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2012年11月

2012年11月27日 (火)

計算 もし放射性セシウムが60MBq/km^2降下したならばゲルマで検出は可能だ

■相談事例
最近、放射性物質を含むガレキを焼却した際に煙突から拡散する(であろう)放射性セシウムの降下量を測りたい。
という相談が複数件やって来た。
焼却前後で、土壌中の放射性セシウムの濃度変化を土壌を測定することで測ることができないか?という問い合わせだ。

さてここで考察。
果たして、どの程度の汚染をゲルマニウム半導体検出器を使って測定できるのだろうか。
こうした計算を行うための基本的な考えを考察してみたい。

■土壌測定シミュレーション
例えば、昨年3月の1ヶ月間に長野県の県庁所在地(長野市)には、
Cs-134+Cs-137合算で、2400MBq/km^2降下したと文科省は発表している。2011年3月に長野市に降った放射性物質

2,400 MBq/km^2 = 2400 Bq/m^2 = 0.24 Bq/cm^2

このデータを具体的な事例として利用し、放射性セシウム合算で、0.24Bq/cm^2降下した土壌を計測することを検討する。
土壌のサンプリングの方法や、測定下限値をどの程度とすべきだろうか。

例えば、直径14cmの円を大地に描き、垂直方向に円筒状にくり抜いて土壌をサンプリングすることを考える。
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/07/post-57b8.html

もし、直径14cmの円、深さ5cmの土壌を採取する仮定すると、
円の面積=π*r^2=3.1416 x 7^2=154cm^2。
深さx5cm = 770cc
ここで、土壌の比重を1.3と仮定する。
サンプリングした土壌の重量は、1000g となる。

まとめると、
直径14cmの円で、深さ5cmまで土壌を採取すると、
面積:154cm^2
重量:1kg
となる。

■放射性物質濃度の測定値予測
降下密度が、0.24Bq/cm^2なので、154cm^2で、39Bq
サンプリング土壌の重量は、ぴったり1kgなので、測定濃度は、39Bq/kgになると推定される。
よって、定量下限14Bq/kg程度の測定で十分定量可能な量である。

以上の方法を用いた場合の測定限界はいくつになるだろうか。

例えば、ゲルマでの検出限界を、1Bq/kg(核種あたり0.5Bq/kg)と仮定する。
上記の測定方法で、
0.24Bq/cm^2降下 の時に、
39Bq/kg であった。
よって、
0.006Bq/cm^2
=60Bq/m^2
=60MBq/km^2
以上の降下があれば、土壌検査の手段で検出ができる。ということになる。

■結論
60 MBq/km^2 の降下量(60 Bq/m^2)があれば、土壌検査の手法で放射性セシウムの検出が可能である。

2011年3月に長野市に降った放射性物質



出典:
http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/kansei/houshanou/koukabutu/gekkannkoukabutu.pdf

■事例 2011年3月の1ヶ月で降下した放射性セシウム

長野県の県庁所在地(長野市)に2011年3月の1ヶ月の間に降った放射性物質の降下量は、
データ:
http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/kansei/houshanou/koukabutu/gekkannkoukabutu.pdf
核種 降下密度 単位:MBq/km^2
I-131 : 1700
Cs-134: 1200
Cs-137: 1200

ところで、チェルノブイリの放射線管理区域の開始ゾーンは、
37 GBq/km^2 = 37,000 MBq/km^2 であった。
これは、およそ年間1mSvゾーンであり、
早川マップの第1ゾーン(0.125μSv/h)に相当する。

長野市は放射性セシウム合算値で、
Cs-134+Cs-137 = 2,400 MBq/km^2
だから、約1/15だったってことになる。

■検出された核種:
I-131
Cs-134
Cs-137
Te-129m
Te-129
Ag-110m
Cs-136
Nb-95
La-140

http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/kansei/houshanou/houshanou.htm#3

