【注意:NaIシンチもしくはゲルマを用いて食品放射能の測定に携わるオペレータ向けの記事です。】
ゲルマで土壌を計測定量しました。
(さかな-さんぺいさんのご好意で公開されたデータです。)
NaIシンチは、796keVでCs-134を定量し、
605-622keVでCs-134+Cs-137を定量し、
K-40によるコンプトン散乱分を差し引くなどの工夫で定量精度を上げていると伺っています。
しかしそれでも、土壌の定量は難しく、ウラン系列やトリウム系列の核種がイタズラをするようです。
今回ご紹介するのは、796keVでCs-134を定量する場合に影響するAc-228のスペクトルの局所部分の拡大図です。
Cs-134とAc-228が重なって見えていると思われるスペクトルを得ましたのでご紹介します。
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2013/04/post-aa9d.html
560-810keVの光子エネルギースペクトルの拡大図を見ると、
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/scanner/20130406/20130406033755_original.jpg
796keVの位置に
Cs-134とラベルがされております。
しかし良く見るとこの場所は2つの山が重なって見えます。
これは、
Ac-228 : 795keV
Cs-134 : 796keV
と推定されます。
装置は、(この図には記載ありませんが、)
Cs-134(605keV):0.36+-0.10 Bq/kg
Cs-134(796keV):0.82+-0.11 Bq/kg
と定量しています。
ただ、
装置のアルゴリズムは、(恐らく)Cs-134の放出割合の大きい605keVを採用している。
また、796keVの値は、明らかに、Ac-228により水増しされていると推定されます。
ちなみに、光子エネルギー全域のスペクトルは次の通りです。
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/scanner/20130406/20130406033752_original.jpg
放出割合の最も大きい(25.8%)911keVの Ac-228で定量している模様です。
装置は、(この図には記載ありませんが、)
Ac-228 : 7.03+-0.59Bq/kg と定量しました。
以上です。
p.s.ですので、もっと賢くNaIシンチの定量アルゴリズムを作るのであれば、911keVを見てAc-228を定量し、Cs-134(796keV)から差し引けば良いと思われます。
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