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2012年4月

2012年4月27日 (金)

ベクレルモニタを選ぶ10の注意点

ベクレルモニタを選ぶ10の注意点

ベクレルモニタ要求仕様書(案)

1.この文書の目的

昨年度、手を挙げた自治体に対して、消費者庁からベクレルモニタの配分が始まりました。(*1)
未来の子どもたちから借りた貴重な税金です。
タダでもらうからと、自治体職員は、メーカーや販売代理店に機種選定を丸投げしないでください。
タダでもらうからと、自治体住民は、自治体職員に機種選定を丸投げしないでください。
機器の能力を把握し、選定に積極的に関わっていきましょう。
ということで、
ベクレルモニタをどのような観点で選定すべきか、を書きます。

2.ベクレルモニタとは、

食品や飲料水の放射能濃度を測定する専用の測定装置です。
部品と構造は、自治体が空間線量率[μSv/h]を測定している装置と同等の機械を主要部品とし、更にその回りを鉛(なまり)で囲った構造を持つ計測装置です。
正式には、
「ヨウ化ナトリウムを使った、シンチレーション式ガンマ線スペクトロメータ」
と言います。
現在、国内で販売されている製品の定価は、180万円〜460万円です。

3.押さえて置くべき仕様

3−1.本体性能
 1)シンチレーション結晶の体積(Typ. Φ3inch)
 2)検体容器の容積(Typ. 1L)
 3)検体容器の周りを覆う鉛遮蔽体の厚さ(Typ.50mm)
 4)放射能検出&定量のためのソフトウェアプログラム
 5)製品は国産か海外品か
 6)ソフトウェア画面、取り扱い説明書は日本語で書かれているか

3−2.価格と納期
 7)本体価格 180万円〜460万円
 8)校正の費用、故障時の修理期間と修理費用
 9)納期
3−3.サポート
 10)販売代理店担当者、メーカー営業担当者の対応

4.現在国内で入手可能なベクレルモニタ
 ベクレルモニタ一覧 *2)

5.この記事のお問い合わせ先
 アイメジャー株式会社 信州放射能ラボ
 電話 0263−50−8651
 メール info@imeasure.jp
 担当 一ノ瀬
 詳細は、後ほどメールマガジンで。
http://www.mag2.com/m/0001372810.html
 (GW連休中に第1号を発行予定です。←すみません。まだ宿題温存中^^;))

■次回記事予告:測定時間と検出限界のグラフをどのように読むか。

■補足1

・メーカーは、自社の製品が如何に性能が高く、安いかを売り込むでしょう。

・でも、ベクレルモニタの検出限界と測定時間の関係は、物理的に上記の仕様で限界値が決まります。

・簡単に言うと、検出限界値(理論値)は、(測定時間x検体容積)の平方根に反比例します。つまり、測定時間を4倍すると半分に、100倍すると10分の1になります。

・従って、検出部(シンチレータ)の容積が大きい程、短時間で狙った検出限界値を達成できます。一度にセットできる検体の容積が大きい程、同じことが言えます。(但し、容器は、それだけ検体の量も要求します。)

・暫くは、かつて有った、デジカメの画素数だけの競争や、イメージスキャナの光学解像度だけの競争、のように単に数字の競争になると思いますので購入者は注意が必要です。

■補足2
写真撮影にたとえると、
・シンチレーション式のサーベイメータがフィルム(センサ)、
・放射能を調べたい検体が被写体、
・フィルムが被写体以外の光(ガンマ線)で露光しないように、真っ暗にするための遮蔽箱が、鉛容器。
に相当します。

カメラの裏フタを開けると写真が撮れないように、鉛遮蔽しない方法で、放射能測定した放射能濃度の測定結果(例えば、鉛遮蔽せずにサーベイメータだけで計測)は、あくまで参考値であると考えるべきです。

夜景や星の写真撮影をしている方は理解し易いと思いますが、
(1)しっかり遮蔽しないと、光が漏れます。→ 鉛は厚いほど良い。
(2)センサの寸法が大きい程、綺麗な写真が撮れる。→センサの寸法、容積は大きい程良い。
(3)しっかりと露光時間を掛ける程、綺麗な写真が撮れる。→測定時間は長い程、精度が高く(検出下限値が低く)なる。

*1)消費者庁からベクレルモニタの配分
http://www.caa.go.jp/jisin/index.html#m021
http://www.caa.go.jp/jisin/pdf/20120426_4_haibun.pdf

*2)ベクレルモニタ一覧 2011.11.27時点
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2011/10/post-625d.html
カテゴリ記事 ベクレルモニタ 2012.4.5現在 
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/cat22912414/index.html

2012年4月21日 (土)

焼却灰に含まれる放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率を検証する

報道される焼却灰の放射性セシウムの濃度について Cs−134とCs−137の比率をチェックしてみました。

脱水汚泥、焼却灰他の放射能測定について
東部浄化センター 長野市大豆島4330

日付, Cs-134, Cs-137 [Bq/kg]
2011.5.19,947,1040
2011.7.20,280,360
2011.8.31,250,240
2011.9.28,121,145
2011.10.5,94,130
2011.10.12,88,100
2011.10.26,63,91
2011.11.7,51,60
2011.11.14,67,91
2011.11.25,77,93
2011.12.13,70,91
2012.1.4,69,88
2012.1.16,<50,61
2012.3.19,71,83
測定値出典:
http://www.city.nagano.nagano.jp/soshiki/gesisetu/23277.html

計算値:

