技術資料(iSHL Technical Report)
2012-9-10
アイメジャー株式会社 信州放射能ラボ
弊社ゲルマニウム半導体検出器による測定結果の精度について
■目的:
ゲルマニウム半導体検出器の測定結果に影響する要因を全て洗い出し、お客様に提供する測定値に関するトレーサビリティーを保証するための環境を整備する。
■内容:
1.定量に影響する要因
現在弊社で把握している放射性物質濃度の測定値に関連する要因ならびに要因毎のバラツキは以下の通りです。
1−1.絶対定量に影響する要因
(要因1)ゲルマニウム半導体検出器 個体差
・機種:テクノエーピー社 TG150B
・シリアル番号:001
・導入日:2012-5-20
(要因2)ゲルマニウム半導体検出器 検体装填空間のコンタミ(汚染)
(要因3)ゲルマニウム半導体検出器 遮蔽
・鉛50mm遮蔽
・銅__mm遮蔽
・アクリル板__mm遮蔽
(要因4)ゲルマニウム半導体検出器 設置環境
(要因41)設置箇所の空間線量の光子スペクトル
・長野県塩尻市大門幸町 中島コーポ 1F中号
N36.116696E137.955314
(要因42)設置箇所の気温
(要因5)ゲルマニウム半導体検出器 駆動条件
(要因51) 測定時間
・容器毎に測定時間vs検出限界値を得る。
・X軸:測定時間、Y軸:検出限界値をグラフにして、両対数座標軸で表示する。
・漸近線を得て、検出限界値推定のための近似式を得る。
詳細は下記:
ゲルマニウム半導体検出器の検出限界を測る
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/06/post-ebe3.html
(要因52)駆動ソフトウェア バージョン
(要因53) バックグランドデータ
(要因6)(メーカーが)校正に使った標準線源
・日本アイソトープ協会製
・第1次校正日:2012-5-20
(要因7)容器
・納品時、標準線源が充填された容器を使って、容器毎に校正が行われます。
・容器の種類:
a.1Lマリネリ
b.750mLタッパ
c.500mLタッパ(750mLタッパと容器は共用)
d.V5容器(630mL)
1−2.相対定量に影響する要因〜繰り返し再現に影響する要因
(要因71)容器へ検体を詰めた際の幾何学的な要因
(要因711)容器への検体を詰めた際の 体積精度
・規定の体積に対する過剰装填、もしくは、不足装填による測定結果への影響。
・一般的に、規定装填の上面の過不足は、センサからの距離が遠くなるにつれて、検出効率が低下するため(%1)、過剰装填は、絶対測定値の低下に寄与します。同様に、不足装填は、絶対測定値の増加に寄与します。
(要因712)容器への検体を詰めた際の 検体装填不均一生
・マリネリ容器の底の部分が空洞ができている場合など。(マリネリ容器内に装填してポリ袋の突っ張りのために、マリネリ容器底部に空洞ができて、検体の充填率がゼロの空洞が広がっている場合など)
・マリネリ容器を水平に置いた際に検体の表面が水平になっておらず、斜めの場合など。
(要因713)ゲルマニウム半導体検出器 検体装填空間内での 容器の設置位置の繰り返し精度
・検体装填空間内で、容器の位置が(線、ミラー、回転)対称となる位置に1mm以下の精度で設置。
(要因72)容器への検体を詰めた際の充填率(検体密度)
・検体密度の高低は、測定時間の長短と同じ効果となる。すなわち、密度が半分の場合、測定時間が半分になったのと同じ。
(%1)センサからの距離が遠くなるにつれて、検出効率が低下する。
この理由は、容器に装填された放射性物質から見た時の、ゲルマニウム半導体検出部を見込む立体角度の占める割合が主たる要因です。厳密には、検出部を見込む立体角度の中にも、放射性物質から見た時に、視線方向に通過する検出部の実効距離が影響すると推定します。
具体的な検出効率の概念図は、山田先生@日本アイソトープ協会の下記講演テキストをご覧下さい。
http://www.nmij.jp/public/event/2011/forum2011/presentation/yamada.pdf
ページ21/37
体積線源に対するGe検出器の計数効率
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