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2014年3月

2014年3月29日 (土)

Sr-90測定に関するまとめ 品川区学校給食Sr-90測定開始記念

Sr-90測定に関するまとめ

品川区の学校給食の放射性ストロンチウムを計測する動きは本当に快挙だと思います。

品川区の区民のみなさんの地道なご尽力に心から敬意を表します。

記念して^^)

Sr-90関連、自分のメモ用にちょっと整理しました。

(誤記等お気づきの点ございましたらお手数ですがお知らせください。)

■Sr-90関連ニュース

・2011.7横浜市のマンション屋上からストロンチウム90が検出されて話題になった。(*1)

 測定結果は、Sr-90 : 195 [Bq/kg]

・測定者は、民間機関「同位体研究所」。3M(スリーエム)社製RadDisk-Srを使用。

・3M社製RadDisk-Srを用いた測定では、土壌検査の場合、Pb-210の混入を回避できない恐れがある。(*2)

・文部科学省は、この横浜マンションの民間機関の測定結果に対して、(同一検体の検証はせずに)世田谷区の土壌の検査を別の測定機関(日本分析センター)で行った。

・測定方法は、RadDisk-Srではなく、放射平衡を使う従来法(*3)。

その結果、「Sr-89は検出されず、Sr-90は、最大でも1.1Bq/kgであった」ことから、「Sr-89が検出されないので、福島 第一原子力発電所の事故に伴い、新たに沈着したとは言えない。」「事故発生前からSr-90:~30Bq/kgは範囲内」とコメントした。

(文部科学省ホームページ:平成23年11月24日)(*4)

・しかし、世田谷区で2011年3月に「都立産業技術研究センターで大気を採取し、浮遊物質の詳細検査」した結果から、Sr-89が検出された。このため、文部科学省は、「ストロンチウム89は半減期が50日と短いため、原発事故由来とみられる。」とコメントした。

(読売新聞:2011年12月26日)(*5)

・東京大学の小豆川氏が従来法(放射平衡を待ってY-90のベータ線量で定量する方法)を使って、この問題に決着を付けた。Sr-90は、85 Bq/kg(Yokohama)、35 Bq/kg (Kashiwa)だった。(*6)(*7)

・以上をまとめると、土壌中のSr-90をスリーエム社のラドディスク(商品名エムポア)を使って測定すると放射性鉛210(Pb-210) を放射性セシウム90(Sr-90)として誤認する可能性があるが、「福島第一原発事故により横浜市までSr-90が飛んできた」ことは間違い無いと言える。

■現在の測定体制

・水産庁

http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html

水産庁が海洋生物のSr調査を定期的にやっている。ただし、その点数は非常に限られている。最新の一覧表は以下のとおり。

[H26.3.13 更新]

http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/pdf/result_strontium_140313.pdf

※過去の最大濃度は、#10 シロメバル H24.3.9

Sr-90:1.2、Sr-89:0.45、Cs-134:380、Cs-137:580 [Bq/kg]

・民間機関

北海道の民間企業「ホワイトフード」社が導入して販売自社食品に含まれるSr-90の測定を行っている。

・市民活動

2013年7月に採取した東京電力福島第一原子力発電所構内の観測井戸水から500万Bq/kgのSr-90が検出された。(*8)

これを受けて「豊かな三陸の海を守る会」他団体が、 平成26年2月28日 安倍総理大臣に要請書を出した。(*9)

「ストロンチウム90に係る福島周辺海域の調査と水産食品の摂取制限濃度制定を求めます」

・品川区の動き (New!)