放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率

http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/04/post-1d72.html

追記:
2012-10-9 最新情報 Update

http://www.city.nagano.nagano.jp/soshiki/gesisetu/61644.html

塩尻市で4/18日採取したハウス栽培の原木シイタケからCs-137のみキログラムあたり 2.7ベクレル検出

<< 放射性物質検査結果 >>
○主体:長野県林務部
○検査所:長野県環境保全研究所(長野市)
○検体:塩尻市で4/18日採取したハウス栽培の原木シイタケ
○結果:原木シイタケ(塩尻市):Cs-134 ND, Cs-137 2.7 Bq/kg
[規格基準:< 50Bq/kg(乳児)、< 100 Bq/kg(他),食品放射性セシウム合算値,H24.4.1~]
○出典:2012.4.21信濃毎日新聞33面

(ichinose memo:)

この、Cs-137の濃度 2.7Bq/kgに対して、ゲルマニウムで、Cs-134が検出されなかったという事実は、検証すべき結果だ。

放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率

からわかるとおり、2012-4-18採取、4-19に検査したと仮定すると、
http://www.kani.com/ycrms/CalcCs/ より
Cs-137:Cs-134= 1:0.7088 となる。
よって、 2.7 Bq/kg : 1.89 Bq/kgとなる。
これは、ゲルマニウムで十分検出できる量だ。
しかし、NDだった。
つまり、長野県の検査結果が正しいと仮定すると、このキノコに入っている放射性セシウム137は、東京電力福島第一原子力発電所以外から「も」来ている、と推定される。

{記事修正履歴}
・2012-6-1

正2.7 Bq/kg : 1.89 Bq/kg

誤2.7g/kg : 1.89g/kg

東京電力福島第1原子力発電所から放出された放射性セシウム137の総重量は?

226グラムの放射性ラジウム226の中には、アボガドロ数(6.02x10^23個)だけの数の原子が詰まっている。1600年で半分になる割合で減り続ける。よって、1グラムあたり1秒後には、36.6G(ギガ)個が核崩壊を起こしラジウムではない別の原子になる。キュリー婦人に由来し1Ci(キューリー)と定義。

137グラムの放射性セシウム137の中には、アボガドロ数(6.02x10^23個)だけの数の原子が詰まっている。30年で半分になる割合で減り続ける。1グラムあたり1秒後には、3.21T(テラ)個が核崩壊を起こしセシウムではない別の原子になる。Cs-137は1gで3.21TBq(テラ ベクレル)だ。

東京電力福島第1原子力発電所から放出された放射性セシウム137の総重量が、国会で報告されたように広島原爆の168倍、つまり15ペタ ベクレル(15PBq)と仮定した場合、1グラムあたり、3.21TBq(テラ ベクレル)なので、約4.7kgとなる。

初出:https://twitter.com/#!/ichinoseshu/status/188166766558588928/

放射性ラジウム226は1グラムで36.6ギガベクレルだ。
チェルノブイリの放射性物質管理基準の第一ゾーンが、37GBq/km^2という一見中途半端な数字から始まる理由は、じつは、1グラムの放射性ラジウム226の放射能値 1Ci で、放射能の計量の単位が始まったからだ。

東京都 あきる野市 秋川上流 H24.2.24 ヤマメ 放射性セシウム 81 Bq/kg

食品中の放射性物質の検査結果について(第332報)

○主体:厚生労働省
○年月日:平成24年2月24日
一部
NO 実施主体 産地 結果 Cs-134/Cs-137(放射性セシウム合算値
229 栃木県 那須塩原市 那珂川 ヤマメ 87.7 / 115.0(202.7)
235 栃木県 日光市 小百川 イワナ 111.0 / 158.0 ( 269 )
332 茨城県 北茨木市沖 シラウオ 14 / 20 ( 34 )
334 茨城県 鹿嶋市沖 マアジ 10 / 13 ( 23 )
391 千葉県 成田市 フナ 15 / 23 ( 38 )
438 東京都 あきる野市 秋川上流域 ヤマメ 34 / 47 ( 81 )
出典:
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000023p4a.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000023p4a-att/2r98520000023p7z.pdf

千曲川で4/11-13日採取したウグイから2.3Bq/kgの放射性セシウム検出

<< 放射性物質検査結果 >>
○主体:長野県農政部
○検査所:長野県環境保全研究所(長野市)
○検体:上田市、佐久市の千曲川で4/11-13日採取したウグイ
○結果:
ウグイ(上田市):Cs-134 0.8 Bq/kg, Cs-137 1.5 Bq/kg
ウグイ(佐久市):Cs-134 ND, Cs-137 1.7 Bq/kg
[規格基準*1:< 50Bq/kg(乳児)、< 100 Bq/kg(他),食品放射性セシウム合算値,H24.4.1~]
○出典:2012.4.20信濃毎日新聞33面
○参考:
*1)規格基準
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令、乳及び乳製 品の成分規格等に関する省令別表の二の(一)の(1)の規定に基づき厚生労 働大臣が定める放射性物質を定める件及び食品、添加物等の規格基準の一部 を改正する件について
http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/tuuchi_120316.pdf

2012年4月20日 (金)

放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率

放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率

またまた、オペレータ向けの話題です。

放射能測定結果が、ベクレルモニタに表示された時に、
その放射能の値がホントに正しい値かどうか、を判断するためのチェックポイントの1つとして、放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率に注目する必要があります。

