このところ、消えた文字が見える化スキャンサービスへの問い合わせが増えています。
『消えた文字が見える化スキャンサービス』
https://www.imeasure.co.jp/service/visualization.html

(1)感熱紙でコピーされた文書(契約書、車検証、医療記録)が経年劣化で消えかかっており、辛うじて目でうっすら見えるけど正確に読めない。
(2)貯金通帳などに鉛筆文字でメモした形跡があるが、消しゴムで消されて読め無い。
(3)蛍光ペンで書かれた色紙が色あせてしまい、当時の文字が全く読め無い。
こうした持ち込まれる事例を数多く解決しております。
何故、特殊イメージスキャナを使うと可視化(判読はお客様の判断)できるのか。原理的な部分を少し考察してみます。
感熱紙の場合:辛うじて目でうっすら見えているのは、紙表面の状態が、文字の書かれた場所とそうでない場所で異なっているためです。この差は、入射光と反射光の幾何学的な状態の差です。
イメージスキャナは、特定の角度から光を原稿に照射し(一般的に45度)その紙面に垂直な方向への拡散反射光をセンサが捉えます。
そのため、紙表面の状態の微弱な差異を反射率として捉えることができます。
この微弱な反射率の差異を強調することで可視化に成功するわけですが、問題は、微弱な反射率の差異よりも、より大きな差異がデジタル画像に存在するとそちらの方が「コントラスト」が大きくなるため邪魔されることになります。
微弱な反射率の差異を見分けるために除去すべきコントラスト要因は、大きく分けて7つあります。
これは、使用している光源が被写体を照らす場合の照明ムラです。
一般的には、±10%以下に抑えることは困難です。
イメージスキャナは、後述するキャリブレーションを使うことで、1/65535の濃度差(0.0015%)に抑えることが可能です。
Siのフォトダイオードセンサは、光の入射量に対して出力される電圧に比例関係を期待できるものの、センサの画素毎に感度が異なります。
○ その3:レンズの中央と周辺で明るさが異なる周辺減光
より速度を求めて明るい(F値が小さい)レンズを使うほどこの要因が顕著となります。
その1~その3は、スキャナが内蔵するシェーディング補正で除去できます。
詳細は、下記blog記事をご覧ください。
シェーディング補正とは 2011年2月12日 (土)
今回、消えた文字が見える化スキャンサービスを始めてから、被写体の影を消すことで微弱な反射率の差異を可視化できることを何度も経験しました。
これは、光源として赤外線を使用にすることで可視光で汚れていてもその汚れが赤外域で透明な汚れであれば、透けて無視できます。
一般的なデジカメやスマホの画像は、256階調(8bit)です。
イメージスキャナの階調は、65536階調(16bit)あります。
つまり、256階調の中の、例えば、200~201階調の局所濃度をヒストグラム拡大してもなお、256階調の濃度差表現を保持しています。
デジカメの画像は、実世界の1点を原色フィルター(RGB)のどれかで見ています。そこで、グレー(無色彩の黒~白)を捉えるために周辺4画素から画像処理により1ピクセルを生成します。このため、レンズ性能が高い程、輝点などで偽色が生じます(※1)。イメージスキャナや、三判式のカメラの画像にはこの現象が無く、1点に3色(RGB)の情報を保持しています。
以上の要因を考慮して解析を行うことで、微弱な反射率の差異を強調することが可能となります。
※1)レンズ性能が高い程、輝点などで偽色が生じます。
iPhone の偽色 輝く湖面にカタクリの群生の様な模様が現れるのは何故か
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