品川区で、学校給食の放射性ストロンチウムの濃度測定が始まるとのことです。

http://yashiochildren.wordpress.com/

http://yashiochildren.wordpress.com/2014/03/28/品川区!全国で始めて!!給食食材検査にストロ/

「1校あたり年に2回はセシウム検査、1回はストロンチウム検査が行われるようです。」「検出下限値については、極限まで下げて欲しいと検査機関へ交渉して下さっています!」

twitter:

https://twitter.com/gurannymama/status/449443268665671680

補足)3M RadDisk と 3M エムポア

3M のStrontium RAD Disks 商品名 "Empore"  エムポア

商品一覧

Empore

※「ホワイトフード」社の機種は、3Mエムポアとかいてありますので、このまとめにおいて、横浜マンションで検出された最初の測定方法(同位体研究所の)RadDisk-Srと恐らく同じ測定方法のようです。

※初出(facebook *10)に、小豆川先生からコメントを頂きました。RadDisk法でも「食品系なら何とかいけるかな...とは思いますが、」とのことです。

同位体研究所が自ら解説していますが、Pb-210を含む土壌などはRadDiskは苦手のようです。

■追記(2014.4.20)

品川区 ホームページ

http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/menu000015500/hpg000015414.htm

トップページ > ライフステージ別ガイド > 学校 > 学校生活 > 学校給食の放射性物質検査の結果について

学校給食の放射性物質検査の結果について
更新日:2014年4月17日

品川区では、平成23年11月から区立小中学校で使用する給食用食材の放射性物質検査を開始しました。
平成23年度は、隔週に1校ずつ、その日の給食食材から米・野菜・果物等の5検体を選び、専門機関に検査を委託する方法で実施していましたが、平成24年度からは、飲用牛乳を除く給食1食分を1週間分まとめて、専門機関に検査を委託する方法に変更して実施しています。
平成26年度については、1校あたり年間2回の検査を予定しています。さらに、1校あたり年間1回のストロンチウム検査を予定しています。
原則として、月曜日から金曜日に検体を採取し、翌週の月曜日に検体を回収して検査し、金曜日に検査結果を区のホームページで公表する予定です。ただし、ストロンチウム検査結果の公表は、翌週になる予定です。


■追記(2014.4.20b)
http://ameblo.jp/amashimama/entry-11810857908.html

愛知県のママさんがカンパを集めてストロンチウムを計測した。
放射能から子どもを守りたいママの会・あま市

■追記(2014.6.27)
水生生物中の放射性ストロンチウム調査結果まとめ(pdf)
http://konstantin.cocolog-nifty.com/blog/files/Sr_suisei.pdf
( @Kontan_Bigcatさんに感謝。)

参考資料)

(*1)横浜でストロンチウム検出 100キロ圏外では初

2011年10月12日3時32分 朝日新聞

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201110110626.html

(*2)

同位体研究所発表 111125
固相抽出法による放射性ストロンチウムの分析に関する発表

http://www.radio-isotope.jp/_src/sc242/Sr9091AA92E8_94AD955C111125.pdf

(*3)

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/pdf_series_index.html

放射性ストロンチウム分析法

「全ベータ放射能測定法」

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/No1.pdf

(*4)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/017/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/12/13/1314201_2_1.pdf

平成23年11月24日

横浜市が採取した堆積物及び堆積物の採取箇所の周辺土壌の核種分析の結果について

文部科学省 原子力災害対策支援本部 モニタリング班

「福島第一原子力発電所の事故の影響を判断するために必要なストロンチウム89(半減期、50.53日)が検出されなかったことから、放射性ストロンチウムについては、福島第一原子力発電所の事故に伴い、新たに沈着したとは言えない。」

「なお、今回検出されたストロンチウム90の測定値は、いずれも、事故発生前(平成11年度~21年度)に全国で観測されたストロンチウム90の測定値(検出下限値~30Bq/kg)の範囲内に入るレベルであった。」

(*5)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111226-OYT1T00825.htm

世田谷で原発由来ストロンチウム89…3月採取

「文部科学省によると、ストロンチウム89が検出されるのは関東地方では初めて。」

「ストロンチウム89は半減期が50日と短いため、原発事故由来とみられる。」

(読売新聞 2011年12月26日)

(*6)小豆川氏の論文

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0057760

(*7) 

https://twitter.com/ichinoseshu/status/448687364055896064

岩波書店科学Apr.2014 vol.84 No.4 pp0373-0377 小豆川勝見氏(1) 2011年横浜マンション屋上で検出されたSr-90定量にてPb-210が一部混入していた問題、(2) 2013年福島第一原発内の地下水観測孔の全ベータ放射能の数え落とし問題を解説。

