iSHL実験報告:日本茶の放射能抽出率の測定
iSHL : iMeasure Inc. Shinshu Houshanou Laboratory
【iSHL 実験結果報告】 日本茶の放射能移行係数抽出率の測定
1.目的
放射性セシウムに汚染された日本茶の茶葉から、規定のお茶の淹れ方に従って飲料茶を淹れた際に、飲料茶に移行する放射性セシウムの絶対量を測定し、移行係数抽出率を求める。
2.結論移行係数抽出率は、6%であった。
3.実験方法
(1)市販の茶葉を購入。ティーバックを1リットルマリネリ容器に詰め、放射性セシウムの濃度と正味重量を測定する。
放射能測定装置:
テクノエーピー社 ゲルマニウム半導体検出器 TG150B
(2)規定のお茶の淹れ方(%1)に従って、お茶を淹れる。淹れた飲料用茶を1リットルマリネリ容器に移し、体積を1リットルに水増しした後、放射性セシウムの濃度と正味重量を測定する。
(3)残った茶葉を500mLタッパに詰め、放射性セシウムの濃度と正味重量を測定する。
4.実験結果
(1)ティーパックの放射性セシウムの濃度と正味重量
放射性セシウム合算値:175.1Bq/kg
正味重量:404g
・1Lマリネリ容器に、ティーパックを87袋充填することができた。
計算
正味放射能値:70.7404Bq/87袋
一袋あたりの放射能値:0.8131Bq/袋
(2)お茶を淹れる。
ティーパック:30袋
0.8131Bq/袋 X 30
A= 24.39 Bq
放射能測定結果
飲料
1.5+-0.3Bq/kg
1L
補足:
淹れた飲料茶の重量
1240-(670g)=570g
430ccの水を追加して総量を1Lにする。
B= 1.5 +- 0.3 Bq
(3)残った茶葉
残った茶葉
42.1 +- 2.4 Bq/kg
正味重量 555g
正味放射能値:
C=23.37 Bq
■検証
全投入セシウム量:A
飲料に移行した量:B
茶葉に残留した量:C
放射性セシウム総量保存
A=B+Cであるはず。
A=24.39Bq
B+C= 1.5 + 23.37 = 24.87 Bq
判定:2%精度で測定値は整合している。
■結果:
茶葉から飲料への移行抽出量:
B/(B+C)
=1.5/(1.5+23.37)=1.5/24.87= 0.06
誤差を標準偏差(σ)として、
1.5+0.3=1.8
=1.8/(1.8+23.37)=1.8/25.17= 0.0715
1.5-0.3=1.2
=1.2/(1.2+23.37)=1.2/24.57= 0.0488
■結論:
放射性セシウムに汚染された、粉状の緑茶のティーパックからお茶を淹れる実験を行った。
その結果、茶葉から飲料のお茶に移行す抽出される放射性セシウムの移行抽出率は、6%(測定誤差1σにて5〜7%)であった。
(%1)規定のお茶の淹れ方
お湯の温度:70℃
淹れる時間:_分
出典:2011.12._信濃毎日新聞
(記事修正履歴)
2013.9.4 「移行係数」を抽出率に変更。
※移行係数は、一般的に、土壌の放射性物質濃度と、農作物の放射性物質濃度の比率を意味するとのご指摘を頂きました。C-Labのo様ありがとうございました。
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