今現在も破損した原子炉から湯気が出ている状況で、2011.3.15に放出された放射性セシウム134と137の比率による推定方法は有効か?
放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率を用いて測定結果を検証する提案を続けています(*1)。
例えば、(市民測定所を含む)放射能測定機関が測定方法の精度を検証する手段として利用したり、「そのCsはどこからやってきたものか」という由来の推定に用いることができます。
最近、こうした(主旨の)質問を頂きました。
1.質問
・放射性セシウムによる汚染は、2011.3.15に放出された放射性セシウム以外にも有るのではないか?
・例えば、今現在も、破損した原子力発電所の原子炉から湯気が出ていることが報告されている。これらが全国に放射性物質としてまき散らかされているのではないか?
・原子炉の中では、核反応が続いていて、それがCsの比率に影響するのではないか?
2.結論
現在入手できる公開資料での推定と結論は以下の通りです。
今回は、計算シミュレーションとして、東京都のデータを使いました。
(1)公開されている東京都の過去の月毎の降下量は、2011.3が最大で、それ以降(2012年以降)では、2013.3が直近では最大値である。
(2)直近の最大値である2013.3の量が、もし過去28ヶ月にわたって毎月降り続いていたと仮定しても、その総和は、2011.3の1ヶ月に降下した量の1/8以下であり全体に占める、2011.3以外の降下物の量の相対的な影響は低い。
(2)また、その2013.3について注目するとそのCsの比率は推定値通りである。(99.7%精度)。Cs比率が推定値通りのCs-134とCs-137が、どんなに降り積もってもその積算によるCs比率は、推定値通りとなる。
(男女比1:1のグループがどんなに多く集合しても常に1:1となるように。)
従って、高い精度で、Cs比率による推定は有効であると思われる。
3.データと解析
3−1.全国
環境放射能水準調査結果 全都道府県の2011年3月の月間降下物
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2013/04/post-2c27.html
3−2.東京都
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2013/05/20113-96a0.html
Cs-137: 8100 Bq/m^2
Cs-134: 8500 Bq/m^2
合算値で見ると、東京都は、2011年3月に16,600Bq/m^2。
ここまでがまず基本データ。
4.2011年3月以降の降下量
4−1.2011.3と2013.3の量の比較
http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/mon_fallout_data_1month.html
ここに1ヶ月毎の降下量が発表されています。
2011/03/01 - 2011/04/01
・・
2013/06/03 - 2013/07/01
表の判定
Cs-137のみに注目します。
28ヶ月で、2012年以降
2011/03/01 - 2011/04/01 の8100
以外の最大値は、2013/03/01 - 2013/04/01 の42
(PM2.5をTVや新聞が拡散した時期ですね。)
もし28ヶ月全てが42であったとしても、その総和は、8100を超えませんので、
(42*28=1176<<8100, 16%程度)
主たる要因は、2011.3で決まっていると判断して良いと思います。
4−2.2013.3に降下した放射性セシウムの比率
2011年以降(2012年以降で)最大は、
2013/03/01 - 2013/04/01
で、
Cs-134/Cs-137: 22/42 Bq/m^2
でした。
Cs比率は
(22/42=0.524, 理論値 2013/04/01で、0.5271,差は、0.524/0.527=0.994)
であって、99.4%の精度で推定通りでした。
(参考)
(*1)放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/04/post-1d72.html
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