ゲルマニウムの何がすごいのか (番外編)
テクノエーピーから、安価なゲルマニウム半導体検出器が発売になる、と発表されました。
さっそくサイトを見てみると、スペクトルグラフをそのまま貼り付けてあります。
「ゲルマニウムの何がすごいのか」
結論は、エネルギー分解能が高い。
ということなのですが、
その直接的な図を見ることができます。
■NaI(Tl)
http://www.techno-ap.com/img/TN300B_spectrum.png
605keV にCs-134
662keV にCs-137(赤い山)
があって、フタこぶラクダ状態で重なっている。
そのため、
Cs-134は、更に右側(高エネルギー側:マゼンタ色)の山で定量する。
796keV のCs-134 (← この The Isotopes Project Home Pageすごい。)
■ Ge
http://www.techno-ap.com/img/TG150B_graph.png
605 keV にCs-134
662 keV にCs-137
この2つの山の離れ具合といったら!
上のNaI(Tl)のグラフで2コブの重なり合っている山(色の着いてない白い山と赤い山)の部分がゲルマニウム半導体では、このように綺麗に分かれた山として独立して観察されるということが、ゲルマの「スゴイ」ところです。
更には、605 keVの周辺に細かい山が複数見えます。
つまり、Nai(Tl)や、LaBr3などのシンチレーション式のガンマ線スペクトロメータでは、エネルギー分解能が低いために、Cs-134であると見なしてしまう核種をきちんと分離、定量できる、優れたセンサ・・・それが、ゲルマニウムなのです。
(追記20120404:605 keV、Cs-134の右に小さい山が見えると思いますが、これがBi-214です。これがいわゆる八王子市雪祭り騒動の原因です。オペレータはきちんと勉強しないといけません。NaI(Tl)はハサミですから。)
■ LaBr3
ちなみに、テクノエーピーは、LaBr3のシンチレーション式のガンマ線スペクトローメータも販売しています。
弊社で導入したベクレルモニタの1台、TS150Bはこのタイプです。
以下は、松本市内のお茶屋で購入した、H23年度産、静岡県産、茶葉のスペクトルです。
よく見ると、605keVよりも左側が少し浮いているのが判ります。
これは、Cs-134のもう一つのピーク(569keV)です。
ちなみに、300ベクレルの茶葉を使って淹れたお茶の放射能測定結果(検出限界:1Bq/kg未満)は、次の記事をご覧下さい。
実験:緑茶の放射性セシウムは、飲む際にどの程度移行するのか?
■関連記事
ゲルマニウムの何がスゴイのか その1
ゲルマニウムの何がスゴイのか その2
ゲルマニウムの何がすごいのか (番外編)
{記事修正履歴}
2012-4-13 関連記事を追記。
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