(*8)昨年7月採取した観測井戸水から500万Bq/kgのSr-90検出

http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2014/02/post-e0df.html

(*9)「豊かな三陸の海を守る会」要請書

http://2011shinsai.info/node/5161

(*10) 初出

https://www.facebook.com/ichinoseshu/posts/609123749177459?stream_ref=10


2014年3月25日 (火)

掃除機ごみパックの放射能を測定する試み

ある市民放射能測定所にて掃除機のごみパックに溜まった「塵(ちり)」を測定する試みが続けられています。(%1)

 

測定結果が公開されていますので、その測定値を元に簡単な解析をしてみましたので、ご報告します。

 

○方法:
1.仮定
ヨウ化ナトリウムシンチレーション式ガンマ線スペクトロメータに掃除機ごみパックをセットして、放射性物質(放射性セシウム137と放射性セシウム134)の濃度を計測しています。
この場合、以下の仮定において、測定結果の比較が可能となります。

 

仮定1)放射性物質濃度の定量的な校正を目的に使用した「標準線源」を満たした容器と同一容器を用いている。

 

仮定2)検体は、容器の所定体積の中に、すき間無く、均一に充填されている。

 

2.数量での比較
測定結果には、重量(g)、放射性セシウム137の濃度(Cs-137(Bq/kg))、同じく放射性セシウム134の濃度(Cs-134(Bq/kg))の他、試料情報として塵(ちり)を採取した場所と、収集した期間の記載されているものもあります。

 

そこで、上記結果を用いて以下の値を計算します。
数量[Bq] = 放射性物質濃度 [Bq/kg] * 重量 [kg]

 

また、塵(ちり)を収集した期間の判っているものについては、1日あたりの数量を計算します。

 

1日あたりの数量[Bq] = 数量 [Bq] / 収集した日数

 

○結果:
以下の表がその計算結果です。
 fujimiiru_tweet201403101850.xls 

 

(1)数量は大きかった順に、
85.5 [Bq]
45.8 [Bq]
39.2 [Bq]
でした。

 

(2)1日あたりの数量は、大きかった順に
1527 [mBq/日]
290 [mBq/日]
203 [mBq/日]
でした。(※ 1mBqは、0.001Bqです。)

この測定所が公開したデータの中で最大値を示したケースでは、
1日あたり約1.5ベクレルの数量の放射性セシウムを含む塵(ちり)を掃除機が集めたことになります。

■補足
「仮定2)検体は、容器の所定体積の中に、すき間無く均一に充填されている。」を満たしていない場合に何が起きるのか。所定体積に検体が満たない場合に、測定結果にどのように影響を与えるのか。この点につきまして、以前、計測実験をしましたので、詳細は次の記事をご参照ください。

 

 

・検体体積精度と放射能測定誤差の関係

http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/09/ishl-db48.html

結論だけ述べると、所定体積近傍にて、「所定体積よりも、体積が10%少ない状態で測定した場合は、放射能測定結果は、約5.7%大きい値を示す。」

直感的に何が起きているのかを理解するためには、以下の図が分かり易い。
(出典:山田崇裕「放射線計測の信頼性について」

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/kando_toukousen_ge.jpg

 

これは、センサ(Ge)から見た、「感度」の等高線である。センサに近い所ほど、感度が高い。センサから離れる程、感度は低下する。そのため、検体の中に、放射性物質が「均一」に分布していた場合と較べて、もし、局在した場合(例えば、底に放射性物質が集中しているなど)、本来容器の所定体積の中に均一に分布していることを前提に校正された装置にて得られる放射性物質濃度は、正しい値を得られない。(例えば、底に集中している場合は、真の値よりも大きい値として計測される。)

 

 

 

(%1) 出典:みんなの測定所・ふじみーる
https://twitter.com/fujimiiru/status/442960610037211136
(2020.2.10リンク切れ)

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