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2012年3月 1日 (木)

サーベイメータによる放射能の検出限界はいくつか

■ 実験結果の解釈 その1

1万5千ベクレル/kgの焼却灰350gを使って、実験をした。
詳細:1万5千ベクレル/kgの焼却灰にてGM管とシンチを比較する
http://imeasure.cocolog-nifty.com/isotope/2012/02/1gm-ea30.html

第1の実験目的は、測定所に宅配送付されてくる測定試料の受け入れ基準を決めるためだ。所定の放射能を超えている場合は、箱を開梱せずに受け取り拒否をするための基準値を決めようと思う。

第2の実験目的は、サーベイメータでどのくらいの少ない放射能までを計れるのか。概算を把握するため。

(放射能はベクレルモニタもしくはゲルマニウム半導体検出器で計測することとして、そのスクリーニング(=フルイ分け)のための前準備として。)

まず、ガンマ線タイプ(TCS-172B)。

これは、全国の自治体で空間線量を計測するために使われているモデル。
塩尻市のバックグランド:0.09μSv/h
15KBq/kgの焼却灰:0.37μSv/h
つまり約4倍の空間線量だ。

次に、β線タイプ(TGS-146B)。

これは、長野県松本市の給食センターの受け入れ検査用に導入され、現在では、安曇野市や富士見町の学校給食の受け入れ検査にも導入されているタイプだ。
バックグランド:76.8 ±10.04 CPM
15KBq/kgの焼却灰:571.9±11.9 CPM
つまり、約7.5倍の線量だ。

最初のガンマ線タイプの測定回数は今回、複数回取得していないので、評価は改めて行うとして、β線タイプでいったいどの程度まで検出可能なのかを検証してみたい。

○仮定:バックグランド値の標準偏差の3倍を超えた線量は、有意である。

測定の定石として、まず上記仮定で計算をする。
標準偏差とは、測定対象となる自然界の物理現象や、測定による誤差を含めて測定値の頻度分布(ヒストグラム)をグラフにした時に、ガウス分布(正規分布)という曲線の形状になることを前提にした測定値のバラツキの度合いを示す指標だ。
その標準偏差の±3倍の範囲に、「真の値」が99.7%の確度で含まれる、という統計上の測定結果の判定方法が3σ(さんしぐまと読む)。

文章だとわかりにくいけど、大学入試の時に、偏差値80を超える人をみなさんはあまり知らないだろう。同じく、偏差値30を切る人にあまり会ったことは無いだろう。なぜなら、1000人に3人の割合だからだ。つまり、偏差値 30〜80の中に、大半(99.7%)の人が居る。
というと判りやすいだろうか。


○仮定2:焼却灰の放射能とβ線のサーベイメータの値は比例する。
今回の実験は、一度だけであり、いくつかの検証が必要である。

例えば、
1)TGS146Bの値は、放射能の濃度(1万5千Bq/kg)に比例するのか。
2)TGS146Bの値は、灰の放射能総量(5.6KBq)に比例するのか。
3)測定器を当てた面積のみに限定されかつ、所定の深さに含まれる体積の中の放射能総量に比例するのか。
などである。
今回は、とりあえず1)を前提とする。(■留意)

○計算
・放射能1万5千Bq/kgの焼却灰は、572CPMであった。
・BG(バックグランド)は、76.8CPMであった。
・この差は、焼却灰の放射能1万5千Bq/kgに由来すると仮定する。(■留意)
→ 15,000/(572-76.8)=約30(Bq/kg)/CPM
つまり、30Bq/kg放射能濃度が上がる毎に、TGS146Bのカウントは、1CPM増える計算だ。

次に、今回の測定方法の検出限界値を求める。
バックグランド:76.8 ±10.04 CPM
X Bq/kgの焼却灰:X ± 11.9 CPM
と成ったときに、Xの最小値はいくつから意味があるか。
安全を見るならば、
まず、76.8 + 3 * 10.04 だろう。
となると、約107CPM

焼却灰も10回計測するとして、平均値の−3σが107CPMを超えれば、確実に放射能を検出したと断言しても良いだろう。
となると、結局、76.8 ±10.04 CPMというバックグランドに対して、
6σを足した値。
つまり、+60CPMとなる。

「30Bq/kg放射能濃度が上がる毎に、TGS146Bのカウントは、1CPM増えている」
ので、定量下限(量的に有意な検出限界)は、1800Bq/kgとなる。
もし、BGの平均値と、焼却灰の平均値の山が3σ離れていれば、十分有意差(検出限界)だと見なし、これを検出限界と仮定するならば、900Bq/kgとなる。

○結論:
TGS146Bを用いて、放射能を計測する場合、検出限界は、900Bq/kgと推定される。
また、確実に有意であると断定できる放射能値は、1800Bq/kg以上であると推定される。

注意:
本考察は、実験結果までは事実であるが、そこから演繹(計算)を行う段階でいくつかの仮定を置いた。
上記文章で、(■留意)としたところ。
仮定が間違っていれば結論も間違う点を留意されたい。

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コメント

こんばんは。この考察にいくつか気づいた点がございますのでコメントさせていただきます。
 この仮定2の選択は3)が実際だと思います。β線は自己遮蔽が大きいので表面の極薄い部分しか寄与しません。そのために食品検査する場合には灰化して灰を測る事が必須になります。146Bの窓の面積いっぱいに1g以下の灰をできるだけ均等に敷いて、キッチンフォイル程度の極薄い汚染防止箔だけを介してむき出しのGM管で測定すると相当感度が上がります。食品ですと灰分は1%程度なので、もとの試料において数10Bq/kgあれば検出可能です。ただしK40との分別はできませんのでカリウムの寄与を食品成分表などで勘定して差し引く必要があります。
 TC146Bの使い方ですが、統計的により良く測定するにはScalerモードで10分くらい測定しカウント数Nとその標準誤差√Nで以降の考察をすると良いとおもいます。
 検出限界の勘定法ですが、このデータのバックグランド値76.8±10から逆算してみますと0.76分の測定でB=58.5カウントあったことに相当しているようです。(sqrt(58.5)/58.5=10/76.8から逆算しました)。その場合の検出限界はNm≈3*sqrt(2*B)=32カウント(すなわち43 cpm)になります(3σの場合)。
 仮定1は「バックグランド計数の2倍の平方根の3倍を超えたら有意である」が(厳密ではありませんが)より正しい勘定です。それが実計数SからバックグランドBを引いて真の値(S-B)を推定しその標準偏差σ=sqrt(S+B)が, (S-B)-3σ>0となる条件に相当するのです。
 必要な正味カウント数から試料のBq数に焼き直すには有効に使える試料の量とβ線検出効率(エネルギーに依存している)を評価する必要があります。

mw_mw_mw様

詳しいコメントをありがとうございました。
とても勉強になります。
感謝です。
弊社では、放射能測定を民間企業として立ち上げて、まだ発展過程ですが、汚染測定も業務に含めるべく勉強中です。またご教授頂く機会があれば、ぜひお願いします。

一ノ瀬

折角146Bと灰をお持ちなので、灰0.5gを測り、薄く拡げてサランラップで覆い、GM管を(カバー無しで)あてて10分間測ってみたらいかがでしょうか。大変高感度で観測てきることがわかると思います。

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