古写真の解読 消えた文字の可視化
先日、1枚の古写真が持ち込まれた。
鶏卵紙(けいらんし)写真と呼ばれているらしい。
[photo-1A] Scanned Full Color Image 持ち込まれた古写真
松本市内在住の古写真研究者。
松本に関連する古写真を精力的に収集しているとのこと。
近年は、古写真がネットオークションでばら売りされているので、お宝物とおぼしき古写真を地道に収集しているのだとか。
この古写真もその収集した写真の1枚。
[1]まずは、フルカラーイメージスキャナ
光学解像度を400ppi
イメージタイプを48bitカラーにして、スキャン。
Photoshopを使って画像処理。
[Photo-1B] Retouched Full Color Scaned image.
右端上部に何やらこの写真についての解説文が1行あるようだ。
この1行をどうしても解読できない。
[2]取り敢えず、赤外線でスキャン
同じく400ppi
○ 線香で燻されて真っ黒になった位牌の墨書の解読、
○ 柿渋で黒茶になった伊勢型紙の墨判の解読、
相手が銀塩であれば、墨と同様に解読ができるはず。
先ほどと同じく、Photoshopで画像処理を行う。
[3]さらに、紫外線蛍光でスキャンを試みる
[Photo-3A] UV-Fluorescent image 紫外線蛍光画像
アイメジャーのFLSCANが生み出す紫外線蛍光画像は、
○ ブラックライトで光る蛍光インクの検査、
○ 消えてしまった蛍光ペンで書かれた「ファイト新聞」の復活
○ バチカン教皇庁図書館の羊皮紙の重記写本(パリンプセスト)解読、
などに活用されている。
先ほどと同じく、Photoshopで画像処理を行う。
右端上部の解説文字も何やらくっきりと見えてきた。
もう少し画像処理を試みる。
Photoshop で画像処理した画像の比較。
左から、
[可視光/赤外線画像/紫外線蛍光画像]
・母屋の屋根に注目してみてください。
紫外線蛍光画像>可視光画像>赤外線画像
の順に、コントラストが高く、くっきりと見えていることが解ります。
さて,問題の右端上の解説文の拡大、
私には読めませんが、、これを見て依頼主は文字を判明できたとお喜びのご様子でした。
(後日談:残念ながら松本市の関連写真で無いことが判明しました。
しかし、不明古写真の由来を判明できたことでお役に立ったようです。)
(おまけ)色づけ
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