PhotoDigitizerの主走査倍率精度の決め方
PhotoDigitizerの主走査倍率精度の決め方
製品仕様書では、主走査倍率精度を ±0.14%としました。
次ぎのような考え方です。
1.主走査倍率の温度依存性
実験より、20℃変化で、0.101%倍率が変わることが判りました。
つまり、このイメージスキャナを使った「定規」の
熱膨張係数は、
0.101%/20℃
=
50.5×10^(-6) /℃
となります。
イメージスキャナのキャリッジの素材がアルミダイキャストであることが判っています。
23×10^(-6) /℃
ですので、半分は、アルミ素材の影響と考えられます。(*1)
2.使用温度範囲を決める
次ぎに、ユーザーの使用環境を決めます。
T = 25±5℃としました。
これで、倍率の範囲が決まります。
まず、規定の温度(例えば、25℃)で、倍率をぴったり合わせたとします。
ユーザーの使用環境のために ±5℃の温度変動があるとすると、
50.5×10^(-6)× ±5℃
=± 252.5 ×10^(−6)
=± 0.025 ×10^(−2)
=± 0.025%
となります。
3.スキャナの温度上昇を推定する
更に、使用している内に、スキャナの内部温度が上昇することを想定します。
これを±5℃としましょう。
± 0.025%
4.最後に、製造時の調整誤差を決めます。
製造時調整:±0.05% 未満とする。
環境温度を 25±5℃ とする。
と作業標準を決めます。
5.まとめ
ユーザー使用環境温度による影響:± 0.025%
スキャナの本体の使用中の温度上昇の影響:± 0.025%
製造時の調整精度:±0.05%
製造時の温度による影響:± 0.025%
以上を全て足し合わせて:±0.125%
更に少し、安全を見て ±0.14% としました。
1200ppiでA3サイズを10回繰り返しスキャンした結果のグラフは下記の通りです。
+0.023%
-0.016%
といった値が実力値です。
推奨使用温度ドンピシャで使って頂ければ、
スペックの1/5~1/10の精度が出ると推定されます。
主走査倍率精度 実測結果 (10回、繰り返しスキャン)
副走査倍率精度 実測結果(10回、繰り返しスキャン)
(*1) 半分は、アルミ素材の影響と考えられます。
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