 長野県では、県内7ヵ所のモニタリングポストにより「空間放射線量」の常時測定を実施しています。また、県内各地域における空間放射線量の簡易測定や 「上水(蛇口水)」と「降下物 (大気中から降下してくる塵等)」の放射能濃度の測定を行っています。それらの測定結果をお知らせします。

場所:長野県環境保全研究所

<月間降下物の測定方法 >
(1) 降水採取器(大型水盤)
(2) 1ヶ月後にバケツに採取
(3) 蒸発用鍋に移す。
(4) 蒸発
(5) 残留物をU8容器に移した後乾燥させる。
(6) ゲルマニウム半導体核種分析装置で測定。

■降下物Q&A
Q:月間降下物による健康への影響はありませんか。
A:約43年間の累積被曝量約0.48mSv

関連記事)
環境放射能水準調査結果 全都道府県の2011年3月の月間降下物

2012年11月18日 (日)

放射性セシウム137は1グラムで3.21テラベクレル

核種(放射性同位元素)を決めると放射能値(Bq:ベクレル)とは質量のことである。

すなわち、質量が分かると全放射能(値)が分かる。
逆に放射能値が分かれば、質量が分かる。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/calc_bq.jpg

Ra-226は、1グラムで37ギガベクレルの放射能(値)だ。

Cs-137は、1グラムで3.2テラベクレルの放射能(値)だ。

Cs-134は、1グラムで47.8テラベクレルの放射能(値)だ。

I-131は、1グラムで4.6ペタベクレルの放射能(値)だ。

○計算式:
http://d.hatena.ne.jp/scanner/20110909/1315520452

○生エクセルシート:
https://dl.dropbox.com/u/37232669/lecture/blog_used/calc_Bq.xls

2012年11月17日 (土)

切り干し大根の放射性物質による二次汚染とその原因

福島県農業総合センター

第2回農業分野における放射性物質試験研究課題成果説明会(平成24年10月29日開催)

http://www4.pref.fukushima.jp/nougyou-centre/kenkyuseika/kenkyu_seika_radiologic.html

農業分野における放射性物質試験研究について

○切り干し大根の放射性物質による二次汚染とその原因
(加工時の放射性物質の動態(切り干し大根))

当日配布資料はこちら(PDF形式 1,296KB)
http://www4.pref.fukushima.jp/nougyou-centre/kenkyuseika/h24_radiologic/121029_siryou.pdf

福島県農業総合センター(郡山市)
切り干し大根 Cs:3421Bq/kg
原因は乾燥時の塵付着による二次汚染。
空間線量率 0.6μSv/h。

Cs-134のガンマ線はCs-137の2.7倍、人体への影響が大きい

Cs-134のガンマ線はCs-137の2.7倍、人体への影響が大きい。

■ベクレルとμSv/hを繋げるには

1ベクレルは、1秒間に1回核崩壊が起きる頻度を言い、放射能の単位です。
これは純粋な物理現象。

一方、空間線量率で用いているマイクロシーベルト毎時は、人体への障害の程度を表す単位。

このベクレルとシーベルトを結びつけるのが、「実効線量率定数 1cm線量当量率定数」という係数です。実効線量率定数 1cm線量当量率定数は、核種(元素の種類)を決めると、あらかじめ、いくつになるか決まっている。

今回、原発から放出された代表的な放射性セシウムは以下の通りです。

核種 : 実効線量率定数 1cm線量当量率定数
Cs-137:0.0779 0.0927 [(μSv/h)/MBq]
Cs-134:0.211  0.249 [(μSv/h)/MBq]

実効線量率定数 1cm線量当量率定数とは、百万ベクレル(1MBq)の核種を中心に置いて、そこから1メートル離れた場所での空間線量率(μSv/h)として定義されている。

この定数を使うと次のことが分かる。
・百万ベクレルの放射性セシウム137から1メートル離れた位置の空間線量率は、0.0779 0.0927 [μSv/h]である。

