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2018年11月16日 (金)

PhotoDigitizerの主走査倍率精度の決め方

PhotoDigitizerの主走査倍率精度の決め方

製品仕様書では、主走査倍率精度を ±0.14%としました。

次ぎのような考え方です。

1.主走査倍率の温度依存性

実験より、20℃変化で、0.101%倍率が変わることが判りました。

Temp_dependent

つまり、このイメージスキャナを使った「定規」の

熱膨張係数は、

0.101%/20℃

=

50.5×10^(-6) /℃

となります。

イメージスキャナのキャリッジの素材がアルミダイキャストであることが判っています。

アルミニウムの熱膨張係数は

23×10^(-6) /℃

ですので、半分は、アルミ素材の影響と考えられます。(*1)

2.使用温度範囲を決める

次ぎに、ユーザーの使用環境を決めます。

T = 25±5℃としました。

これで、倍率の範囲が決まります。

まず、規定の温度(例えば、25℃)で、倍率をぴったり合わせたとします。

ユーザーの使用環境のために ±5℃の温度変動があるとすると、

50.5×10^(-6)× ±5℃

=± 252.5 ×10^(−6)

=± 0.025 ×10^(−2)

=± 0.025%

となります。

3.スキャナの温度上昇を推定する

更に、使用している内に、スキャナの内部温度が上昇することを想定します。

これを±5℃としましょう。

± 0.025%

4.最後に、製造時の調整誤差を決めます。

製造時調整:±0.05% 未満とする。

環境温度を 25±5℃ とする。

と作業標準を決めます。

5.まとめ

ユーザー使用環境温度による影響:± 0.025%

スキャナの本体の使用中の温度上昇の影響:± 0.025%

製造時の調整精度:±0.05%

製造時の温度による影響:± 0.025%

以上を全て足し合わせて:±0.125% 

更に少し、安全を見て ±0.14% としました。

Pd_temp

1200ppiでA3サイズを10回繰り返しスキャンした結果のグラフは下記の通りです。

+0.023%

-0.016%

といった値が実力値です。

推奨使用温度ドンピシャで使って頂ければ、

スペックの1/5~1/10の精度が出ると推定されます。

Photo

主走査倍率精度 実測結果 (10回、繰り返しスキャン)

Photo_2

副走査倍率精度 実測結果(10回、繰り返しスキャン)

(*1) 半分は、アルミ素材の影響と考えられます。

具体的に考察してみましょう。
このイメージスキャナ(ES-10000G)は、縮小光学系のため、レンズとCCDの距離の変動がそのまま倍率に影響します。
レンズとCCDはアルミダイキャストに固定されており、その距離の伸び縮みがそのまま倍率変動に直結します。
温度が上がると、レンズ〜CCD間距離が伸びる。そのため、規定センサ画素数(14640pixel)で、規定の原稿範囲(310mm)を結像して見ているのに対して、レンズ〜CCD間距離が伸びたことで、見ている原稿の範囲が広くなります。つまり、みかけ光学解像度が低下する。
ここでは、主走査倍率精度の定義を、「温度が上がると素材が伸びる」という現象と直感的に整合するように、「1画素あたりの寸法」の精度で定義します。
つまり、みかけ光学解像度が低下すると、「1画素あたりの寸法」は、長くなるので、「+」の符号となります。
ところで、イメージスキャナの主走査倍率の温度依存性 50E-6と、アルミニウムの熱膨張係数 23E-6の差の残りの要因は何でしょうか。
恐らく、結像レンズだと推定されます。
結像レンズの鏡筒は、やはりアルミニウムで作られています。
一般的に、5群7枚といった複数の凸レンズ、凹レンズの組み合わせで高精度なレンズが構成されています。
この、レンズ群の距離、レンズ鏡筒の温度による伸び縮みによって、レンズ本体の焦点距離(fl)が変化していると推定されます。

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