「印刷界」2010年8月号(681号),pp52-54
高精度のデスクリーニングを実現
株式会社プランと弊社が共同開発した新しいスキャナ、モデル:OMATA Q31 の紹介記事が掲載されています。購読されている方はぜひご覧下さい。先のブックフェアで発表したモデルです。
記事中にある、「シェーディング補正をマニュアル化」とは、下記のようなカスタマイズのことを指します。
○シェーディング補正とは
まず、シェーディング補正のおさらいから、
(1) 光源の光量、
(2) レンズの透過率、ミラーの反射率
(3) リニア(ライン)イメージセンサの画素毎の感度、
ならびに、
(4) 光源の光量ムラ、
(5) レンズの周辺減光、
(6) リニア(ライン)イメージセンサの画素毎のリニアリティ(直線性)
の6つの変動要因を個体毎、1スキャン毎に補正する仕組みです。
目的は、スキャン値の、絶対反射率(もしくは透過率)再現性と、繰り返し再現性です。
つまり、このシェーディング補正機能のおかげで、どのスキャナでスキャンしても、購入時にスキャンしても、長期間使用後にスキャンしても、寒い朝にスキャンしても、暑い夏にスキャンしても、A3プラスのどこに原稿を置いてスキャンしても、同じ結果が得られる仕組みになっています。この点がデジカメで接写する画像との大きな違いとなります。
反射原稿の場合は、有効スキャン寸法310x437mmのプラテンガラスの左側に反射率100%の白基準板が、スキャナ内部に向けて設置してあり、これを使って基準反射率の校正(キャリブレーション)を行います。
しかし、透過フィルムをスキャニングする場合は、EPSONのES-10000Gの場合、プラテンガラスの向かって左側17mm幅(奥行き309mm)を透過率100%の基準としてサンプリングします。ここが「透過原稿用白基準領域」となります。このため、この領域にモノを載せたままスキャンするとキャリブレーション時に、実行エラーとなります。基準がサンプリングできずに正常な画像を得ることができません。
そのため、従来、例えば、A2サイズ(A4、4コマを焼き込んであるトンボ入り)のフィルムを4回に分けてスキャンする場合を考えます。すると、どうしても取りたい画像の外側のフィルムが、この「透過原稿用白基準領域」にかかってしまいます。そこで従来は、貴重なフィルムを切断していたそうです。
○シェーディング補正をマニュアル化とは
弊社にてイメージスキャナ搭載の組み込みプログラムをカスタマイズしました。具体的には、スキャニング前のシェーディング補正(キャリブレーション)実行機能を除去しました。その結果、透過原稿ユニットの取付部(フタを空けて奥)以外の3方向(手前、左、右)は全てフリーとなり、原理的には、航空写真のような、幅618mm( 2 * 309mm) までの無限長のロールフィルムもスキャンできることになります。
ただし、電源投入時以外は、シェーディング補正を行わないため、より精度良く補正を行うために、いつでもシェーディング補正を行うための機能も用意してあります。これが、手動スイッチによるシェーディング補正です。具体的には、「スキャナビボタン」(READYランプのすぐ左にあるボタン)を押すことでいつでもシェーディング補正を実行します。
このことを、「シェーディング補正のマニュアル化」と呼んでいます。
更に、いくつかスゴイチューニングをしていますが、またの機会に。
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