核種の状態を微少な点と仮定した場合、光と全く同じ扱いができる。よってその強度は、距離の2乗に反比例する。
例えば、距離が1/10に近くなると、100倍強くなる。
・百万ベクレルの放射性セシウム137から0.1メートル離れた位置の空間線量率は、7.79 9.27[μSv/h]である。

また、放射線の強度は、放射性物質の量に比例する。
・1万ベクレルの放射性セシウム137から0.1メートル離れた位置の空間線量率は、0.0779 0.0927 [μSv/h]である。

■Cs-134とCs-137

今回、主に2011年3月15日に、東京電力福島第1原子力発電所2号機から放出した放射性物質は、放射性セシウム134と放射性セシウム137が、Bq値にして、ほぼ1:1の比率で放出されたと言われている。(%1)

しかし、注意して上記の定数を見ると、Cs-134の方が、Cs-137よりも、2.7倍大きな値であることが分かる。
つまり、1回核崩壊した時の人体への影響を較べるとCs-134の方がCs-137よりも、2.7倍強いということになる。
何故だろうか。
これは、スペクトルを見ると分かる。

https://www.imeasure.jp/wp-content/uploads/Ge_sample_fig.pdf

Cs-137は、662keVに1本のガンマ線を発生する。
しかし、Cs-134は、605keV, 796keV, の他に、569keV, 802keV, 563keVにもガンマ線を放出する。
ようするに、1回の崩壊で、5種類のガンマ線を同時に放出する134の方が、1回の崩壊で、1種類のガンマ線を出すCs-137より、人体への影響が強いということになるわけですね。

<参考資料>
%1)「1:1の比率で放出された」
放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/04/post-1d72.html

(修正履歴)
2012.11.18 タイトルを変更。村上直行さんに感謝。
2013.2.9 「実効線量率定数」を「1cm線量当量率定数」に修正。

2012年11月15日 (木)

松本市のパン屋さん スヰト SWEET

百年近い歴史を持つ松本市のパン屋さん

スヰト
SWEET

で放射能測定結果の公開が始まった。
昼時におじゃましたことがある。
並柳店の敷地の一角は公園のように整備され子連れ家族がくつろいでいた。
幼子を思う親の気持ちを汲み取る素敵な経営者が増える事を願う。                  

■SWEET 公式HPより
製品の放射能測定結果は、
おしらせ の記事に記載されています。

(記事履歴)
2017-3-1 BLOG記事へのリンクを訂正しました。
2015-1-9 blog記事への直接ジャンプが不可になっていためカテゴリーURLとした。
2014-4-21 放射能測定結果 vol.8〜vol.9へのリンクを追記しました。
2013-4-8 放射能測定結果 vol.4〜vol.7へのリンクを追記しました。
2012-12-7 SWEET スタッフblogリンクを追記しました。

2012年11月10日 (土)

放射性同位元素及び放射線発生装置の利用に伴う放射線障害の防止のための法令体系

放射性同位元素及び放射線発生装置の利用に伴う放射線障害の防止のための法令体系

[1]
原子力基本法(昭和30年法律第186号)
(昭和三十年十二月十九日法律第百八十六号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S30/S30HO186.html

[2]
核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令(昭和32年政令第325号)
(昭和三十二年十一月二十一日政令第三百二十五号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32SE325.html
[3]
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)
(昭和三十二年六月十日法律第百六十七号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO167.html

[4]
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令(昭和35年政令第259号)
(昭和三十五年九月三十日政令第二百五十九号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35SE259.html

[5]
放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則(昭和35年総理府令第56号)
(昭和三十五年九月三十日総理府令第五十六号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35F03101000056.html

[6]
放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号)
最終改正 平成二十四年三月二十八日 文部科学省告示第五十九号
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2012/04/02/1261331_15_1.pdf

※番号[1]〜[6]は、放射線概論、通商産業研究社、第7版、p618に準拠した。

(記事修正履歴)
2012.11.16 [6]放射線を放出する同位元素の数量等を定める件のリンクを修正。

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