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2018年5月19日 (土)

古写真の解読 消えた文字の可視化

先日、1枚の古写真が持ち込まれた。

鶏卵紙(けいらんし)写真と呼ばれているらしい。

Photo

[photo-1A] Scanned Full Color Image 持ち込まれた古写真

松本市内在住の古写真研究者。

松本に関連する古写真を精力的に収集しているとのこと。

近年は、古写真がネットオークションでばら売りされているので、お宝物とおぼしき古写真を地道に収集しているのだとか。

この古写真もその収集した写真の1枚。

[1]まずは、フルカラーイメージスキャナ

光学解像度を400ppi

イメージタイプを48bitカラーにして、スキャン。

Photoshopを使って画像処理。

5

[Photo-1B] Retouched Full Color Scaned image.

右端上部に何やらこの写真についての解説文が1行あるようだ。

この1行をどうしても解読できない。

[2]取り敢えず、赤外線でスキャン

同じく400ppi

Photo_2

[Photo-2A: Infra-Red image]
赤外線イメージスキャナは、過去にもさまざまなケースで活躍してきた。
 ○ 木簡の文字解読、

 ○ 線香で燻されて真っ黒になった位牌の墨書の解読、

 ○ 柿渋で黒茶になった伊勢型紙の墨判の解読、

相手が銀塩であれば、墨と同様に解読ができるはず。

先ほどと同じく、Photoshopで画像処理を行う。

5_2

[Photo-2B: retouched Infra-Red image]
うむ。。まだ 右端上部の解説文は解読できない。

[3]さらに、紫外線蛍光でスキャンを試みる

Photo_3

[Photo-3A] UV-Fluorescent image  紫外線蛍光画像

アイメジャーのFLSCANが生み出す紫外線蛍光画像は、

○ ブラックライトで光る蛍光インクの検査、

○ 消えてしまった蛍光ペンで書かれた「ファイト新聞」の復活

○ バチカン教皇庁図書館の羊皮紙の重記写本(パリンプセスト)解読、

などに活用されている。

先ほどと同じく、Photoshopで画像処理を行う。

5_3

[Photo-3B] retouched UV-Fluorescent image
お。可視光モードの画像よりも、何やらハイライト側が明らかにくっきりとしている。

右端上部の解説文字も何やらくっきりと見えてきた。

もう少し画像処理を試みる。

Photoshop で画像処理した画像の比較。

(クリックして拡大表示してみてください。)

左から、

[可視光/赤外線画像/紫外線蛍光画像]

・母屋の屋根に注目してみてください。

紫外線蛍光画像>可視光画像>赤外線画像

の順に、コントラストが高く、くっきりと見えていることが解ります。

さて,問題の右端上の解説文の拡大、

私には読めませんが、、これを見て依頼主は文字を判明できたとお喜びのご様子でした。

(後日談:残念ながら松本市の関連写真で無いことが判明しました。

 しかし、不明古写真の由来を判明できたことでお役に立ったようです。)

(追記)2018.5.21
依頼主から情報を頂きました。
不明文字列の判別結果は、以下の通りです。
「大和国長谷寺本坊」
長谷寺の旧本坊が明治44年に焼失する前の写真 だそうで、以下が関連サイト。
また、まさにこの鶏卵紙写真の元が掲載されている論文の情報も頂きました。
図2資料C

(おまけ)色づけ

先日知った 白黒写真のカラー化サイト: 
で色づけしてみた。

Colored

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