理由は次の3点です。

1)福島第1原発由来の放射性セシウムは、放出された時点で、所定の比率で放出されたと言われています。
その結果、半減期をつかって、測定した年月日時点でのCs-134:Cs-137比率を計算することができます。
この計算により予測される比率に比べて極端に異なるようであれば、測定値を疑う必要があります。

2)Cs-134の放射能値を独立定量し、Cs-137の放射能値は、550〜700keVまでの全ガンマ線量の定量値から、Cs-134の値を引き算することで、Cs-137の放射能値を定量する「アルゴリズム」を使って算出するケースがあります。
この方法を使った場合、Bi-214(609keV)などが混入している場合、Cs-137の放射能値が、多めに出ることになります。

3)土壌などの放射能値を計測した場合、Cs-134は、半減期が2年のため、10年もすれば、殆ど核崩壊で無視できる程度の放射能値となりますが、Cs-137は、半減期が30年のため、150年経過しても、まだ1/32は生き残っています。
つまり、Cs-137の放射能濃度がどのくらいあるのか?が長期的に見た場合、圧倒的に重要な数字となります。

■LaBr3シンチレーション式ガンマ線スペクトロメータで得たガンマ線スペクトルの代表事例

実測したデータ:

LaBr3シンチで得た焼却灰の比率は、次の通りでした。
Cs-137: 9174.38 Bq/kg
Cs-134: 6411.98 Bq/kg
比率は、1:0.6989

ちなみに、2011.3.15時点での放出比率を1:1と仮定した場合の理論値(*1)は、 測定した、2012.2.18にて、
1:0.7469

 

CalcCs.exe (programming by かにこむ & produced by iSHL)

測定所オペレータ必携の放射性セシウム計算機です。

■携帯電話 スマホ向け
http://www.kani.com/ycrms/CalcCsWeb/

■PC (Windows)向け:
http://www.kani.com/ycrms/CalcCs/

一ノ瀬memo)無料ソフトウェア(Windows用)です。私が基本設計しました。いろんな使い方ができます。任意の日付のセシウム比率を求めるだけでなく、「今日測定した土壌の放射能値が、数年後いくつになるか。」などの計算が可能です。

Web版 携帯電話用(ただし今日の比率 Cs-134/Cs-137 のみ。3/15を選ぶ。)
http://www.kani.com/ycrms/CalcCsWeb/

■参考文献

(1)河田 燕@産業技術総合研究所、山田 崇裕@日本アイソトープ協会
原子力事故により放出された 放射性セシウムの 134Cs/137Cs 放射能比について

http://www.jrias.or.jp/member/pdf/201205_HOUSYASEN_RIJYUKU_KAWADA.pdf

memo:放射性セシウム134と放射性セシウム137の比率に関する考察の論文。1:1になる必然性は無い事。Xe-134が安定で有る幸運など。

(2)千葉豪@北海道大学
http://nms.qe.eng.hokudai.ac.jp/nuclear_safety/main.pdf
福島第一原発構内における土壌中の放射能測定データを用いた検討
- Cs-136/Cs-137、Te-132/Te-129m 放射能比 -(改訂 12)
千葉豪@北海道大学、平成 23 年 7 月 9 日
memo「Cs-134と-137の放射能濃度がほぼ同程度であることことから、一定出力の燃焼計算を行い、Cs-134と-137の放射能が同程度となるような燃焼期間とした。」

(3)小森昌史、小豆川勝見、野川憲夫、松尾基之 @東京大学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/62/6/62_475/_pdf
134Cs/137Cs放射能比を指標とした福島第一原子力発電所事故に由来する放射性核種の放出原子炉別汚染評価,分析化学,62(6), 475, 2013

(記事修正履歴)
2013.8.19 小豆川先生の論文を追記。

シンチレーション式ガンマ線スペクトロメータの放射性セシウムの定量のしくみ

引き続き、オペレータ向けの話題です。

NaI(Tl)シンチレーション式ガンマ線スペクトロメータは、放射性セシウムの合算値(Cs-134とCs-137の合わせた値)をどのように計測しているのでしょうか。

■基礎データ:http://ie.lbl.gov/toi/radSearch.asp
Cs-134の光子エネルギースペクトル ピーク(1%以上)
563.246 keV 8.35%
569.331 keV 15.38% **
604.721 keV 97.62% **
795.864 keV 85.53% **
801.953 keV 8.69%
1167.968 keV 1.789%
1365.185 keV 3.014%

Cs-137の光子エネルギースペクトル ピーク
661.657 keV 85.1% **

■NaI(Tl)シンチレーション式ガンマ線スペクトロメータで得たガンマ線スペクトルの代表事例

この装置(TechnoAP TN-300B、NaIΦ3インチx3インチ)では、
赤い山のところで、Cs-137を定量し、
マゼンタ色の山のところで、Cs-134を定量していることが判ります。

赤い山は、661.657 keV
マゼンタ色の山は、795.864 keV
の位置を意味しています。

本来は、Cs-134が出すスペクトルの内、
604.721 keV が最も強い(97.62%)ので、ここを定量すれば感度が高くなるのですが、Cs-137(662keV)と山の裾野が重複してしまうことと、U-238系列由来のBi-214(609.312 keV)が混ざるリスクがある、ことから、もっと高い方に離れたCs-134の別のスペクトル 795.864 keVを使っています。

■LaBr3シンチレーション式ガンマ線スペクトロメータで得たガンマ線スペクトルの代表事例

実測したデータ:

