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2021年12月 5日 (日)

トモエゴゼン 東京大学 木曽観測所 の最新鋭の105cmシュミットカメラ 天体望遠鏡

トモエゴゼン

2019/10/17

長野県の木曽地方に東京大学が運用する天文台があります。直径105cmのシュミットカメラという特殊な光学系の望遠鏡でして、非常に明るい光学系のため(F3.1)短時間で広い範囲を観測できるという特徴があります。この望遠鏡のセンサが今年新たに生まれ変わったそうです。

  

天文観測用の撮影手段もデジタル化が進み、銀塩写真方式から、CCD方式となりました。銀塩方式では星から届いた光で受光部に塗布した銀(Ag)粒子をイオン化します。イオン化した銀粒子を現像して定着することで、星の像が銀粒子として可視化されます。

 

一方、CCDでは、シリコン(Si)のセンサ画素毎に光を貯め、太陽光発電と同じ原理で、光が電子を生み出します。その電子(電荷)を貯めた後、電圧に変換し、そのアナログ電圧をA/D(アナログデジタル)変換することでデジタル画像を生成します。

  

天体は非常に微弱光のため、シャッター速度:露光時間を非常に長くしないと撮影できません。しかし、CCDセンサは星から届く光で生じる電子以外にも、撮影環境の温度が高いと光とは無関係に電子が発生します。全く光が入射しなくても生じる電荷のため暗電流と呼ばれます。

 

天体用CCDセンサは、この暗電流の増加を防ぐためセンサを超低温に冷却して使用していました。具体的には、現在普及しているキャンプ用小型冷蔵庫に使われているペルチェ素子を何段にも重ねて使って、冷やします。シュミットカメラの特徴である広い範囲を観測できる性能を活かすには、センサの面積も非常に大きくなります。しかし、冷却方式では、センサの重量が増大し課題があったそうです。

  

今回登場した新しいセンサは、現在の携帯電話や動画撮影も出来るデジタルカメラで利用が始まった、裏面照射式のC-MOSセンサを搭載しました。84コものC-MOSセンサを並べることで、オリオン座の大きさの約半分の視野を一度に撮影することができるようです。

  

また、電子冷却も不要で、動画撮影も可能な特徴を活かして、1秒に2枚の画像を連続して一晩中撮影し続けることができるそうです。そのデータ量は一晩で、なんと30TB(テラバイト)に達するそうです。

  

これらの特徴を活かして、さっそく 地球接近小惑星の発見が相次いでいます。

・2019年9月27日 地球接近小惑星の発見(2019SU10)

  http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/NEWS/2019SU10/2019SU10.html

  (月までの距離の1.9倍)

・2019年3月16日地球接近小惑星の発見(2019FA)

  地球ー月間の距離(35万km)の約半分の距離を通過したようです。

  (月までの距離の0.58倍)

 

これだけでも十分に人類の安全に貢献していると想うのですが、この新しい観測装置の真の開発目的は、重力波の可視光観測なのだそうです。

天文月報 2017年1月 酒向重行氏

http://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/2017_110_01/110_01_42.pdf

ノーベル賞がやがて木曽の観測から生まれるのかも知れません。

 

(初出 有料メルマガ https://www.mag2.com/m/0001683126  第17号 2019/10/17)

 

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