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2015年8月

2015年8月18日 (火)

【 信州放射能ラボ メールマガジン Volume-003, 2015-8-13発行】

【 信州放射能ラボ メールマガジン Volume-003, 2015-8-13発行】

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■放射能 news (2015.8.13 信州放射能ラボ)

○放射性セシウムの体外排出速度について

今回は少し専門的な話題です。でも、食品による内部被曝を考える上で非常に重要な研究調査結果が、ついさきほど発表されていましたので、速報します。

放射性物質による内部被曝を見積もる計算方法に影響の有る重要な調査研究結果が、2015年8月10日に放射線医学総合研究所より発表されまし た。

以下、新聞記事です。
start ==========

http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000303/20150810-OYT1T50080.html

セシウム排出、予測より遅い…作業員を追跡調査
2015年08月10日 19時02分
福島第一原子力発電所で事故対応にあたった東京電力の作業員が体内に吸い込んだ放射性セシウムは、当初の予測より、体外への排出が遅いという追跡 調査結果を、放射線医学総合研究所の谷幸太郎研究員らが発表した。
谷研究員らは、セシウムの一部が水に溶けにくい化合物になり、肺に長くとどまるためではないかと推定している。被曝(ひばく)線量を見積もる計 算モデルの見直しにつながる可能性があるという。
同研究所では、事故直後に原子炉の中央制御室で監視業務などにあたり、被曝線量が特に高かった作業員7人について、年に数回、検査を受けてもら い、体内のセシウム137などの量を測っている。
作業員のセシウム量は、事故後、約2年間は、「肺から血液へ溶け込み、尿などを通じた排出により、70~100日ごとに半減していく」という予 測通りに減少していた。しかし、2013年の半ば頃から減り方が鈍くなった。
2015年08月10日 19時02分
========== end

この記事によれば、「事故後、約2年間は、」「70~100日ごとに半減していくという予測通りに減少していた。」とあります。私が、新聞記事に掲載されいるグラフから見積もったところでは、事故後、約2年間の実効半減期は、 約104日でした(図中、L1)。
また、グラフに引かれている緑色の直線(図中、L3)の傾きから求めた実効半減期は、112.6日でした。
詳しくは、次の手書きの図をご覧ください。
http://f.st-hatena.com/images/fotolife/s/scanner/20150811/20150811194811_original.jpg

この報告の意味するところは、以下の3点です。

1)一般に、放射性セシウム137の実効半減期は、約70日と言われてきました(*1)。しかし、そもそもの予想は、70~100日と拡がりが有ると研究者は、初めから理解していたということ。
2)実際に事故対応にあたった東京電力の作業員(7人)が体内に吸い込んだ放射性セシウムの半減期を調べた結果、最初の2年では、実効半減期は、 約104日であったこと。
3)2年を過ぎたあたりからは、更に実効半減期が長くなっていること。つまり、体外に排出されずに、体内に留まる期間が当初の予想よりも更に長く なっている こと。 私がグラフから読み取った限りでは、実効半減期は約326日でした。つまり、従来から言われている実効半減期69日の約5倍弱の内部被曝影響期間の拡大と なります。

*1)実効半減期:
放射性物質の半減期は、物理学的半減期と呼ばれます。放射性セシウム137は30年、放射性セシウム134は2年です。これに対して、体内に吸引 や、食品により取り込まれた物質が、対外に代謝されて、半分になるまでの時間を生物学的半減期と呼びます。セシウム元素の場合は、70日と言われ ています。この二つの要因(物理学的、生物学的)が合わさって、実際に体内に取り込んだ放射性物質の半分が体内に残留するまでの時間を実効半減期 と呼びます。

以上

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(追記)
2016-4-5 URLがリンク切れだったため。検索してURLを更新した。
またWeb魚拓では、採取不可であった。
”robots.txtによってキャッシュが禁止されており取得できません。(現在の法律では国内外のサービス問わず、日本国で法的に収集が禁止されていると解釈しています。詳しくは利用規約をご覧ください)”

記事訂正 2016-4-5 放射性セシウム137の実効半減期は、約69日 → 放射性セシウム137の実効半減期は、約70日

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