土壌放射能測定 605keVに出ないのに796keVに出るCs-134とは?
土壌放射能測定 605keVに出ないのに796keVに出るCs-134とは?
[ 注意 放射能測定所オペレータ もしくは Ge測定したお客様向け記事です。 ]
テクノエーピー社のゲルマニウム半導体検出器 TG150B の判定で、判断の難しい土壌が来た。
・Cs-137は出た。(662keV)
・Cs-134は出ない。(605keV)
・でも、796keVにはCs-134が出ている!!
Cs-134/Cs-137の比率は、2011−3−15に福島第一原発から放出された放射性セシウムであるかどうかを判定する際に、重要な「指紋」だ。(*1)
だから、土壌から、Cs-134が出ていれば、「311以降に降った」と推定し、
土壌から、Cs-134が出なければ、「大気圏核実験の当時1964年から天に晒されている大地」と判断できる。(*2)
では、796keVに出て、605keVに出ないCs-134ってのは何だ?
Cs-134は、6つのピークを持つ (*3)
605keV 97.6%
796keV 85.5%
796は2番目のピークだから、796が出るなら、当然、605も出るはず。
しかし、605は出ていない。
これは、メーカーからは回答まだ無いけど、
Ac-228の第6番目のピーク 795keVだろうと推定する。(*4)
つまり、
Ac-228の第1番目のピーク 911keV ( 覚えやすい数字だ)が出ていれば、
795keVに出る可能性がある。
と推定しても良いと思う。
[アイメジャー信州放射能ラボ]
*1) 放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率
*2) 311前の土壌のCs137濃度
*3) Cs-134 から放出されるガンマ線
*4) 796keVでCs-134を定量するNaIシンチは、Ac-228(795keV)の影響を受ける。
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コメント
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タイ国で販売されている日本国産のホットケーキミックスから
796keVのみCs-134検出判定がありましたが、スペクトルを確認したら
795keVジャストのピークでした。
確実にこちらの記事のパターンですね。
安心しました。
Cs-137も全く見られず、この検体に関しては安心して利用出来ます。
投稿: 末野 泰崇 | 2013年10月26日 (土) 16時16分
末野さん お役に立ててうれしいです。
1keVの差が見えるのがGeはうれしいですよね。
投稿: 一ノ瀬 | 2013年10月28日 (月) 00時21分