« 2022年3月 | トップページ | 2022年5月 »

2022年4月

2022年4月18日 (月)

イメージスキャナの色再現の実験

【イメージスキャナの色再現の実験】

 

このところイメージスキャナの色再現の実験を繰り返しています。

20220415-154752  

イメージスキャナは、一種の測色計として見ることができます。

 

画像をスキャンすると、RGBの画像データを得られます。

 

予め、正規の測色計で計測したColorCheckerIT-8) カラーチェッカーのデータ(L*a*b*)とスキャンした画像データ(RGB)から、ICCプロファイルを作成します。

 

次に、任意のスキャンした画像をこのICCプロファイルを使って、L*a*b*に変換することで、任意の画素の色情報を計測することができます。

 

ちなみに、ICCプロファイルとは、スキャナ個体毎固有の特性値であり、スキャンで得たRGB値は、測色計で言うところのL*a*b*とどういう関係にあるかを記述した3Dのマトリックスデータ群です。

 

カラーの画像入出力装置の装置毎の個性に依存しない色再現のために、International Color Consortium https://www.color.org により整備されました。ディスプレイ、プリンター、デジカメなどに適用されます。

Apple社が、32bitQuickdraw Macintosh OS導入時に、ColorSync2 として採用したことが普及のきっかけでした。

~~~~~

 

このイメージスキャナを測色計として使う、という装置の最も基本的な評価は、次の評価です。

 

プロファイルを作るために使った画像を、

そのプロファイルでL*a*b*に変換し、

測色計で計測したColorChecker カラーチェッカーのデータ(L*a*b*)と比較する。

 

という実験をします。

 

これは、ICCプロファイルメーカーというソフトウェアやICCプロファイルによる色変換アルゴリズムの品質評価でもあります。

 

~~~~~

 

次に、スキャナを何度も何度も(例えば11回)同じテストチャートを繰り返しスキャンをして、

安定したであろう最後の11回目のスキャン画像を使って作ったICCプロファイルを使って、

画像をL*a*b*に変換します。

次に、一番最初の始動直後のスキャン画像を

11回目のスキャン画像を使って作ったICCプロファイルを使って、

L*a*b*に変換します。

そして、1回目の画像のL*a*b*値と11回目の安定した画像のL*a*b*値とを比較します。

 

この実験は、イメージスキャナの繰り返し再現性の評価になります。

具体的には、「期待する色計測精度の実験をするために、予めスキャナを何回慣らしスキャンすべきか?」

という実験方法を定めるための予備実験となります。

 

代表的なEPSONのフラッグシップ ES-10000G(もう販売していませんが)は、室温で気体状態のキセノンガスを封入した冷陰極蛍光管です。

11回スキャンして、最大で 0.7 程度の色差(ΔE)であることが判りました。

IT-8D07パッチで、中濃度の黄色パッチでした。

繰り返しスキャンにより、青系(b*)の彩度が落ちていきます。

おそらく、ガラス管壁温度上昇による青色蛍光体のUV可視変換効率の温度依存性からくるものであり、恒久的な光源劣化ではないと思います。日を置いて同じ実験をすればこの仮説は検証可能です。

 

まだまだ実験は続きます。

 

ある程度まとめて、どこかの学会で報告しようかと思っています。

 

最新のモデルは、光源が白色LED式(DS-G20000)ですので、これも何れやります。

 

ウチのスキャナも評価して欲しい ってのもそのうち受け付けるかも知れません。(笑)
ウチのスキャナで色(L*a*b*)測れるの? ってのもそのうち受け付けるかも知れません。(笑)

藤岡デジタル博物館


群馬県藤岡市
デジタル博物館
藤岡デジタル博物館

藤岡市三大偉人とは、
・江戸時代 和算の 関孝和(せきたかかず)
・明治時代 安定した養蚕法を独自開発した 高山長五郎
・航空機設計者 堀越二郎 (スタジオジブリの映画のモデル)
ということだそうです。


高山長五郎が興した高山社へは、一度見学に訪れました。

高山氏は、日本国が富国強兵のため海外から物品を購入するための資金(外貨)を稼ぐ手段(=輸出品)は、蚕糸であると確信していた。
しかし、当時の養蚕業は、お蚕(かいこ)の病気で大量死滅するため、安定的な産業と言うにはほど遠い状況だった。
そこで、お蚕が病気にならない養蚕方法をひとり研究し続ける。
1年、2年、3年と失敗が続く。
キチガイ呼ばわりされても、自宅まで養蚕専用に設計し新築した。
5年間自分の財産を投入し続けて
生物のお蚕を安定して育てる方法を開発した。

更に凄いのは、特許を取らずに、学校を作ったことだ。
全国から、養蚕法を学びに来る生徒を受け容れた。

明治政府が本格的に養蚕法の教育に腰を入れる頃には、現在の八高線藤岡駅の駅前は、高山社の学校群があまたの卒業生を日本全国に送り出していた。

その卒業生数の県毎のリストを高山社で見た。
1つだけ不思議に感じたのは、日本全国から高山社に学びに訪れているにも関わらず、長野県からは、あまり高山社に学びに訪れていない。


〜〜〜

富岡製糸場が、世界遺産登録を申請したが、一度目は却下された。

そこで、養蚕群として、

・高山社
・風穴(荒船山)
・田島家(伊勢崎市?)

をセットで申請して、世界遺産登録に成功した。


ちなみに、富岡製糸場は、昭和の最後ぎりぎりまで、現役の製糸業を営んで営業していた。
経営していたのは、諏訪湖畔から興った企業 カタクラ財閥。

カタクラ財閥は、松本市に工場を立ち上げ、一時期日本最大規模の釜数を誇っていた。現在のイオンの場所。

今年になってその偉業を成し遂げた事業家、今井五介(いまいごすけ、片倉兄弟の3男、今井家に養子入り)の紹介動画が、地元の高校生(松本工業高校)により作成されて、松本市の公式ホームページにYoutube動画が登録された。

「お蚕さまから生まれた街」 15分25秒


(いちのせ)

論文紹介 : アミアン大聖堂のステンドグラスの分光撮像に成功

#分光測定 非接触 屋外での文化財の高精度分光測定

論文 pdf

https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s11263-022-01587-8.pdf

論文 URL

https://link.springer.com/article/10.1007/s11263-022-01587-8

論文 掲載雑誌URL

https://www.springer.com/journal/11263

Web記事:

https://www.jst.go.jp/pr/announce/20220325-2/index.html

アミアン大聖堂のステンドグラスの分光撮像に成功

高分解能分光計と回転ミラーシステムという装置で構成される計測システムによって、400-2500ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の範囲において1ナノメートル以下の分解能での高精細な分光撮像が可能.

 

ただし、このシステムは、画像の1画素ずつを順次計測する方式

画像全体を計測するためには、数時間程度を要します。

 

分光撮像の際に1行ずつ画像全体を計測することに加え、垂直方向の計測を1列だけ追加する

 

分光解析を行うことが可能になり、

見た目では分からない組成に関する解析や、

さまざまな歴史的資料の検証にも役立つことが見込まれます。

 

International Journal of ComputerVision

ComputerVision and Cultural Heritage Preservation

 

~~~~~

https://www.springer.com/journal/11263

この論文ですね。

https://link.springer.com/article/10.1007/s11263-022-01587-8

« 2022年3月 | トップページ | 2022年5月 »

2023年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