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2021年4月 8日 (木)

Device Independent Color のこと

Device Independent Color のこと。

20210408-184056  

確か、Photoshop Version 5.0.2でしたよね。

今週とある企業が、1000年色再現のニュースリリース を流したので、

ふと思い返していました。

 

ーーー

かつて ハイデルベルグ(旧 Lynoteype Hell)が設計し、AppleColorSyncとして採用した

デバイス・インディペンデント・カラー を支える具体的な道具 ICCプロファイル。

~~~

1931年に国際標準となった 等色関数(XYZ)によって 色は数値として定義される。

それまで印刷物は、使用するインキの色と、網点%(つまりインキを紙に載せる面積で濃淡階調を制御する)とドットゲイン(つまり網の面積よりもインキが紙に乗りすぎる比率)で管理していた。

例えば、四季折々の自然を映したカレンダー。

12ショットの自然の風景を銀塩写真(ポジ)フィルムに撮る。

それをスキャンして、CMYKの網点%に変換する。

オフセット印刷して出来上がった印刷物を元の自然の風景の色に近づける。

気の遠くなるような職人技。繰り返される色校正。

でも、全ての色をXYZという数字で表すことができるのならば、

印刷物やフィルムや、最近でいえば、ディスプレイやらを

元の自然の風景の色に一致させることができる「ハズ」だ。

そうして構想されたのが デバイス・インディペンデント・カラーだ。

入力装置(カメラ、スキャナ)、出力装置(ディスプレイ、印刷機)の個性に依存しない、色再現手段。

・自然風景<XYZ>ーー>フィルムーー>スキャン(RGB)

スキャンしたRGBデータは +[スキャナICCプロファイル]を使って、XYZ値に変換される。

・パソコンは、XYZを ディスプレイの[ディスプレイICCプロファイル]を使って、RGB値に変換してディスプレイに表示する。

・パソコンは、XYZをオフセット印刷機の[印刷機ICCプロファイル]を使って、

XYZ->印刷用のCMYKに変換する。

こうした計算は、広大な色空間座標 AdobeRGB座標系で計算されるようになった。

XYZは、いわば、「世界共通言語」みたいなもので、

スキャナや、デジカメ(sRGB)や、オフセット印刷(CMYK)は、「方言」みたいなものだ。

でも、ガマット(GAMUT)といって、それぞれのデバイス毎に表現できる色の範囲には限界がある。

そこで、ICCプロファイルを使った色合わせには、その手段に選択肢がある。

~~~

ICCプロファイルが発明された時点で、

イメージスキャナは、色計測器になる能力を持った。

スキャンしたRGB値をスキャナのICCプロファイルを使ってXYZに変換すると、測色計になる。

ColorSyncが登場した年、Photoshop 5.0.2で、

スキャナを使ってテストチャートの色を測色しまくった。たのしかった。

それと当時非常にびびったことを覚えている。

それまで、色の品質は曖昧だった。

しかし、スキャナメーカーがユーザーにICCプロファイルを提供する、ってことは、ユーザーが、そのスキャナの色再現の品質を簡単に評価できるってことを意味した。

簡単に言えば、イメージスキャナメーカーは、ICCプロファイルを添付した瞬間に、測色計を販売したことと同等になる。

保証はしないにしても、ユーザーは、測色値を得ることが出来るようになった。

例えば、Lab値(←XYZから換算できる人の目の感覚に近い色表現系)が既知のテストチャートをスキャンしてRGB値を得る。

メーカーが提供するICCプロファイルを使ってLab値に変換する。

この手順だけで、簡単にスキャナの性能の検査が個人でもできてしまうってことになる。

それは、量産時の個体バラツキさえもバレてしまうことにもなる。

何故なら、スキャナメーカーは、標準添付するスキャナ駆動ソフトウェア(TWAINドライバ)に、ICCプロファイルをインストールすることになるが、量産されるイメージスキャナ全てについて固体毎個別のICCプロファイルを作成して添付するなんて手間を掛ける訳がない。

インストーラーとして供給されるソフトウェアに添付されるICCプロファイルは、その機種の標準的な性能を持つと見なす機種固体で作ったICCプロファイルを大量にコピーされて添付される。

となると、そのICCプロファイルを使って、変換したLab値の誤差は、

その機種の量産時のバラツキの度合いを意味することになる。

同じ機種が数台あれば、標準偏差により、その機種の色再現の品質がバレる。

恐ろしい時代が来た。って思った。

 

 

追記)


事ある毎に、私は 「イメージスキャナは、デジタイザであり測色計である。」

って、言っていました。


■イメージスキャナは、デジタイザである。


デジタイザとしての性能は、弊社の特許技術、オルソスキャナの発明により、非接触にて寸法精度を出せるようになった。

1.8x7mの航空機のアナログ図面をCADデータ化する需要がある。

図面上の1mの長さの線分を0.1mm未満の寸法精度で読み取る要求がある。

 

つまり、1万対1の寸法精度だ。

 

オルソスキャナは1万対1の寸法精度を実現し、大量の大型図面の
CADデータ化(ラスターベクター変換)を実現した。

 

ちなみに、ISOのものさしの定義は、2級が 1mにつき0.3mm。1級が1mにつき0.2mm。

ISOの物差しの1級の精度を超えるのがオルソスキャナだ。


〜〜〜
■イメージスキャナは、測色計である。


1pixelの単位で色を計測できる ハズ だ。

 

貴重な絵画を「非接触」にて数十億画素(Giga Pixel)の画像としてスキャンする。


光学顕微鏡やルーペを使わなければ見えない世界だ。


その寸法精度がまずデジタイザとして保証される。


そして、1pixelの色再現についても保証される。


そうしたデジタルの画像の世界が始まる。

(一ノ瀬)

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