果樹剪定枝の放射性セシウム濃度を推定する
目的:果樹剪定枝の放射性セシウム濃度を推定する。
方法:汚染モデル、測定事実から計算により推定値を求める。
汚染モデル:2011.3.15 福島第一原発事故で放出されたプルームは、山を越え、霧となった。
(落葉した裸の)果樹の樹木の表面に霧は付着し、枝表面を汚染した。
測定事実(1):H24(2012).1.31 剪定枝の放射性セシウム濃度は最大値で: 209 Bq/kg (*1)
次に、枝の汚染総量を求める。
剪定枝寸法:φ3cm、長さ30cmとする。
剪定した断面は汚染されていない、枝(円筒形状と単純化して)側面のみが汚染されているとする。
円筒側面の表面積:30 * π * 3cm = 3.1416 * 90 = 282.7 cm^2
仮定:枝の表面に、降下密度と同じ汚染が起きるとする。
測定事実(2):長野市の2011.3の降下密度 (*2)
Cs-134:1200Bq/m^2
Cs-137:1200Bq/m^2
Cs:2400 Bq/m^2
= 0.24 Bq/cm^2
よって、面積、282.7 cm^2 の汚染総量は、2011.3.15時点で
282.7 * 0.24 = 67.8 Bq
計算:半減期による推定。
2011-3-15に1:1の比で放出された放射性セシウム134、137は、2012.1.31時点では、それぞれの半減期により以下の通りとなる。(*3)
68 Bq → 58.6 Bq
内訳
Cs-137: 34 Bq
Cs-134: 34 Bq
2012.1.31時点では、
Cs-137: 33.3 Bq
Cs-134: 25.3 Bq
Cs: 58.6 Bq
一方、枝の重量は、
π * r^2 * L = 3.1416 * (1.5)^2 * 30 = 212 cm^3
枝の比重:1g/cm^3と仮定すると。
212g
よって求める、放射性セシウム濃度は、
58.6 Bq / 0.212 kg
= 276.4 Bq/kg
この値は、実測の最大値 209 Bq/kgの 約1.3倍であり、ほぼ整合性があると言える。
<関連資料>
*1)長野県(農政部) 果樹剪定枝の取扱いについて
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/02/post-9934.html
*2)2011年3月に長野市に降った放射性物質
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/11/20113-75c1.html
*3)放射性セシウム計算機
http://www.kani.com/ycrms/CalcCs/
<初出>
https://www.facebook.com/ichinoseshu/posts/786683214754844?comment_id=787482098008289&offset=0&total_comments=29
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