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2020年5月19日 (火)

祝 80歳

昔、マクルーハンに影響を受けた頃、時計を腕に持ってきたことの価値を考えていたことがありました。

足の拡張が列車で、そのパーソナル化が自家用車だとすれば、

腕時計は、柱時計のパーソナル化だ。と。


つまり、工場の時計が労働者の時間を管理する道具だとすれば、
腕時計ってのは、個人が個人的な体験効率を自己管理する パーソナルな 道具なんだなあ。

そう、考えていました。

コンピューターが登場した時、1970年に哲学者のイヴァン・イリイチは、

制度化した教育の開放を説き、科学技術こそが、場所や年齢に限らずに、

「学びたい者」と「自らの知を共有したいと願う者」とを結びつける道具として発展すべきだと説いた。

イリイチは、このことに機会の網(oppotunity web)という言葉を使った。

なんと、1970年のことだ。

それが、米国では、オルタナティブ(もうひとつの)な文化を生み、ベトナム戦争への反発から、ヒッピーやハッカーを生み出す。

やがて、ホールアースカタログの運動となり、インターネットの普及により、World Wide Webへと進化する。

ENIAC を始めコンピュータは、弾道の軌跡を計算するため軍事用途から生まれた。

しかしパーソナル・コンピュータは、こうした時代背景から産まれた。

日本では、富士通やNECなど汎用コンピューターメーカーから始まったが、

米国の8bit OS CP/Mから、16bit OS のMS-DOSの流れを現場で見ていたEPSONの設計者たちは、

「パーソナル」コンピュータの意味を理解していたと思う。

その意味で、工場の柱時計を腕に持ってきた 気概 と、

パーソナルコンピュータを 個人の知力を拡張する ための道具として、

個人の手に届けようとした 願い は、共通性がある。

SEIKO EPSON という名は、良い名だと思う。

そのDNAには personal という言葉がcode化されているのだとおもう。

2022年。80周年おめでとう。

補足)

IVAN ILLICH:脱学校の社会(DESCHOOLING SOCIETY)東京創元社

[1977.10.20 / 1970],p-140

すぐれた教育制度は3つの目的を持つべきである。

第一は、
誰でも学習をしようと思えば、それが若いときであろうと年老いたときであろうと、人生のいついかなるときにおいてもそのために必要な手段や教材を利用できるようにしてやること、

第二は、
自分の知っていることを他の人と分かちあいたいと思うどんな人に対しても、その知識を彼から学びたいと思う他の人々を見つけ出せるようにしてやること、

第三は、
公衆に問題提起しようと思うすべての人々に対して、そのための機会を与えてやることである。
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