こちらは、LaBr3の光エネルギー分解能が、NaIに比べて、高いため(3.5% at 662keV)
うすい赤色(ピンク)の山は、604.721 keV でCs-134を定量、
こい赤色の山は、661.657 keV でCs-137を定量しています。
605keVと662keVの山が腹筋だとすると、(なんちゅう例えだ)
NaIは、くびれが目立たず、
LaBr3は、腹筋のくびれが目立つって感じですね。^^)

2012年4月19日 (木)

放射能測定器誤読事件簿 その2

概要
昨年(2011年)3月〜4月に、神奈川県川崎市上下水道局にて、放射性ヨウ素の誤検出が相次ぎました。
原因は、NaIシンチレーション式ガンマ線スペクトロメータの誤検出を真に受けた誤判読でした。
川崎市は、4月15日時点で、ゲルマニウム半導体検出器によるクロスチェックを行い、誤りに気付いたようです。
5月17日に、誤検出した経緯の詳細を技術的な解説も加えて、公開しました。


http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/ikuta_20110415.jpg

詳細
http://www.city.kawasaki.jp/80/80syomu/home/urgency/houshanousui_20110517.html

生田浄水場の水道水から検出された放射性物質について

更新日:2011年5月17日

資料1   放射能検出器について(PDFファイル 96KB)

http://www.city.kawasaki.jp/80/80syomu/home/urgency/pdf/siryou1.pdf

資料2   生田浄水場の水道水の放射性ヨウ素測定結果(PDFファイル 52KB)

http://www.city.kawasaki.jp/80/80syomu/home/urgency/pdf/siryou2.pdf

メモ
私がなぜこのサイトを知ったかという経緯もメモに記載します。
昨年9月に放射能測定事業を新たに立ち上げることを決意しました。
どのベクレルモニタを発注しようかと調べ始めた際に、必ずや他の方にも参考になるだろうと始めたのがこのblogです。
ベクレルモニタの機種を決定し、発注した後(既に納期4ヶ月でした^^;)、ネット上の放射能測定に関する技術情報を片っ端から調べ、アーカイブを始めました。
特に参考になったのが、KEK(つくば高エネルギー研究所)の野尻先生のblogです。
生田浄水場の記事は、その野尻先生のblogから知りました。
http://nojirimiho.exblog.jp/14645954/
この場を借りて野尻先生に感謝致します。

また、こうした誤りをきちんと解説付きで公開する姿勢を持つ川崎市の考え方に共感すると共に、ネット上に公開し続けていることに感謝致します。

誤りは誰にでもあります。しかし、その誤りに気付いた時に、それを直ちに公開し、なぜ誤ったかを説明し、後続する者のために、公開し続けることは、簡単なようでいて、当事者になってしまうとなかなかできないことです。
素晴らしい勇気だと思います。

2012年4月18日 (水)

放射能測定器誤読事件簿 その1

今年に入ってから何件か、サーベイメータや放射能測定器の測定結果を「誤読」し、その「誤読」が拡散され、最後には「デマ」となってtwitter上で騒ぎになったことがありました。

・食材や飲料の放射能濃度のことは、命に関わる問題であること。

・それを心配する親や保護者、家族の気持ちに徹底的に寄り添うこと。

以上の2点から、心配し過ぎるくらいでもちょうどイイ と個人的には考えております。

ただこのところ、誤読による騒ぎは、目に余る場合もあります。
そこで、ここでも時々取り上げようと想います。

ただし、このテーマ「放射能測定器誤読事件簿」での記事は、読者対象として、
(1)放射能測定所のオペレータ、
(2)オペレータの卵として修行中の方、
を意識します。
もし、このどちらでもない方は、すみません。読み飛ばして下さい。

○その1:八王子雪祭り(2012年1月)
今年1月、めずらしく東京に雪が降りました。民間の放射能測定所のオペレータが、乗用車の屋根に積もった雪を測定所のシンチレーション式のベクレルモニタで計測しました。その結果、ヨウ素が検出されたため、そのままblogに公開&発表しました。結果、「東京都八王子市でも雪から放射性ヨウ素131が検出された。」とtwitterやfacebook 上で騒ぎになりました。
→シンチレーション式のベクレルモニタでヨウ素131が検出できるのは、放出から、40日程度(半減期8日の5倍が限度)です。
雪の結晶の核となった土壌などに含まれる放射性物質の誤読と推定されます。
数百万円もする鉛遮蔽した、NaI(Tl)シンチレーション式ベクレルモニタであっても、このように誤検出をします。
「ゲルマの何がスゴイのか」シリーズをお読みの読者はもう判りですよね。^^)

○その2:山崎春のパン祭り
山崎パンを半分に包丁で切ってGM式のサーベイメータをパンの中に突っ込み、空間線量を測定し、「放射能が検出された」、と語る動画がYuTubeに投稿されていました。私は営業妨害目的の冗談かと想って笑いこけながら見ていましたが、そう想わなかった方は多かったようです。
→ガイガーミュラー式のサーベイメータを使って、低濃度の放射能の計測は不可能です。

○その3:納豆から放射能を検出の騒ぎ
これも、その1やその2の範疇。

○その4:雑誌週刊プレイボーイの記事騒ぎ
これも、GM管(ガイガーミューラー管)を使ったサーベイメータを転用した(超簡易的)放射能測定器であり、鉛遮蔽もせずに、H24.4.1からの新基準の低濃度放射能は測定は困難です。
カタログを見ると定価は9万円近く、実売は3〜5万円程度の測定器ですが、これで「新基準の低濃度放射能を測定できます」と、もし販売側が明言するのであれば、ここの読者のみなさんは、ぜひ眉につばを付けましょう。

