正射投影と中心投影
正射投影と中心投影
投影法とは、立体物をどのように2次元の図絵に落とし込むか?
その手法のことです。
風景写真や地図などは、投影法の事例です。
身近な投影法に、中心投影法と正射投影法があります。
1.中心投影 central projection
光の直線性を利用したピンホールカメラの原理です。
穴を通じて、被写体の像を1枚のフィルム上に納めることができます。
この時の2次元画像を中心投影画像、といいます。
カメラ撮影は、レンズを使いますが、投影法としてはピンホールカメラと等価で、中心投影画像となります。
近くのものは大きく、遠いものは小さく写ります。
作画手法の「パース」とは、この代表的な中心投影の作図手法です。
「最後の晩餐」などが有名です。
2.正射投影 orthographic projection
正射投影とは、立体像を無限遠からの平行光の投影画像として得る2次元画像のことです。
図面の基本である三面図(正面図・平面図・右側面図)は、正射投影の作図法です。
国土地理院の地図は、この正射投影図として作成されます。
英語表記の最初の文字 ortho を用いて、オルソ画像とも呼ばれます。
3.正射投影と中心投影の合いの子
一般的な縮小系のイメージスキャナの画像は、センサ配列方向が中心投影画像です。
また、機械的にセンサが移動してスキャンする方向が、正射投影画像となります。
試しに、腕時計や卓球のボールなどをスキャンしてみてください。
円形になる筈のスキャン画像が、楕円になります。
機械的にセンサが移動してスキャンする方向が、被写体の正確な寸法です。
上の写真では、上下方向が、正射投影、左右方向が中心投影です。
地球儀ビー玉部分を拡大してみましょう。
※上下方向に対して、左右方向が数パーセント縮んでいることが見て取れます。
近づいた所(日本)は大きく、遠いところ(アフリカ)は小さくなります。
そのため、例えば凹凸がある掛け軸などを撮影すると、
左右の輪郭が波を打ったり、原図では直線であるはずが、波を打ったように写ります。
4.正射投影画像を得られる撮影装置
非常に薄型のUSB電源で駆動する密着センサ(CIS式)を使ったイメージスキャナは、正射投影画像を生成します。
しかし、焦点深度がわずか0.2mmなので、書類スキャナとして使えますが非接触スキャナとしては利用できません。
Faxの読み取り部にも、これと同じ結像レンズ系が用いられています。
一方、テレセントリックレンズを使ったオルソスキャナも、正射投影画像となります。
かつ、非接触式の大型イメージスキャナに搭載可能です。
以上の投影法の特徴を実際に撮影する被写体の特性毎にまとめると表の様になります。
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