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« ゲルマニウムの何がスゴイのか その3 | トップページ | 放射能測定器誤読事件簿 その2 »

2012年4月18日 (水)

放射能測定器誤読事件簿 その1

今年に入ってから何件か、サーベイメータや放射能測定器の測定結果を「誤読」し、その「誤読」が拡散され、最後には「デマ」となってtwitter上で騒ぎになったことがありました。

・食材や飲料の放射能濃度のことは、命に関わる問題であること。

・それを心配する親や保護者、家族の気持ちに徹底的に寄り添うこと。

以上の2点から、心配し過ぎるくらいでもちょうどイイ と個人的には考えております。

ただこのところ、誤読による騒ぎは、目に余る場合もあります。
そこで、ここでも時々取り上げようと想います。

ただし、このテーマ「放射能測定器誤読事件簿」での記事は、読者対象として、
(1)放射能測定所のオペレータ、
(2)オペレータの卵として修行中の方、
を意識します。
もし、このどちらでもない方は、すみません。読み飛ばして下さい。

○その1:八王子雪祭り(2012年1月)
今年1月、めずらしく東京に雪が降りました。民間の放射能測定所のオペレータが、乗用車の屋根に積もった雪を測定所のシンチレーション式のベクレルモニタで計測しました。その結果、ヨウ素が検出されたため、そのままblogに公開&発表しました。結果、「東京都八王子市でも雪から放射性ヨウ素131が検出された。」とtwitterやfacebook 上で騒ぎになりました。
→シンチレーション式のベクレルモニタでヨウ素131が検出できるのは、放出から、40日程度(半減期8日の5倍が限度)です。
雪の結晶の核となった土壌などに含まれる放射性物質の誤読と推定されます。
数百万円もする鉛遮蔽した、NaI(Tl)シンチレーション式ベクレルモニタであっても、このように誤検出をします。
「ゲルマの何がスゴイのか」シリーズをお読みの読者はもう判りですよね。^^)

○その2:山崎春のパン祭り
山崎パンを半分に包丁で切ってGM式のサーベイメータをパンの中に突っ込み、空間線量を測定し、「放射能が検出された」、と語る動画がYuTubeに投稿されていました。私は営業妨害目的の冗談かと想って笑いこけながら見ていましたが、そう想わなかった方は多かったようです。
→ガイガーミュラー式のサーベイメータを使って、低濃度の放射能の計測は不可能です。

○その3:納豆から放射能を検出の騒ぎ
これも、その1やその2の範疇。

○その4:雑誌週刊プレイボーイの記事騒ぎ
これも、GM管(ガイガーミューラー管)を使ったサーベイメータを転用した(超簡易的)放射能測定器であり、鉛遮蔽もせずに、H24.4.1からの新基準の低濃度放射能は測定は困難です。
カタログを見ると定価は9万円近く、実売は3〜5万円程度の測定器ですが、これで「新基準の低濃度放射能を測定できます」と、もし販売側が明言するのであれば、ここの読者のみなさんは、ぜひ眉につばを付けましょう。

○その5:高知県や宮崎県のお米の放射能検出騒ぎ

誤解を生むblog記事だったので、URLを書きます。

http://infosecurity.jp/archives/15737

NaI(Tl)のシンチレーション式サーベイメータを使って、簡易測定した米の測定結果の報告書の画像が貼ってあります。報告書には、「150Bq/kg以下は、参考値である」と明記してありますが、報告者は正直に測定値 9 Bq/kg と記載しました。この報告書の数字のみを捕まえて、このblogでは、「○○県の米から放射能が検出された」と書いています。

→鉛遮蔽していないNaI(Tl)シンチレーション式のサーベイメータで、H24.4.1からの新基準の放射能測定は無理があります。ましてや9Bq/kgや21Bq/kgなどの低濃度の検出&判定は無茶です。
→もう一つの問題は、報告書が「不確かさ」を明記しないことも誤解を増殖しています。もし、150Bq/kg以下を検出限界と言うのであれば、
(検出限界を3σと仮定した場合)
 9 ± 50 Bq/kgと 記載すべきかなと思います。
またもし、150Bq/kgが定量下限値で(10σの意味)であれば、
 9 ± 15 Bq/kgと記載すべきかなと思います。
そうすれば、マイナス側に引いた場合は、負の値(つまりゼロ)かもしれない数字だ。
と数字を読める人は判る。

以上をまとめますと、現時点では、次の程度は基礎知識として持っていて良いと想います。

[1]H24.4.1からの新基準の放射能を検出するためには、鉛遮蔽しない、サーベイメータでは、定量には無理がある。
測定器が鉛遮蔽していないGM(ガイガーミュラー)管、鉛遮蔽していないシンチレーション式ガンマ線スペクトロメータ、などのサーベイメータでの計測値は、あくまで参考値であって、まともに相手にしないこと。たとえその装置が、100万円もするものであってもです。

[2]100万円以上もする鉛遮蔽したシンチレーション式のガンマ線スペクトロメータを使った場合でも、土壌や飲料水の測定は、誤測定が発生します。

万が一、検出された場合は、必ず、ゲルマニウム半導体検出器によるダブルチェック(クロスチェック)を受ける体制を持っている、放射能測定所のオペレータの意見を聞きましょう。

[3]信州放射能ラボのベクレルモニタのカテゴリーに掲載されている機種か?
下記参照ください。新製品情報が未掲載の場合は、ぜひお知らせください。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/cat22912414/index.html

 未登録ベクレルモニタのお知らせ先 → info_at_imeasure.jp

 [ _at_ ] を@に置き換えて送信ください。

[4]セカンドオピニオンの提唱

最後に、もし貴方が高いお金を出して放射能測定結果を得た場合、「セカンドオピニオン」を他の放射能測定オペレータからもらいましょう。そのために必要な情報は下記の情報です。ぜひ、放射能の測定結果だけでなく、その生データである「光子エネルギースペクトル」も見せてもらうように、オペレータに要求しましょう。

a.測定器のメーカーと型番:例えば、ベルトールドジャパンLB-2045
 a-1.シンチレーション結晶やセンサの材料:NaI, CsI, CdTe, LaBr3, Ge, Si-PD など。
 a-2.結晶の寸法:Φ2インチx2インチ長さ、Φ3インチなど。
 a-3.遮蔽用材料厚さ:鉛50mmなど。
b.容器(マリネリ)の容量と検体の重量
c.測定時間
d.検出限界 Bq/kg
 核種毎、もしくは、放射性セシウム合算値。
 (100%容器に充填した場合のチャンピオンデータ。)
e.測定結果
 e-1.放射性ヨウ素131、放射性セシウム134、放射性セシウム137、
   放射性セシウム合算値、放射性カリウム40の測定結果。
 e-2.不確かさ ±Bq/kg もしくは、 ±%
 e-3.光子エネルギースペクトルのグラフ
 e-4.できれば、グラフの元データとなる.xlsや.csvファイル
  (追加費用を請求される場合もあります。)
f.オペレータの所属と氏名

以上です。

{記事修正履歴}
2012-4-18 「もし、150Bq/kg以下を検出限界と言うのであれば、
(検出限界を3σと仮定した場合) 9 ± 50 Bq/kg」に修正。
(@clear_wt さんに感謝。)

2012-4-19 シンチレーション結晶やセンサの材料:に CdTe を追加。

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