ゲルマの落とし穴 その3 Co-60
ゲルマの落とし穴 その3 Co-60
サムピークという現象があります。
同時に捕らえた2種の光子エネルギースペクトルを一つのエネルギー値と見なしてカウント表記される現象です。
(サムとは足し算の意味です。)
Cs-134は、主に6つの光子エネルギーのガンマ線を放出します。
光子エネルギー(放出割合)
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Cs-134
563 keV ( 8.4%)
569 keV ( 15.4%)
605 keV ( 97.6%)
796 keV ( 85.5%)
802 keV ( 8.7%)
1365 keV (3.0%)
他
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アイソトープ手帳 p63
Cs-134のガンマ線 605keVと569keVのガンマ線が重なったピーク(サムピーク)は、1174keVに現れます。
一方、Co-60の放出するガンマ線は下記の通りです。
光子エネルギー(放出割合)
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Co-60
1173keV (99.9%)
1333keV(100%)
他
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アイソトープ手帳 p28
Cs-134のサムピーク 1174keVと
Co-60が放出する主要なガンマ線の一つである1173keVのエネルギー差は、1keVしかなく、ゲルマニウム半導体検出器の光子エネルギー分解能未満です。そのため装置の核種データベースソフトウェアは、Co-60として判定表記します。
ユーザーは、この場合、Co-60の別の光子エネルギースペクトルも同時に現れているかどうかで判別します。
すなわち、
1173keV (99.9%)
1333keV(100%)
が同時に検出されていれば、Co-60の存在は間違いはありません。
一方で、
605 keV ( 97.6%) にCs-134が検出されている状態にて、
1174keVのいにCo-60が検出されているのであれば、こちらはCs-134のサムピークであると判定できます。
(参考)
http://www-sdc.med.nagasaki-u.ac.jp/coe/jp/activities/elearning/lecture/01-0105.html
長崎大学のe-learningのスライドです。
Co-60の2つのスペクトルをゲルマニウム半導体検出器とNaIシンチレーション式検出器でエネルギー分解能を比較しています。
(音声が有ります留意。)
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/08/post-ca76.html
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