○その5:高知県や宮崎県のお米の放射能検出騒ぎ

誤解を生むblog記事だったので、URLを書きます。

http://infosecurity.jp/archives/15737

NaI(Tl)のシンチレーション式サーベイメータを使って、簡易測定した米の測定結果の報告書の画像が貼ってあります。報告書には、「150Bq/kg以下は、参考値である」と明記してありますが、報告者は正直に測定値 9 Bq/kg と記載しました。この報告書の数字のみを捕まえて、このblogでは、「○○県の米から放射能が検出された」と書いています。

→鉛遮蔽していないNaI(Tl)シンチレーション式のサーベイメータで、H24.4.1からの新基準の放射能測定は無理があります。ましてや9Bq/kgや21Bq/kgなどの低濃度の検出&判定は無茶です。
→もう一つの問題は、報告書が「不確かさ」を明記しないことも誤解を増殖しています。もし、150Bq/kg以下を検出限界と言うのであれば、
(検出限界を3σと仮定した場合)
 9 ± 50 Bq/kgと 記載すべきかなと思います。
またもし、150Bq/kgが定量下限値で(10σの意味)であれば、
 9 ± 15 Bq/kgと記載すべきかなと思います。
そうすれば、マイナス側に引いた場合は、負の値(つまりゼロ)かもしれない数字だ。
と数字を読める人は判る。

以上をまとめますと、現時点では、次の程度は基礎知識として持っていて良いと想います。

[1]H24.4.1からの新基準の放射能を検出するためには、鉛遮蔽しない、サーベイメータでは、定量には無理がある。
測定器が鉛遮蔽していないGM(ガイガーミュラー)管、鉛遮蔽していないシンチレーション式ガンマ線スペクトロメータ、などのサーベイメータでの計測値は、あくまで参考値であって、まともに相手にしないこと。たとえその装置が、100万円もするものであってもです。

[2]100万円以上もする鉛遮蔽したシンチレーション式のガンマ線スペクトロメータを使った場合でも、土壌や飲料水の測定は、誤測定が発生します。

万が一、検出された場合は、必ず、ゲルマニウム半導体検出器によるダブルチェック(クロスチェック)を受ける体制を持っている、放射能測定所のオペレータの意見を聞きましょう。

[3]信州放射能ラボのベクレルモニタのカテゴリーに掲載されている機種か?
下記参照ください。新製品情報が未掲載の場合は、ぜひお知らせください。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/cat22912414/index.html

 未登録ベクレルモニタのお知らせ先 → info_at_imeasure.jp

 [ _at_ ] を@に置き換えて送信ください。

[4]セカンドオピニオンの提唱

最後に、もし貴方が高いお金を出して放射能測定結果を得た場合、「セカンドオピニオン」を他の放射能測定オペレータからもらいましょう。そのために必要な情報は下記の情報です。ぜひ、放射能の測定結果だけでなく、その生データである「光子エネルギースペクトル」も見せてもらうように、オペレータに要求しましょう。

a.測定器のメーカーと型番:例えば、ベルトールドジャパンLB-2045
 a-1.シンチレーション結晶やセンサの材料:NaI, CsI, CdTe, LaBr3, Ge, Si-PD など。
 a-2.結晶の寸法:Φ2インチx2インチ長さ、Φ3インチなど。
 a-3.遮蔽用材料厚さ:鉛50mmなど。
b.容器(マリネリ)の容量と検体の重量
c.測定時間
d.検出限界 Bq/kg
 核種毎、もしくは、放射性セシウム合算値。
 (100%容器に充填した場合のチャンピオンデータ。)
e.測定結果
 e-1.放射性ヨウ素131、放射性セシウム134、放射性セシウム137、
   放射性セシウム合算値、放射性カリウム40の測定結果。
 e-2.不確かさ ±Bq/kg もしくは、 ±%
 e-3.光子エネルギースペクトルのグラフ
 e-4.できれば、グラフの元データとなる.xlsや.csvファイル
  (追加費用を請求される場合もあります。)
f.オペレータの所属と氏名

以上です。

{記事修正履歴}
2012-4-18 「もし、150Bq/kg以下を検出限界と言うのであれば、
(検出限界を3σと仮定した場合) 9 ± 50 Bq/kg」に修正。
(@clear_wt さんに感謝。)

2012-4-19 シンチレーション結晶やセンサの材料:に CdTe を追加。

ゲルマニウムの何がスゴイのか その3

2011年11月4日、大田区産業プラザPiOにて開催されたセミナに参加し、最前列で日本アイソトープ協会の山田先生の講義を拝聴しました。
その際に使用されたスライドが公開されましたので、ご案内します。

出典:

http://www.nmij.jp/public/event/2011/forum2011/presentation/yamada.pdf

日本アイソトープ協会の 山田崇裕先生の pdf 資料より。

このpdfは、3.5MBと大きなファイルですが、実際に講義で使用された豊富な画像やデータを含んでいます。ぜひ、オペレータとなる方は目を通してみて下さい。非常に参考になる情報満載だと想います。

例えば、ゲルマニウム半導体検出器で得たスペクトルの核種の解説のグラフ:

