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2013年8月28日 (水)

放射性セシウム134の光子エネルギースペクトル

[注意:この記事は、TechnoAP 社製 ゲルマニウム半導体検出器(TG-150B)の判定した核種一覧表を読み取る上での留意点です。]

放射性セシウム134の光子エネルギースペクトルについて解説します。

土壌などの検査結果にて、Cs-134の総合判定では不検出(ND)と判定されているにも関わらず、核種一覧表にて個別のスペクトルを確認すると、表中には、Cs-134と誤判定されているスペクトルの存在する場合があります。
この記事では、その主な要因である Ac-228 の光子エネルギースペクトルと比較しながら解説をします。

 

土壌などの測定において、放射性セシウム134の判定がND(不検出)であるにも関わらず、核種一覧表では、Cs-134の核種名がリストされる場合があります。

[ゲルマニウム半導体検出器による核種一覧表に現れる偽りのCs-134]
Cs-134 : 563.0 keV
Cs-134 : 796.0 keV

■それでも Cs-134 が不検出である理由

まず、Cs-134の放出するガンマ線の光子エネルギースペクトルの全一覧は以下の通りです。
lg(%) は、放出率で、この値が大きい順番でスペクトルの山の高さが現れます。
Eg(keV) と lg(%)の間にある斜体の数字:
例えば、
242.738 8 0.027 3
の斜体数字 8 3 は「無視」をして
242.738  0.027のみに注目して表を読んで下さい。



http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/cs134.png

出典:http://ie.lbl.gov/toi/radSearch.asp

つまり、Cs-134は、
(1)97.62% → 604.721keV
(2)85.53%→ 795.864 keV
(3)15.38%→ 569.3 keV
(4)  8.69%→ 801.953 keV
(5)  8.35%→ 563.246 keV
の順番でスペクトルの山が現れます。

もし、放出率(%)が、第(5)位の563keV、第(2)位の796keVのみにスペクトルの山が発生して、第(1)位の605keVに山が発生しない場合、この核種は、Cs−134では無いと判断します。(不検出)

■ Ac-228 である可能性
それでは、

Cs-134 : 563.0 keV
Cs-134 : 796.0 keV

この核種一覧表で、誤判定した不明核種が一体何かです。

土壌には様々な天然由来の核種が存在します。その中でトリウム系列のAc-228は、代表的な核種です。このAc-228のエネルギーを調べると、ちょうど同じ場所にスペクトルが存在します。

562.500 / 0.87
794.947 / 4.25

以上より、この光子エネルギーを放出している核種は、Ac-228であると推定します。

一方、Ac-228は、Cs-134の第1位のエネルギー 604.721keV 近傍にて、
光子エネルギーを持っていません。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/ac228b.png

従って、もし、検体中に、Ac-228とCs-134が混在していても、最終判定にて、Cs-134と誤判定する心配は無いことになります。

関連記事:

核種一覧表の見方

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