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2012年6月18日 (月)

ゲルマニウム半導体検出器の検出限界を測る

ゲルマニウム半導体検出器の検出限界値を決める作業を公開します。

 

食品放射能検査装置の検出限界値は、
(1)装置の感度
(2)検体を入れる容器の形状
(3)検体の量
(4)計測時間
に影響を受けます。(%1)

 

逆に言えば、装置が決まって、容器を決めて、検体の量と計測時間を決めると、その装置が精一杯がんばってもこれ以下は「見えない」という検出限界値が判ります。

 

測定を業務にするには、まずこの自社で使っている装置の検出限界値を把握しなければなりません。

 

放射能測定装置を作っているメーカーが提唱する製品仕様を鵜呑みにして、そのまま、ユーザーに告知するだけではなく、自らも計測して、メーカーが言っていることが正しいのかどうか、検証する能力が期待されます。

 

また、メーカーが出荷した時と実際に自社で使用する時と、以下の異なる環境要因に影響される可能性があります。そこで、自社でも必ず行う必要があります。

 

(a)設置場所の空間線量(花崗岩質の地盤であれば、K-40が強い)
(b)維持管理体制(埃、や手の汗、被測定物の付着による、測定空間内部の汚染、容器の汚染)
では、さっそく装置のチャンピオンデータ(これ以上の実力は出ない)を取ってみましょう。

■1.測定
容器を設置し、何も入れずに、測定を開始します。

 

表示される HH:MM:SS Cs-137 < n.nnn という値を記録し続けます。
例 00:05:06 Cs-137 <6.9 Bq/kg
http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/ge_1l_raw_data_.jpg

 

■2.グラフにする
横軸:時間
縦軸:検出限界値 [Bq/kg]
をプロットします。
プロット後、縦軸、横軸共に「対数」で表示します。

 

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/ge_1l_plot_fig1.jpg
対数にすると右下がりの 傾きが約 −0.5の直線になります。
何故か。
放射線の計測数は自然現象であり「ポアソン分布」に従うためです。
ポアソン分布とは、数えた数の平方根がノイズ(揺らぎ)になるという現象です。
例えば、100coutすると、+-10coutの揺らぎがある。
10000countすると、+-100countの揺らぎがある。
相対誤差を計算すると
10/100= 0.1 = 10%
100/10000= 0.01 = 1 %
つまり、数える放射線が100倍になると、不確かさは、10分の1に減ります。
同様に、検出限界値を半分にするには、4倍の時間が、1/10にするには、計測時間として、100倍の時間がかかるという事実は、このポアソン分布という自然現象に由来します。回避策がありません。

 

■3.漸近線を引く
http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/ge_1l_plot_fitting_fig2.jpg

 

メーカーが発表している、製品仕様値では、1時間で何Bq/kgか、や1Bq/kgを検出するには、何時間測定すべきかが書いてあります。
しかし、任意の測定値例えば、飲料規制値10Bq/kgに対して、1/4の2.5Bq/kgを検出限界値とするための計測時間を求めるには、ここで行ったような実験を通じて、装置の能力を把握し、漸近線を求めて、その式から逆算する必要があります。

 

■4.測定時間から検出限界値を求める
http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/ge_1l_spec.jpg

 

式が求まれば、任意の計測時間での検出限界値を求めることができます。

 


 

(%1)これらを「要因」と呼び、検出限界値のことを「特性値」と呼びます。
特性値が、どのような要因から影響を受けているか?を整理したものは、特性要因図と呼ばれ、かつて工場を国内に持ち、品質管理運動(QCサークル)を展開した方々は良くご存知の言葉。)

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