これを見ると、605keVに山が現れる放射性セシウム134(Cs-134)のすぐ隣の 609keVにBi-214という核種が有ることが判ります。

既に、50カ所を超え、100カ所に届くのではないかという勢いで増え続ける市民測定所だけでなく、新年度を迎え予算が付いた自治体へも、続々と放射能測定機の普及が進んでいます。
これらの機種は、ベクレルモニタと呼ばれ、180〜450万円の価格帯で販売されている「シンチレーション式ガンマ線スペクトロメータ」という長い名称のベクレルモニタです。分厚い(50mm以上)鉛で、検体容器を外界から遮蔽する構造となっている点が特徴です。鉛のために総重量は100〜250kg程あります。

【このところ、サーベイメータを使って、放射能測定するケースをネットでも見かけます。しかし その1 で述べた通り、最低でも50mm近い鉛で遮蔽したベクレルモニタ を使わない限り、4月1日から厳しくなった食材や飲料中の低濃度の放射性セシウムの規制値以下の放射能濃度を検出することは困難であることに留意すべきです。 測定結果に不確かさ表記 ± Bq/kgや ± % が有るか。鉛遮蔽された装置か。測定時間は十分かけているか。などの確認をしてください。また、このblogの [カテゴリ:ベクレルモニター] に掲載された機種か?もチェックポイントとなりますのでぜひご利用ください。】

その心臓部にヨウ化ナトリウム(NaI)という結晶を使います。
(NaClは食塩(塩化ナトリウム)ですよね。周期律表では、I(ヨウ素)は、Cl(塩素)の下ですから、NaIはイオン結合の結晶であり、食塩みたいな結晶です。)
NaIは、光子エネルギー分解能が、46keV(7%、at 662keV)のため、609−605=4keVの山の違いを全く見分けることができません。
そのため、Bi-214が含まれる土壌や、雪などを計測した場合、Cs-134と誤判定する場合がありますので、注意が必要です。

<放射性セシウム134と誤認する原因物質>

Cs-134: 605 keV (他に、569, 796 keV)
Bi-214 : 609 keV
(△4keV)

また、土壌や、雪などを計測した場合に、放射性ヨウ素131を検出する誤判定が発生します。この原因となる、核種も上記スペクトルに含まれています。

<放射性ヨウ素131と誤認する原因物質>

Pb-214:352 keV

I-131  : 365 keV

(△3keV)

http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/NORMDB/1_yougosyuu.php

U-238系列核種
U-238(ウラン238)は8回のα壊変と、6回のβ壊変を経て、安定核種のPb-206(鉛206)になります。U-238からPb-206までの核種をU-238系列核種と呼びます。
<壊変系列>
U-238 → Th-234 → Pa-234m → U-234 → Th-230 → Ra-226 → Rn-222 → Po-218 → Pb-214 Bi-214 → Po-214 → Pb-210 → Bi-210 → Po-210 → 安定核種 Pb-206

通常の天然の土壌岩石などは、地域や物質で差はあるもののU-238系列核種を必ず含んでいます。

{記事修正履歴}

2012-4-18 「NaIは、光子エネルギー分解能が、46keV(7%、at 662keV)」

      4.6keV→46keV ケタ間違い。失礼。
2012-4-18 <放射性ヨウ素131と誤認する原因物質>も追記。
2012-4-18 ウラン238系列核種のことを追記。

実験:放射性セシウム137線源からの距離と空間線量率

目的:放射能値が既知の線源(Cs-137)からの距離と空間線量率の関係を調べる
方法:
線源 Cs-137 (ベクレルモニタLB-2045に標準添付される校正用線源)
放射能値 9000Bq (2011/11/3)
サーベイメータ 日立アロカTCS-172B
結果 実測値は理論値と良く一致する。(誤差最大1%)

https://dl.dropbox.com/u/37232669/_drbx_public_iSHL_/blog_used/exp_result_radioactivity_vs_length.pdf

補足
Cs-137の1cm線量等量率定数:0.0927 [(μSv/h)・m^2/MBq]
線源とサーベイメータを密着した状態の距離を28mmと仮定した。

初出:
facebook/R&D.PocketGeiger
http://www.facebook.com/groups/195670113843729/

2012年4月14日 (土)

「認定放射能濃度測定所」の法的根拠が策定された

http://www.jab.or.jp/news/2012/12040900.html

JAB RL364:2012 第2版

「放射能・放射線測定を行う試験所・検査機関の認定指針-ガンマ線スペクトロメトリーによる食品等の放射能濃度測定-」の発行について

2012年4月9日
公益財団法人 日本適合性認定協会

2012年4月13日 (金)

南信の集乳場で採取された源乳の放射能測定結果

南信の集乳場で採取された源乳の放射能測定結果

2012.4.13信濃毎日新聞33面

○長野県発表
○結果:放射性物質は検出されなかった(*1)
(放射性セシウム、放射性ヨウ素)
○サンプリング:
日付:2012.4.12
場所:集乳場
(1)上伊那郡南箕輪村
 採取した飼育牛の源乳:
 1-1.下伊那郡松川町
 1-2.高森町
 1-3.喬木村(たかぎむら)
 1-4.豊丘村

(2)下伊那郡下條村
 採取した飼育牛の源乳:
 2-1.飯田市
 2-2.下伊那郡阿南町
 2-3.阿智村
 2-4.根羽村
 2-5.下条村
 2-6.大鹿村
○測定:長野県環境保全研究所

*1):放射性物質は検出されなかった

(todo 環境保全研の検出限界値を調べること。
ちなみに、民間の検査機関で行われている最も厳しい(と思われる)牛乳の検査結果はこちら→
http://securitytokyo.com/data/kisuki.html
検出限界値 Cs-137 0.047Bq/kg
2Lマリネリ容器で16万秒の測定。
バックグランドは、30万秒でもCs検出しないシールド環境。

30万秒→83時間20分。 (3日+1時間20分)
16万秒→44時間21分40秒。(1日+20時間21分40秒)

ちなみに、弊社で来月(2012-5)導入予定のゲルマニウム半導体検出器の検出限界は、
2時間で、1Bq/kg(3σ)
計算:もし、16万秒やった場合の理論限界は、平方根(7,200/160,000)=0.21
1[Bq/kg]*0.21=0.21Bq/kg

セキュリティー東京のマリネリは2Lなので、平方根(1/2)=1/1.4142
0.21/1.4142=0.1485Bq/kg

0.047Bq/kgってのは、σか?3σか?

