生体濃縮という仕組み
生体濃縮という仕組み
(1)Ag-110mは、人工の放射性物質であり、2011年3月に大量に大気中に観測された。
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2013/04/post-2c27.html
(2) イカ、タコ、カニ、カキなどは、銅(Cu)イオン(ヘモシアニン)を使って血中酸素を輸送する。
※ヒトは、鉄(Fe)イオン(ヘモグロビン)を使って血中酸素を輸送する。
(3)これらの生体は、銀と銅の見分けが付かずに、銀であっても同様に取り込む。
http://d.hatena.ne.jp/scanner/20130219/1361233803
(4)「ヘモシアニン」を使って血中酸素を輸送する生命は、微量であっても環境中から、せっせとかき集め体内で濃縮する仕組みを持つ。例えば、甲殻類は、2万5千倍濃縮をする。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010402/05.gif
Cu 濃縮率
刺皮類 3.4E+02 = 340
甲殻類 2.5E+04 = 25000
二枚貝軟体部 4.2E+03 = 4200
巻貝軟体部 1.9E+04 = 19000
頭足類 1.4E+04 = 14000
原索類 1.0E+04 = 10000
(5)計算
例えば、海中にAg-110mが、0.001Bq/kg(=1mBq/kg)存在した場合、
2万5千倍濃縮されると、25Bq/kgとなる。
半減期250日なので、500日経過した段階では、
1/4となり、6 Bq/kg程度は残留することになる。
(参考)
Ag-110mについて [2013.7.29]
http://ie.lbl.gov/toi/nuclide.asp?iZA=470410
光子エネルギー[keV]と放出割合
657.762 94.0%
763.944 22.1%
884.685 72.2%
937.493 34.13%
1384.300 24.12%
※もし、NaI(Tl)シンチでAg-110mを検出した場合は、Cs-137(662keV)として判定される。しかし、885keVにもピークが有るかどうかを判断することで、NaI(Tl)シンチであっても、Ag-110mの検出が可能と思われる。
(資料)
「110mAgは、イカの内蔵に検出される。」
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/No7-5.pdf
放射能測定法シリーズ 7 ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー
page-221(pdf ページ 44/61 )
追記)2014.1.8
銀110mの分布。
平成 24 年 9 月 1 日時点。平成 24 年 12 月 1 日時点。
福島第一原子力発電所から 80 km
圏内の空間線量率及び放射性物質沈着量の測定
http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat03/pdf05/appendix2-2-1.pdf
http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat03/pdf05/cover.pdf
(記事履歴)
2013.7.29 追記「Ag-110mについて」
2013.8.8 追記 放射能測定法シリーズ
2014.1.8 追記 銀110mの分布。
2014.4.25 放射能測定法シリーズ7 [110m Ag イカの内蔵に検出される]を挿入。
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