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2013年6月

2013年6月27日 (木)

井戸水の核種一覧表の見方

井戸水の核種一覧表の見方

まず、弊社blog記事:
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/08/post-ca76.html
に記載しました通り、

右から3列目、測定下限値(Bq/kg)と、
右から5列目の放射能(Bq/kg)を観較べてください。
放射能 > 測定下限値
である場合は、その核種に注目してください。
「放射能値が、測定下限値よりも大きい場合は注目する。」

放射能 < 測定下限値
の場合は、無視してください。
装置としては、検出されなかった「不検出」という判断となります。

例えば、

放射能 > 測定下限値

に該当する核種は、
Pb-214
Bi-214
K-40
が有ります。

K-40(カリウム40)は、天然に存在します。農作物の養分3要素、窒素、リン酸、カリの「カリ」に相当し土壌に存在します。測定精度の問題もありますが、井戸水からも常に検出されています。

Pb-214(鉛214)と、Bi-214(ビスマス214)は、ウラン系列に属し、ラドンガス由来と推定されます。
いわゆる「ラドン温泉」などで有名な地域では比較的高濃度に検出されます。
天候などにも因るので、今後の変動を見守っていきたいと想います。

2013年6月11日 (火)

平成25年5月19日 信濃毎日新聞記事 に対する長野県の見解

■概要
 昨年7月に長野県で放射性セシウムが牛肉2頭から検出された。弊社では、想定される比率にて、放射性セシウム134と放射性セシウム137が検出されていたため、東京電力福島第一原子力発電所由来であると推定した。しかし、今年5月19日に、改めてこの件に触れたローカル新聞(信濃毎日新聞)記事では「 原発事故との関連は不明」と書いてあった。この記事に関して、新聞社に問い合わせたところ、長野県の見解であるとのことだったので、弊社より長野県に正式に質問をし回答を得たので報告する。
 この記事が問題であると考えた理由は、Cs-134とCs-137が一定比率で検出された場合、東京電力福島第一原子力発電所由来であると推定される。しかし、もし(長野)県として「 原発事故との関連は不明」と言っていることが事実であるとすれば、一般消費者からは、「解析能力の無い自治体である」とみなされる可能性が高い。更には、その解析能力の無さ自体が「風評被害」の発信源になると恐れるためである。

■経緯
(1)平成24年7月12日に2頭の牛肉から放射性セシウムが検出された
精密検査実施日     個体識別番号   品種   Cs-134  Cs-137 飼育地 

平成247121010681296 黒毛和種 11(<3.7) 16(<4.1) 長野市 

平成247111035897016 黒毛和種 15(<3.6) 24(<3.7) 長野市

(2)長野県は原因を調査し、問題の肉牛が最後に食べたとみられる公共牧場の牧草が38 28 Bq汚染されていたことを確認した。

(3)平成25年5月19日、信濃毎日新聞は、長野県で放射性セシウムが検出された牛肉について記事で触れ、「 原発事故との関連は不明 」と記載した。

(4)信濃毎日新聞に確認したところ、「 (長野)県への取材結果に基づいています。」との回答だったので、長野県に質問(*1)を送付した。

(5)県からの回答(*2)は、次の通りです。

『県の考え方ですが、当該牛肉からは、セシウム134が検出されていることから、福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質を取り込んでいるものと考えます。』

■今後の予定。
信濃毎日新聞社に記事の訂正を求める予定です。

■参考
*1) 長野県に送付した質問
*2) 県からの回答

関連BLOG記事:

http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2013/05/25-502a.html

(修正履歴)
2013.6.11 「公共牧場の牧草が38 28 Bq汚染」

2013年6月 7日 (金)

【iSHL 実験報告】国産麦茶飲料の放射性セシウム抽出率の測定

【iSHL 実験報告】 国産麦茶飲料の放射性セシウム移行係数抽出率の測定
[2013.6.7]

1.目的
放射性セシウムに汚染された麦茶原料から、お湯で抽出して麦茶を入れた際に、麦茶原料から、麦茶飲料に移行抽出する放射性セシウムの比率(移行係数抽出率)を計測する。

