【信州放射能ラボ メールマガジン Volume-010, 2016-5-17発行】
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■放射能 news (2016.5.17 信州放射能ラボ)
○信濃毎日新聞上に報告された放射性セシウム濃度合算値
<凡例> 20160419s33:2016年4月19日付け第33面の記事。数字の単位[Bq/kg]
平成28年4月分
・20160419s33
飯田市 ニホンシカ メス 3.3
・20160423s33
一般廃棄物焼却施設
坂城町
飛灰 22
主灰 ND
・20160428s37
[上田地域広域連合]
汚泥焼却灰(4/18採取) 上田市清浄園 30
飛灰(4/15採取)
上田 42
丸子 27
東部 17
混合灰(主灰+飛灰)
上田 22
主灰
丸子 ND(<10)
東部 ND(<10)
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[長野県環境部]
汚泥焼却灰
下水道上流処理区終末処理場(4/22採取)長野市真島町 ND(<20)
下流処理終末処理場(4/21採取)赤沼 29
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[長野市環境部]
焼却灰(家庭ゴミ)
市清掃センター(4/21採取)長野市松岡 30(Cs-134はND<10)
主灰: ND(<10)
・長野県ホームページより:
http://www.pref.nagano.lg.jp/seikatsuhaisui/kurashi/shobo/genshiryoku/hoshasen/documents/rchikumaj.pdf
汚泥焼却灰
下水道上流処理区終末処理場(4/22採取)長野市真島町
放射性ヨウ素131 : 13[Bq/kg]
・20160429s33
汚泥焼却灰上田市秋和 上田終末処理場
3月 12
4月 16
下之条 南部終末処理場放射性ヨウ素131 : 40[Bq/kg]
別所温泉、丸子、西内、菅平、真田の下水処理場の脱水汚泥は、ND(<10)
○放射性ヨウ素131の検出について
福島第一原発事故により 放射性ヨウ素131が検出された際には、水道水から検出されました。
今回の長野県内の下水道処理施設の脱水汚泥から検出された放射性セシウム131 は、医療行為による処方の結果、排尿を経て下水に流れ込んだ結果と推定されます。
<参考>
2011年3月には、関東地方で放射性ヨウ素131が水道水から検出されました。
2011.3.22
http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/contents/3000/2064/24/1303954_0322_1.pdf
http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/list/194/list-201103.html
長野県内では過去にも下水処理場の脱水汚泥から放射性ヨウ素131が検出されています。
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2013/09/280bqkg131-b74b.html
「長野県上田市で脱水汚泥からから280Bq/kgの放射性ヨウ素131が出た」
○長野県、平成28年度県内産山菜の採取、出荷及び摂取の自粛要請。
今年も山菜の季節となり、山菜から放射性セシウムの検出が全国的に相次いでおります。
長野県では、県ホームページにて以下の通り注意を呼びかけております。
http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyo/kurashi/shobo/genshiryoku/hoshasen/hoshase/h28sansai01.html
<山菜:自治体名>
コシアブラ:長野市、中野市、軽井沢町、野沢温泉村及び木島平村
タラノメ、ゼンマイ及びコゴミ(野生):軽井沢町
○コシアブラについて
山菜の中でも特にコシアブラは重金属を貯める植物として知られています。
マンガンを集積する特性のあるコシアブラは、セシウムも同様に芽に濃縮する特性があるようです。
比較的放射能汚染の少なかった地域であっても、こうした放射性セシウムを濃縮する山菜は留意が必要です。
(参考文献)
ハイパー・アキュミレーター植物:
http://d.hatena.ne.jp/scanner/20140531/1401529004
○
<福島原発事故後の世界を理解するための重要な論文シリーズ>
[4]福島第一原発事故により環境に放出された放射性セシウム134と放射性セシウム137の放出時のベクレル(Bq)比率
2011.3の福島第一原発事故により環境に放出された放射性セシウムは、半減期の長い順に、Cs-137(30年)、Cs-134(2年)が知られています。これらの放出時の比率は、ほぼ1:1であったことが調査から分かりました。このことにより、例えば、検体や土壌からCs-134が 検出された場合、半減期を遡って計算することで、放射性セシウムの由来を判定することが可能となります。例えば、検 出された放射性セシウムの由来 がほぼ100%福島第一原発事故由来なのか、 1964年にピークを迎えた大気圏核実験に由来する成分が含まれているのかを判定できる「指紋」とし て利用することが可能です。詳細は、下記BLOG記事をご覧ください。
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/04/post-1d72.html
放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率 [2012.4.20]
また、更に、今回ご紹介する論文は、メルトダウンを起こした福島第一原発の3つの原子炉のうち、どの炉から放出された放射性セシウムであるのかを 判定するための「指紋」としての利用可能性を示す研究成果です。
小森昌史、小豆川勝見、野川憲夫、松尾基之
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/62/6/62_475/_pdf
134Cs/137Cs放射能比を指標とした福島第一原子力発電所事故に由来する放射性核種の放出原子炉別汚染評価,分析化学,62(6), 475, 2013
「
1 号機では放射能比が 0.89 ~ 0.93 程度、2 号機では 0.96 ~ 1.05 程度、3 号 機では0.97 ~ 1.04 程度となっている。
2 号機と 3 号機 には有意な差が見られなかったが、1 号機での放射能比は 2、 3号機に比べて明らかに低くなっていた。
それぞれの原子炉号機建屋での 放射能比の平均値は、1 号機では 0.91、2 号機では 1.00、3 号機では 1.01 であった。
2 ~ 3 号機間で有意差は無い。1~2号機間、1 ~ 3 号機間で有意差が認められた。
」
以上
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<福島原発事故後の世界を理解するための重要な論文シリーズ>
[1]つくば市 気象研による「セシウムボウル」の発見
[2]セシウムボウルは土壌中の特に雲母(うんも)岩石粒子に捕まっている。
[3]低線量被曝による白血病のリスクが上昇
[4]放射性セシウム134と放射性セシウム137のベクレル(Bq)比率
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