ゲルマニウムの何がスゴイのか その2
■ 演色反応
放射性セシウム137は、1回の核崩壊で、662keVという固有の光子エネルギーを持つ光子(ガンマ線と呼ばれるエネルギー強度の電磁波)を放つ。
これは、可視光の「色」とまったく同じ話だ。
「演色反応」という中学時代の理科の実験を覚えて居るだろうか。
ナトリウムは、ガスで燃やすと、黄色の色を出す。
高速道路のトンネルに使われている黄色いランプがナトリウムの演色反応の色。
ガスなどで加熱すると、原子特有の色が出る。
その仕組みは次の通り。
原子は、原子核と電子からなる。
原子核の回りを回る電子は、加熱によりエネルギーを受け取ると、より高いエネルギー状態に持ち上げられる。(状態とエネルギーが飛び飛びという点は、水が、氷から、水、水から水蒸気になるのに少し似ている。)
ここで大切なのは、限られた飛び飛びのエネルギー値しか持ち得ないこと。
電子は、ガスで励起され高い順位に上がる、高いエネルギー状態から、元に戻る時に、エネルギー差の分が、決まった色の光として放たれる。
エネルギー値と光の波長は、一意的に決まる。
エネルギー = 定数 * (1/波長) という関係だ。
エネルギーを[eV]で表し、波長を[nm]で表すと、
[nm] = 1240 / [eV]
となる。
※ 1eV(1電子ボルト)とは、1Vの電位差の有る電界を1つの電子が加速移動した結果、与えられる運動エネルギーに相当。
※ nm とは、ナノメータと読み、1メートルの千分の1 (=mm)の千分の1(=μm:マイクロメートル)の更に、千分の1の「長さ」のこと。
例えば、デジカメのカメラに使うシリコンセンサの特性値が、1.1eVであり、
その結果、1110nmまでの「赤外線」感度が有る。
(ことを利用して危ない写真を撮る人が居る^^)
■光子エネルギーと核種
一方、核種から放たれるガンマ線の場合は同じ電磁波(光子)であっても、電子のエネルギー由来ではない。
アインシュタインが発見した、質量とエネルギーの相互変換の式
e=mc^2
に基づいている。
つまり、放射性物質が放つガンマ線のエネルギーは、そのエネルギーに相当する物質の質量が世の中から消えることで、生まれている。
例えば、137Csが放つエネルギー 662keVに相当する質量が、核種137Csが核崩壊する時に、この世から減った結果、光子が生まれる。
演習問題:1つの137Csが核崩壊したことで、生まれる662keVのガンマ線エネルギーに相当する質量を求めなさい。
(つづく)
joke
アインシュタインダイエット法なんてのが将来生まれるかもしれない。
あなたの無駄なお肉を光子エネルギーで無くします。
でもまあ、1kgを光子エネルギーにして解放したら地球は無くなってるかもしれない。。^^)
■関連記事
ゲルマニウムの何がスゴイのか その1
ゲルマニウムの何がスゴイのか その2
ゲルマニウムの何がすごいのか (番外編)
{記事修正履歴}
2012-4-13 関連記事を追記。
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