2.方法

麦茶投入量:2リットルのお湯に麦茶を200g投入した。(規定では35g/2L)
抽出時間:沸騰したお湯に麦茶原料を投入し、3分経過後にガスの火を止め、そのまま約30分間放置した。(規定では、2〜3分後に火を止める。放置時間の記載無し。)
フィルタ:スレンレス篩で漉し、麦茶飲料用とした。(*1)
放射能測定装置:ゲルマニウム半導体検出器(TechnoAP社製 TG150B)

3.結果

[A]抽出前

Cs:24.4+-2.8 [Bq/kg]
Cs-137:16.3+-1.5 [Bq/kg]
Cs-134:8.1+-1.3 [Bq/kg]
正味重量:295g
容器:1Lマリネリ

このうち、2/3を麦茶(飲料)抽出に使用。
使用した麦茶に含まれれ全放射性セシウムの放射能値:24.4*0.295*2/3=4.80Bq

Fig.-1: (A) 麦茶 原料

[B]抽出後飲料

Cs:1.8+-0.3 [Bq/kg]
Cs-137:1.0+-0.2 [Bq/kg]
Cs-134:0.8+-0.1 [Bq/kg]
正味重量:1010g
容器:1Lマリネリ

※抽出液は、全部で1500g。
抽出した麦茶飲料に含まれる全放射性セシウムの放射能値:1.8*1.5=2.7Bq

Fig.-2 (B) 抽出後 麦茶飲料

[C]出涸らし

Cs:4.1+-0.8 [Bq/kg]
Cs-137:2.6+-0.4 [Bq/kg]
Cs-134:1.6+-0.4 [Bq/kg]
正味重量:475g
容器:V5(630mL)

麦茶飲料を抽出した後の出涸らしに含まれれ全放射性セシウムの放射能値:4.1*0.475=1.95Bq

Fig.-3 (C) 麦茶出涸らし

4.結論、解析
移行係数抽出率は、2.7/4.8=0.56であった。
(※ 56% ですので、半分以上が飲料側に移ったということになります。)
・"ベクレル保存の法則"の検証結果:
(B+C)/A= (2.7+1.95)/4.8=0.969
3%程度の精度が今回の実験で得られたと推定される。

<参照>
■お茶移行係数抽出率
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/09/ishl-a9ed.html

■測定結果公開 麦茶
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/09/post-dff9.html

<検体情報>
エーコープ国内産
六条大麦使用 むぎ茶
賞味期限 2013.7.31
測定結果公開依頼者が、電話でエーコープに問い合わせ済。
ロットすべてが茨城県産の六条大麦。

(*1)ステンレス篩
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/07/ishl-433e.html

■付録
質問を頂きましたので追記します。
twitterより
https://twitter.com/Rosa_centifolia/status/344350246844903425

@Rosa_centifolia きょん さん
川崎市でネット中心に(母数52)給食アンケートとったら、0.03Bq/Kg 37% 0Bq/Kg 35% 1 Bq/Kg 22% 3~5Bq/Kg 4% 0.5Bq/Kg(合算1Bq) 2% でした。

質問と回答:
○質問:麦茶の規定どおりに淹れて、もし今回の移行係数抽出率通りで飲用麦茶に移行したと仮定すると、放射性セシウム濃度が、0.03Bq/Kg 未満となるためには、麦茶原料は幾つ未満であるべきか?
○答え:3 Bq/kg未満。

○計算: 麦茶の汚染 を X Bq/kgとして、 規定の淹れ方は、2Lに35g。
35gに、Csは、X * 35/1000 Bq
これが、0.56移行抽出すると仮定する。
0.56 * X * 35/1000 Bq 2Lの飲料完成とする。
濃度は、 (0.56*X*35/1000)/2 Bq/kg
これが、0.03未満であるためには、
(0.56*X*35/1000)/2 <0.03
X < 3Bq/kg

(記事修正履歴)
2013.6.10 移行係数抽出率、%表記を注記。
2013.8.25 「移行係数」を抽出率に変更。
※移行係数は、一般的に、土壌の放射性物質濃度と、農作物の放射性物質濃度の比率を意味するとのご指摘を頂きました。C-Labのo様ありがとうございました。

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