イメージスキャナの色再現の実験
【イメージスキャナの色再現の実験】
このところイメージスキャナの色再現の実験を繰り返しています。
イメージスキャナは、一種の測色計として見ることができます。
画像をスキャンすると、RGBの画像データを得られます。
予め、正規の測色計で計測したColorChecker(IT-8) カラーチェッカーのデータ(L*a*b*)とスキャンした画像データ(RGB)から、ICCプロファイルを作成します。
次に、任意のスキャンした画像をこのICCプロファイルを使って、L*a*b*に変換することで、任意の画素の色情報を計測することができます。
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ちなみに、ICCプロファイルとは、スキャナ個体毎固有の特性値であり、スキャンで得たRGB値は、測色計で言うところのL*a*b*とどういう関係にあるかを記述した3Dのマトリックスデータ群です。
カラーの画像入出力装置の装置毎の個性に依存しない色再現のために、International Color Consortium https://www.color.org により整備されました。ディスプレイ、プリンター、デジカメなどに適用されます。
Apple社が、32bitQuickdraw をMacintosh OS導入時に、ColorSync2 として採用したことが普及のきっかけでした。
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このイメージスキャナを測色計として使う、という装置の最も基本的な評価は、次の評価です。
プロファイルを作るために使った画像を、
そのプロファイルでL*a*b*に変換し、
測色計で計測したColorChecker カラーチェッカーのデータ(L*a*b*)と比較する。
という実験をします。
これは、ICCプロファイルメーカーというソフトウェアやICCプロファイルによる色変換アルゴリズムの品質評価でもあります。
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次に、スキャナを何度も何度も(例えば11回)同じテストチャートを繰り返しスキャンをして、
安定したであろう最後の11回目のスキャン画像を使って作ったICCプロファイルを使って、
画像をL*a*b*に変換します。
次に、一番最初の始動直後のスキャン画像を
11回目のスキャン画像を使って作ったICCプロファイルを使って、
L*a*b*に変換します。
そして、1回目の画像のL*a*b*値と11回目の安定した画像のL*a*b*値とを比較します。
この実験は、イメージスキャナの繰り返し再現性の評価になります。
具体的には、「期待する色計測精度の実験をするために、予めスキャナを何回慣らしスキャンすべきか?」
という実験方法を定めるための予備実験となります。
代表的なEPSONのフラッグシップ ES-10000G(もう販売していませんが)は、室温で気体状態のキセノンガスを封入した冷陰極蛍光管です。
11回スキャンして、最大で 0.7 程度の色差(ΔE)であることが判りました。
IT-8のD07パッチで、中濃度の黄色パッチでした。
繰り返しスキャンにより、青系(b*)の彩度が落ちていきます。
おそらく、ガラス管壁温度上昇による青色蛍光体のUV→可視変換効率の温度依存性からくるものであり、恒久的な光源劣化ではないと思います。日を置いて同じ実験をすればこの仮説は検証可能です。
まだまだ実験は続きます。
ある程度まとめて、どこかの学会で報告しようかと思っています。
最新のモデルは、光源が白色LED式(DS-G20000)ですので、これも何れやります。
ウチのスキャナも評価して欲しい ってのもそのうち受け付けるかも知れません。(笑)
ウチのスキャナで色(L*a*b*)測れるの? ってのもそのうち受け付けるかも知れません。(笑)
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