抽出すると仮定する。
0.56 * X * 35/1000 Bq 2Lの飲料完成とする。
濃度は、 (0.56*X*35/1000)/2 Bq/kg
これが、0.03未満であるためには、
(0.56*X*35/1000)/2 <0.03
X < 3Bq/kg

(記事修正履歴)
2013.6.10 移行係数抽出率、%表記を注記。
2013.8.25 「移行係数」を抽出率に変更。
※移行係数は、一般的に、土壌の放射性物質濃度と、農作物の放射性物質濃度の比率を意味するとのご指摘を頂きました。C-Labのo様ありがとうございました。

2013年5月29日 (水)

土壌放射能測定 605keVに出ないのに796keVに出るCs-134とは?

土壌放射能測定 605keVに出ないのに796keVに出るCs-134とは?
[ 注意 放射能測定所オペレータ もしくは Ge測定したお客様向け記事です。 ]

テクノエーピー社のゲルマニウム半導体検出器 TG150B の判定で、判断の難しい土壌が来た。

  ・Cs-137は出た。(662keV)
  ・Cs-134は出ない。(605keV)
  ・でも、796keVにはCs-134が出ている!!

Cs-134/Cs-137の比率は、2011−3−15に福島第一原発から放出された放射性セシウムであるかどうかを判定する際に、重要な「指紋」だ。(*1)

だから、土壌から、Cs-134が出ていれば、「311以降に降った」と推定し、
土壌から、Cs-134が出なければ、「大気圏核実験の当時1964年から天に晒されている大地」と判断できる。(*2)

では、796keVに出て、605keVに出ないCs-134ってのは何だ?

Cs-134は、6つのピークを持つ (*3)
605keV 97.6%
796keV 85.5%
796は2番目のピークだから、796が出るなら、当然、605も出るはず。
しかし、605は出ていない。

これは、メーカーからは回答まだ無いけど、
Ac-228の第6番目のピーク 795keVだろうと推定する。(*4)
つまり、
Ac-228の第1番目のピーク 911keV ( 覚えやすい数字だ)が出ていれば、
795keVに出る可能性がある。
と推定しても良いと思う。

[アイメジャー信州放射能ラボ]

*1) 放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率
*2) 311前の土壌のCs137濃度
*3) Cs-134 から放出されるガンマ線
*4) 796keVでCs-134を定量するNaIシンチは、Ac-228(795keV)の影響を受ける。

2013年5月21日 (火)

土壌汚染まとめ

twitter より 

@ichinoseshu 2013年5月21日 - 17:59

土壌汚染まとめ。

311前はこうだった。1964年120Bq/kgがピーク。 http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/03/311.html

震災後の農水省発表。
http://d.hatena.ne.jp/scanner/20120324/1332606717

河野先生@京大が全国の降下量を「松葉」で計測した。 http://d.hatena.ne.jp/scanner/20130108/1357654981

農水省が 0-500Bq/kgで分類した土壌。土壌深さ方向の濃度分布は逆三角形になっている。
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/08/2012621-9b70.html
よって表層は深さ5cm平均の2倍や5倍でも変じゃない。

今年3月中旬、TV報道はPM2.5騒ぎで憎悪の視線が海外に向けられていた頃、草加市に舞っていた砂塵を集めて、市民測定所で放射性物質濃度を計測した。結果は4千Bq/kgを越えていた(日暮里ニッコリ館)。これは決して大げさでなくあり得る数字だと思う。要警戒。

500Bq/kgの影響をサーベイメータで測るには限界がある。何故なら大まかな予測としては
「425Bq/kgで0.1μSv/h上昇する。」
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/05/425-bqkg-svh-81.html
程度だからだ。なので、土壌の放射能を測ることをお奨めする。

○放射能測定のための土壌のサンプリング方法(暫定案) http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/07/post-57b8.html
311後、手を加えていない土地であるならば、「濃度分布が、逆三角形になっている」ことを意識し深さを厳格に守ってサンプリングしてください。
(了)

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