相変化の話
【相変化の話】
相変化とは 代表的な現象は(*1)
固体ー液体ー気体
と同じ物質の状態変化のことです。
自然の現象で共通しているのは、
環境の変化に逆行する方向に相変化が起きる。
ということです。
【液体ー気体の事例】
気圧が下がると沸点が下がる現象
(気圧の低い高い山の上では100度よりも低い温度で水が沸騰する)
水/水蒸気
体積 18cc/22400cc
つまり、水が蒸発すると1244倍体積が増える。
そのため、気圧が高くなると沸点は上がる。
「環境の変化に逆行する方向に相変化が起きる。」
逆に、気圧が下がると、沸点は下がる。
【固体ー液体の事例】
何故、スキーやスケートは滑るのか?
の仕組みです。
H2Oは、固体(氷)になると液体(水)よりも、密度が低くなる。
この氷が水に浮く特性を持つことは、さまざまな現象を起こす。
氷/水
において、
0.917 /1
氷は8%程軽い。
よって、氷に圧力を加えると、水になる融解温度(融点)が下がる。
「環境の変化に逆行する方向に相変化が起きる。」
つまり、鋭いスケート靴のエッジで氷に乗ると、乗った所の氷が体重がかかることで圧力が上がり、融点が下がり液体(水)面ができる。その結果、滑る。
H2Oは、固体(氷)になると液体(水)よりも、密度が低くなる。
この物質の特徴を解りやすく図示したグラフが 相図と呼ばれます。
「H2Oは、固体(氷)になると液体(水)よりも、密度が低くなる。」
はこの図で言うと、
O−Bの線が負の傾きを持つ(=左側に寐ている)。
これが特異的な特性であることは、CO2のカーブを見ると解る。
地球が氷だらけだった時代から、水の惑星になるとき。
逆に、
水の惑星から、氷だらけになるとき。
何が起こっていたかをこの相図の観点で考えると面白いです。
出典:
https://www.amazon.co.jp/molymod-モリモッド-結晶-構造-キット/dp/B010AVNHY4
https://kusuri-jouhou.com/img/physics-aaa9.gif
【初出】facebook iMeasure Inc.
https://www.facebook.com/iMeasureInc/posts/4938888899516137
*1)
相変化は、厳密には原子や分子の配列構造の変化を意味します。
個体から個体の場合も相変化と呼び、代表的なものは、
日本刀の焼き入れの際に人工的に起こしている マルテンサイト変態 です。
鉄は、高温時に、面心立方(サイコロの角8箇所にFeの原子、6つの面の中央に1個づつFeの原子)の配列を持ちます。
低温時には、体心立方(サイコロの角8箇所にFeの原子、その真ん中に1個Feの原子)の配列を持ちます。
しかし、高温の面心立方のままで、一気に水に浸けて焼き入れを行うと、
低温の体心立方の構造に徐々に「相変化」を起こした場合には生じない、寸法歪みが生じます。
その歪みを解消するために、たくさんの「滑り」(学術用語で転位 dis-location)が生じる。
この、きめ細かな転位が入ることで、鉄が固くなります。
これが、焼き入れにより鉄が固くなるメカニズムです。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/8a/Iron_carbon_phase_diagram.svg
補足)
純鉄の結晶構造の変化。
低温側から、α(bcc)→γ(fcc)→δ(bcc)→液体。
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