(todo セキュリティー東京の検出限界の計算方法を調査すること。3σなのかどうか?)

2012年4月12日 (木)

スマホのカメラで放射線を検出する無料アプリ「GammaPix Lite」は何に使えそうか

http://gigazine.net/news/20120411-gammapix-lite/

1万ベクレルの焼却灰(2万ベクレル/kgを500gとか)の測定には使えますね。

Radiation-watch.org製のポケットガイガーが、3x3mm^2のシリコンフォトダイオードを8個使用で、関東(0.08μSv/h)で、20分測定を推奨している。

(理由は、感度1cpm→0.08μSv/hくらいなので不確かさを一定以下にするため、ガンマ線検出カウント数を20count程度取得と考えているため。)

もし、
スマホのSi-PD(シリコンフォトダイオード)が、3x3mm^2と仮定すれば、関東での推奨測定時間は、8倍となり、160分(2時間40分)。
従って、積分時間として160分を設定できたとしても、実質的には関東ではノイズに埋もれて使えないでしょうね。

文部科学省が、(非常に凝った難しい計算式で)年間20mSvとした場合の、空間線量率を 0.38μSv/hとしました。この線量率にて、4.75倍なので、約40分測定。

40分測定はさすがに長いので、測定時間の待ちとして20分を限界として、更に2倍。結果、0.72μSv/hの空間線量になれば、定量できそう。

この空間線量は、チェルノブイリであれば、
「希望すれば移住が認められるゾーン 0.670~2.011 μSv/h 」のレベル。
http://d.hatena.ne.jp/scanner/20110920/1316524394

ちなみに、9000ベクレルの線源に直接サーベイメータ(TCS-172B)を密着すると1μSv/h程度になるので、1万ベクレル焼却灰の測定程度には使えるかも知れません。

100Bq/kgの薪やガレキを燃やした後に残る焼却灰は、600gで1万ベクレル程度になる。
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2011/12/post-3176.html

初出
http://www.facebook.com/groups/225718720808063/363367677043166/?comment_id=363415767038357

2012年4月 9日 (月)

堆肥 牛ふん 有機質肥料 の放射能値測定結果

【放射能測定結果20120408-003】
購入日:2012.4.8
花とやさいの完熟たい肥、
長野県松本市 有限会社今井テクノ有機。
バーク堆肥、
測定重量:530グラム、
測定時間:15分測定:
Cs-137 ND (< 14Bq/kg) ,
Cs-134 ND ,
ベクレルモニター TechnoAP TS-150B
(I氏より放射能測定結果公開許諾済み)

【放射能測定結果20120408-002】
購入日:2012.4.8
有機質肥料 堆肥、
群馬県伊勢崎市 赤城園芸株式会社。
完熟堆肥、
測定重量:400グラム、
測定時間:15分測定:
Cs-137 51.0+-13.5 Bq/kg,
Cs-134 29.5+-16.0Bq/kg,
放射性セシウム合算値:80.4+-20.9Bq/kg
ベクレルモニター TechnoAP TS-150B
(I氏より放射能測定結果公開許諾済み)

【放射能測定結果20120408-001】
購入日:2012.4.8
牛フン 有機質肥料、
栃木県 有限会社田村ファーム、
土の恋肥土、
測定重量:430グラム、
測定時間:15分測定:
Cs-137 61.0+-12.6 Bq/kg,
Cs-134 24.9+-15.8Bq/kg,
放射性セシウム合算値:85.8+-20.2Bq/kg
ベクレルモニター TechnoAP TS-150B
(I氏より放射能測定結果公開許諾済み)

ちなみに、311前の日本国土における土壌のCs-137汚染度合いは下記記事を参照のこと。
311前の土壌のCs137濃度

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2012年4月 6日 (金)

ぬか漬けの専門メーカーの社長にお会いしました

こないだ ぬか漬けの専門メーカーの社長にお会いしました。

社長から、震災後石巻市に仕事で行った時の話を聞きました。

避難所での食生活は毎日まいにちパンばかり、

慣れない食事に飽きたまさにその時に、

白いご飯と味噌汁と漬け物を食べて喜ぶ人の顔を見たんだんそうです。

そのとき、本当にこの仕事をやっていて良かったと想ったそうです。

復興が進むにつれて、納品先の問屋さんからの注文が次第に増えてきた。
社長は、特に被災地からの注文に対しては、応援の気持ちで、
注文数よりもかならずいつも多く送るんだそうです。
がんばれという気持ちを込めて。

こうした、自分ができる範囲での、復興支援を地道に続けている人がこの信州に居ることを誇りに想います。

箕輪町は、ユニークな企業が多いですね。
食があり、
水があり、
人と人の縁がしっかりしている自治体が、

改めて見直される時代になったと思います。

食の安全を第1に考える若いこれから地域を背負って立つ

自分の仕事に自信と誇りを持った社長を

応援したい、そう思いました。

(2012−4−6)

