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2020年10月 1日 (木)

大型ディスプレイ鑑賞距離の設計指針 〜 4K/8Kテレビのお勧めの観察距離はどのように求めたら良いか?〜

大型ディスプレイ鑑賞距離の設計指針

 

Q:大型ディスプレイの寸法と推奨鑑賞距離の関係は?

 

A:

 

COVID-19の影響でお家時間が増える中、4K、8Kなど

比較的大型サイズのテレビの需要が増しているようです。

 

そこで、今回は、ディスプレイの

(1)寸法、インチ、

(2)解像度Full-HD/4K/8K

から算出される、推奨鑑賞距離の関係を示したいと思います。

 

【仮定】

以下の考え方で設計します。

・鑑賞する人の視力は、1.0と仮定する。 (注記4)

・ディスプレイに表現されている画像情報を視力1.0の人が分解して見える必要がある。

 

【計算】

・視力1.0とは、角度1度の1/60を分解する能力として定義されています。

・よって、例えば、視力1.0の人の目は、手に持った新聞など、30cm先にある文字を0.0873mmまで分解して見る能力があります。

・画像の表示密度(=画素密度)を表現する単位として、dpiもしくは、ppi(注記1)がディスプレイ業界では用いられます。

そこで、視力1.0の人の目の能力を観察距離と画素密度(ppi)の関係で表現しましょう。

 

[公式] 視力1.0の肉眼は、観察距離 30cm先の画像を 291ppiで分解する能力がある。(注記2)

 

例えば、観察距離 1m先の場合は、

 291 ppi * 0.3m/1m = 87.3 ppi

が肉眼で分解できる画素密度となります。

 

鑑賞距離と肉眼の分解能の関係

 

肉眼の分解能 [ppi ] 

= 291 [ppi]  × 0.3 [m] / 鑑賞距離[m] ・・・ 式1

 

推奨鑑賞距離の計算式

 

推奨鑑賞距離 [m]

= 0.3 [m] × 291 [ppi] / ディスプレイの画素密度 [ppi] ・・・ 式2

 

■演習問題(^^)

さて、ここに85インチの4Kディスプレイがあります。

ディスプレイの画素密度は不明です。

表示寸法の情報と、4Kテレビであることが判っています。

このテレビの推奨鑑賞距離を求めなさい。

 

表示寸法: 1872 × 1053 mm

画素数:3840 × 2160 pixel

↑ ちなみに、表示能力が3840画素あるので、4K(4000の意味)テレビと呼びます。

まず、ディスプレイの画素密度を求めます。

1872mm に 3840pixelが入っているので、以下の計算となります。

1インチ=25.4mm

1872mm/25.4mm=73.7インチ (注記3)

3840 pixel / 73.7 インチ = 52.1 ppi

 

よって、推奨鑑賞距離は、式2を使って

推奨鑑賞距離 

= 0.3 [m] × 291 [ppi] / 52.1  [ppi] 

= 1.67m

 

■宿題

長野県県庁に入ると、98インチのFull-HDテレビがあります。

これの推奨鑑賞距離を求めなさい。

 

 

(注記1)<ppiとは>

Pixel Per Inch の略です。画素密度のことで、単位長さあたり何個の画素が並んでいるのか、その長さあたりの密度を表します。ディスプレイの仕様に記載されています。

また、代表的な画像処理ソフトアドビ社のフォトショップで画像を開くと、その画像はどのくらいの細かさ(光学解像度)でスキャンされたのか、もしくはどのくらいの細かさで印刷するべきなのかを表す単位として、解像度があり、単位は、ppi で保存されています。

印刷業界で常用される 175線(LPI) は、 Line Per Inch の略で、単位系としては、ppiと整合します。

オフセット印刷 175線に使う画像は、この2倍の画像を必要とします。つまり、350ppiのフルカラー画像データを投入します。

 

(注記2)視力10の肉眼は、観察距離 30cm先の画像を 291ppiで分解する能力がある。

https://www.imeasure.co.jp/pdf/joem-contact_vol56_No9_2018.pdf

2-3 光学解像度の設計 を参照。

(注記3) 1872mm/25.4mm=73.7インチ

ちなみに、テレビのインチサイズは、対角線の距離を表しています。
対角線は、

表示寸法: 1872 × 1053 mmより、
対角距離 =√(1872^2+1053^2) = 2148mm → 84.6インチ

確かに85インチのディスプレイの対角線長は、計算すると85インチでした。


ちなみに、簡単な計算方法としては、横幅に対して、+15%で計算します。
73.7インチ ですので、対角は 
73.7 * 1.15 = 85 インチ となります。

(注記4) 鑑賞する人の視力は、1.0と仮定する。

例えば、自動車運転免許証を取得できる限界視力 0.6の場合は、視力1.0と仮定して求めた推奨鑑賞距離 [m]に対して、6割の距離まで近づく必要があります。
単純に比例関係の計算で求めることができます。




 

別の式の提案)

○ 鑑賞距離と肉眼の分解能の関係

 肉眼の分解能 [ppi ] 

 = 87.3 [ppi・m]  / 鑑賞距離[m] ・・・ 式1’

○ 推奨鑑賞距離の計算式

 推奨鑑賞距離 

 = 87.3 [ppi・m]  / ディスプレイの画素密度 [ppi] ・・・ 式2’

 

ーーー

291ppi0.3mを掛けた値、つまり、1m距離での、視力1.0の空間分解能を定数として使う。

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