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2014年1月20日 (月)

土壌をゲルマでクロスチェックする際の誤差要因の推定

同一検体(土壌)をNaIシンチレーション式ガンマ線スペクトロメータと、ゲルマニウム半導体検出器で測定した場合に、測定結果が異なる時の要因を推定します。 3つ、要因が考えられます。

1.校正誤差

放射能測定装置メーカーは、「標準線源」を使って放射能を校正しています。この校正の誤差の影響で、同じ検体を計測したにもかかわらず、差が現れます。ただし、この校正誤差の場合は、一定して同じ傾向(例えば、NaIよりも、Geの結 果が、約1.2倍になる、など)となるはずです。

2.土壌の乾燥

クロスチェックの測定時期が、数ヶ月以上離れています。 この場合、土壌の乾燥状態が、誤差要因になります。 放射能の測定結果は、Bq/kg という放射性物質(Cs)濃度で表示されます。土壌の乾燥が進み、軽く(密度が低く)なった場合、同じ検体であっても、相対的に測定結果が高くなる方向に誤差が出ます。

 

3.放射性物質の偏在

数Bq/kg程度の濃度であった場合は、放射性物質の偏在が誤差要因になります。 例えば、東京電力福島第一原子力発電所から降下した時点では、放射性セシウム のエアロゾルの粒子は、直径1μm以下であったと言われています。 仮に、直径が1μmと仮定し、全てが高純度の放射性セシウム137と仮定する と、1粒の放射能は、3.2ベクレルとなります。

もし、土壌の測定結果が、3.2Bq/kgとした場合、1kgの土壌の中に一粒だ け、放射性セシウム137が存在することになります。この放射性セシウム粒子が測定容器の中のどこに有るのかによって、測定結果(センサ体積体への有効放射効率)が異なります。 1.の校正作業は、本来、容器体積の中に平均して放射性物質が存在することを仮定しています。そのため、もし、1粒だけの放射性セシウムが、容器の中の位置関係において、センサのすぐ近くに有れば、放射能測定値は大きく出ます。逆に、容器の縁(センサから最も遠い位置)に粒子が有れば、放射能測定値は小さ い値となります。

従って、クロスチェックは、できれば、低濃度になるほど、同一容器を使って、 検体を詰め直すことなく、そのままの状態で測定することで誤差要因を抑えることができます。

以上

<参考>
直径Φ1μmの放射性セシウム137の放射能は何ベクレルか?
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/06/post-5622.html

風に乗って長い距離を運ばれる放射性セシウムの存在形態
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20120731/nr20120731.html

山田崇裕「放射線計測の信頼性について」
(page-21/37)
体積線源に対するGe検出器の計数効率
https://www.nmij.jp/public/event/2011/forum2011/presentation/yamada.pdf

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