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2021年5月

2021年5月13日 (木)

NIMS 物質材料研(つくば市) が4.2μm 吸収で二酸化炭素濃度を動画で可視化した

https://www.youtube.com/watch?v=fcmFokIiq2Q

Mask

4.2μm 吸収で二酸化炭素濃度を動画で可視化した。

NIMS 物質材料研(つくば市)

昔の工業技術院ですね。

 

 

NIMS の動画 二酸化炭素を可視化した方法

 

1.CO2の吸収が何故起きるのか? その吸収波長は?

 

https://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~rck/tohda.pdf

H2o_co2






CO2の基準振動の 2350cm-1が、
4.255μmの波長の吸収ですね。

10mm/2350 = 0.004255 mm 〜4.2μm



よく居ますよね。回りと逆に踊ってる人(笑)


2.その波長を捉えるセンサは何を使っているの?

 

InSb アンチモン化インジウム

それとも

PbSe セレン化鉛 かなぁ。

https://www.hamamatsu.com/resources/pdf/ssd/06_handbook.pdf

それにしても サーモパイル(コロナで普及した非接触式体温計の原理)は波長感度に欠陥の無いゴールキーパーですね。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/blog/2020/09/post-7bbb0b.html

非接触式の体温計測器のしくみ ~サーモパイル型温度計測器のしくみ~

 

2021年5月 4日 (火)

さらばキログラム原器

さらばキログラム原器

 

世界の1kgの質量を決めていた キログラム原器は、表面の酸化などでその重さは、50μgの誤差を抱えていた。

つまり、1kgの安定性精度は(5x10^(-8))だった。

 

一方、1メートルの長さの定義は、地球の子午線円周距離を4万キロメートルと定義したことから始まり、1メートルを決めるメートル原器が定義され、その後、レーザー技術の革新で長さの計測精度が飛躍的に上がり、11ケタの精度で計れるようになっていた。

 

そんな中、質量のみが、5x10^(-8)の精度に留まっていた。

 

そこで基礎物理定数で定義するプロジェクトがスタートする。

 

例えば、長さは、真空中を光が1秒で進む距離として定義される。

現在の1メートルは、真空中の光の速さを 299 792 458 m/sと定めることによって定義されている。

 

現在の計測精度は、長さは11ケタ、時間は18ケタで計測できている。

[産総研(つくば市)の挑戦の記録]

産総研は、まず1kgのシリコン単結晶の球を作ることから始めた。

 

(1)体積を求める。V

シリコン単結晶球の正確な形状を計測することができれば体積を求めることができる。

 

(2)原子間距離を求める。d

シリコン単結晶の結晶格子(シリコン原子と原子の間隔)はX線回折を使って高精度に計測できる。

 

(3)シリコン結晶の質量を計る。M

(正直ここだけまだ理解できていない。質量を定義するための計測技術に、質量値を必要とする手段が混ざっている。)

 

(4)Vとdからシリコン原子が何個有るかを計算できる。n

ここで、もし、100%純度の同位体の混じりけの無い Si-28のみで構成される単結晶であれば、

1モルのSi-28は、質量 28グラムである。(モルつまりアボガドロ数の定義)

 

(5)よって、アボガドロ数(NA)は、

 M= 28 * n/NA [g]なので、

NA=28 * n/M で得られる。

 

しかし、2004年、100%純度の同位体の混じりけの無い Si-28は、この時点で入手出来なかった。

 

きっかけとなったは、

ーーー

「きっかけとなったのは冷戦の終了でした。」

「質量標準の科学者たちが同位体分離装置を使えるようになり」

書籍 安田正美(2018) 単位は進化する P102

ーーー

こうして、同位体の混じりけの無い 高い純度の Si-28の単結晶の製作プロジェクトがスタートする。

 

~~~

■参考にしたページ:

 

2004

https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20040120/pr20040120.html

2012

https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2012/nr20120227/nr20120227.html

2017

https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2017/pr20171024/pr20171024.html

 

産総研 kg原器を手放すまでの道のり。

 

- 1972年頃 アボガドロ定数の高精度計測プロジェクトスタート。

- 1987年 球体研磨技術開発。

- (  )年 数十nmの新球度の球体の形状測定技術開発。

- 1994年 真空中でSi球体の密度測定。

- 2004年 アボガドロ定数を 2x10^(-7)精度で計測。

※Si同位体比の計測精度の壁。

→ Si-28のみでSi単結晶を作るプロジェクトスタート。

- 2007年 99.99% のSi-28単結晶が5kg完成。

→ φ94mm、真球度7nm 、M=1kgの球を製作。

- ()年 1nmで計測するレーザー干渉計開発。

ΔT=0.001℃制御の真空チェンバー開発。

- ()年 アボガドロ数 3x10^(-8)精度で決定した。

-2007年 NIST 3.6x10^(-8)精度でプランク定数をワットバランス法(現在名、キッブルバランス法)で決定。

※アボガドロ数とプランク定数が、kg原器の安定性(5x10^(-8))を越えた!!

-2011年 kg原器を将来廃止し、基礎物理定数によるキログラムの再定義を実施する方向性を示す決議が採択された。

 

プランク定数hとアボガドロ定数NAとの関係はNA=cMeα2/(2Rh)で与えられる。

CODATAによって2014年に決定された基礎物理定数群(cMeα2/(2R))の精度は4.5×1010であり、hNAの測定精度と比較して十分小さい。このため、いずれか一方を測定すれば、ほぼ同じ精度でもう一方を算出できる。

 

しかし、NIST(米)がキッブルバランス法で求めたプランク定数と、産総研(日本)がX線結晶密度法求めたアボガドロ数が、7桁目で一致せず、kg原器廃止の流れは持ち越された(2012)。

 

2012年のFig2と2017年のFig2を比較すると、プランク定数で比較した場合、NIST-2015よりも、NIST-2017が、産総研の得た値に近くなった。つまり、2012年のFig2でのNIST(米)の値は誤りだった。

Fig2_2012
2012年Fig2

Fig2_2018

2017年Fig2

130年あまり続いたkg原器を廃止し、1キログラムを
基礎物理定数で再定義する国際的な取り組みは、こうして2018年に決着した。

そして、日本の産総研の貢献は非常に大きなものだった。

これ、NHKスペシャルで取り上げるレベルの凄い話題だと思うよ。

(いちのせ)

 

 

 

 

 

 

 

 

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