(記事修正履歴)
2013-5-27 記事見直し。

2012年4月 5日 (木)

ベクレルモニター Techno-X FD-08Cs40 / FD-08Cs100

【放射能測定装置(ベクレルモニター)】

   

model : FD-08Cs40 / FD-08Cs100
連続測定試料数:56検体/50検体
price:¥7.5M / ¥7.7M
detector : シンチレータ式 (CsI(Tl))
detector size :
thickness Pb:
検体容積 :  40mL / 100mL
ADC :  bit
測定核種 : Cs-134 Cs-137【のみ】
エネルギー分解能:
検出限界値(LLD )  :  30Bq/kg / 10Bq/kg(1000秒測定時、3σ)

出典:
http://www.analytik-jena.de/files_db/1333343300_8238__15.pdf

補足:
テクノエックスホームページ:
http://techno-x.co.jp/web/
テクノエックス製品ページ:
http://techno-x.co.jp/web/product/fd_08.php
テクノエックス 谷口 一雄 社長ブログ: 2011-09-14 (水)
「大学時代に「全反射蛍光X線分析装置」の標準化(装置の測定値の信頼性基準)に携わりましたが、今まさに、セシウムにおける信頼性のある装置、測定値につ いて、真剣に各メーカーが取り組む必要があります。幸い、販売締結を行ったアナリティックイエナジャパンでは、化学分析の専門家チームや市場調査専門家 チームもあり、彼らの協力を得て、測定値の信頼性の向上、測定法の標準化などに取り組んでいく覚悟です。」



■2012.6.20追記 (文責:一ノ瀬)

ある方から、この機種はどう?っと質問受けたので、整理してみました。
ーーーーー
この機種は、50検体を自動検査するという機能において、有用な確かな測定器だと高く評価しています。

ただ、テクノXのJSTのYuTube動画は頂けません。
理由は、眉唾部分が2カ所有るためです。
この2カ所が、この動画の技術的な信頼性を落としています。

この動画は、中立的な技術情報という観点よりは、
新しい技術を紹介する際に、特許明細書に述べられる表現方法「いかにこの技術は優れているかを精一杯背伸びして表現する」手法であると、「色メガネ」を掛けてから見ることをお勧めします。

■その1
NaI(Tl)シンチレーション式ガンマ線スペクトロメータ
とCsI(Tl)シリコンフォトダイオード半導体検出器
を比較して、
「CsIが良い」と言うために無理している点です。
1).PMTとSi-PD
(PMT:Photo Multiplier Tube)
(Si-PD:シリコンフォトダイオード)
フォトマルチプライヤチューブを一般的に使用しています。
これは、高電圧をかけて、微細な光を検出します。
例のカミオカンデ(マゼラン星雲の超新星爆発によるニュートリノを捕らえてノーベル賞を受賞した小柴教授の作った世界一巨大なシンチレーション式放射線検出器)のセンサも同じで、浜松フォトクニスが有名なメーカーです。
このPMTに比べて、Si-PDは、「ノイズが出ない」から
高性能だとYuTube動画で言っている点が、??な点です。
感度(フォトン検出効率)の観点から、PMTに勝てるセンサを知りません。

2).NaIとCsI
また、結晶自体の性能について触れていませんが、
NaIとCsIの性能は以下の通りで、NaIの方が優れています。

表2.3:無機シンチレータの特性及び用途
(放射線計測学、オーム社、2003、page-36)
種類, 密度[g/cm^3], λ[nm], 減衰時間[μSec.], 相対効率[%]
NaI(Tl), 3.67, 410, 0.23, 100
CsI(Tl), 4.51, 565, 1.0, 45
CsI(Na), 4.51, 420, 0.63, 80
ZnS(Ag), 4.09, 450, 0.2, 130, α線、中性子
6LiI(Eu), 4.06, 470, 1.4, 35
CdWO4, 7.90, 490, 0.9~20, 17~20
Bi4Ge3O12, 7.13, 480, 0.3, 10

つまり、
CsIは、NaIに対して、感度(45/100)、光子エネルギー分解能、(1.0/0.23)ともに劣っている。
YuTube動画で、間違っていない点は、

(仮定1)もし、「Si-PDをセンサに使う」と決めた場合、
(仮定2)結晶の選択肢として、NaIとCsIの2種を比較した場合、
(結論)Siセンサの感度のマッチングは、NaI(λ=410nm)よりも、CsI(λ=565nm)の方が良い。
つまり、CsI+Si-PDがNaI+Si-PDよりもシステムとして総合感度が高い。という点。(これも本当かどうか未検証です。)

この結論に導くために、無理矢理、「PMTはノイズが多く感度が低い」と評価を下げた点が、このYuTube Movieの全体の信頼性を落としている。と私は見ました。
つまり、技術的なMovieというよりも、特許明細書的な技術表現と言えるでしょう。

■その2
また、検出限界値 17分測定、検体量100mL、放射性セシウム検出限界値:10Bq/kg(1核種あたり)の能力というスペックであるのに対して、この動画を見ると、あたかも「測定時間:数十秒」で達成する能力があるように受け取られる点。
この表現方法も同様にこのMovieの全体の信頼性を落としている。

ただし、繰り返しますが、
この機種は、50検体を自動検査するという機能において、有用な確かな測定器だと高く評価しています。

以上です。

ーーーーー

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