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2017年10月

2017年10月29日 (日)

佐賀県生まれの新進気鋭の現代美術作家 池田学(ikeda manabu)さんの『誕生』を見たことをきっかけにギャラリストの三潴(mizuma)さんにお会いしてきた

日曜日なので、ちょっと雑談を。


佐賀県生まれの新進気鋭の現代美術作家 池田学(ikeda manabu)さんの『誕生』を見たことをきっかけに、ギャラリストの三潴(mizuma)さんにお会いしてきた。私は、この夏(8/30)、三潴さんのギャラリーで見た池田学の最新作 『誕生』 があまりにも衝撃的で、その感動を改めて伝えたかったこともある。『誕生』の展示は非常にユニークでした。ことし9月に、高島屋日本橋で始まった 池田学展 で見た同じ池田学の作品『誕生』を見た時の印象との落差が激しかった。それゆえ、照明や展示手法が重要だったのだとよく判った。
■ 池田学さんの絵 『誕生』の誕生秘話
作品は、3m×4mの大作。
しかも、アクリルカラーインクの細いペン先で描く手法で描かれる。
非常に緻密な作品で、裸眼で近寄って見ても、ガラス越しでは、見分けが付かない程の細い線から成る緻密な絵から構成されている。
彼の作風はユニークだ。1日に、10cm×10cmしか描けないのだという。 しかもなんと下絵は描かない。300cmx400cmの面積は、ざっと計算しても、1200日かかる計算だ。
東京芸術大学の卒業作を見た三潴さんは、池田学に注目する。
池田は卒業後、サリン事件の被告、松本ちずおの裁判で法廷作家などで生活を始める。三潴は、池田の才能を見抜き、寸法の大きな作品を手がけるようアドバイスをする。やがて、池田は、カナダの美術館から、スタジオと3年の制作期間の提供を受け、海外に渡る。
その制作活動開始直後に、311が起きる。
その結果産まれたのが、この『誕生』という3メートルx4メートルの大作だった。
昨年、彼の出身の佐賀県を始点に彼の120点の個展が始まり、石川県金沢市、東京都 高島屋日本橋と3箇所を巡回し、なんと20万人を動員した(*1)。高島屋日本橋に飾る前に、市ヶ谷のMIZUMA ART GALLERYに展示されていたということになる。
今もっとも旬で話題の現代美術のアーティストの一人である池田学の最新作。
彼の出身地である佐賀県は『誕生』を1億4千万円で購入し、常設展となる予定だ。
■ MIZUMA ART GALLERYでの『誕生』展示
高島屋で誕生を見て、MIZUMAで見ていない方には申し訳無いが、私はMIZUMAでの展示に衝撃を受けた。
展示会場に入ると部屋は薄暗く半空きの壁を抜けると更に奧に広大な空間があった。
天井はひたすら高い。
そこに 光り輝く 『誕生』は 有った。

 

池田の作風を当時は知らなかったので、
一瞬 3x4mの ELディスプレイが光っているのかと錯覚した。
私はイメージスキャナの設計者のプロなので、照明技術は直ぐに理解できる。まず、作品の周辺の壁にライティングが当たっていない。作品の明るさは、隅々まで非常に均一で、照明ムラが無い。作品に近づいてライトを探しても、見えない(ガラスの内側の上にセットされている)
作品は、至近距離でみると、左下は、震災瓦礫の残骸で描かれていることに気付く。全体を見ると、巨大なサクラが満開した老木に見えるのだが、その花びらは、震災で避難して暮らしたテントや、陸に打ち上げられた大型船のスクリューだったり、爆発した福島第一原発1,2,3号機の建屋だったりする。
全体を見るには、あとずさりする距離は5メートルでも足りないだろう。
MIZUMAはその空間を贅沢に用意した。
私は時間を忘れるほどそこに佇んでいた。
素晴らしい時間を頂いた。しかも無料だったのだ。
MIZUMA ART GALLERYでの「誕生」との初対面。高島屋日本橋で再会した。その後、六本木ヒルズで、三潴さんと池田さんのトークショーが有る事を知ったので、さっそく入場券を購入して耳を傾けた。どうしても、照明のことが気になってトークショーの最後に、手を挙げて質問をした。
「私は両方で、誕生を見た。」
「MIZUMA ART GALLERYでの展示は、あまりにも衝撃的だった。」
と熱く語ったら、「我が意を得たり」と感じてくださったのか、三潴さんがその展示の詳細を語り始めてくださった。なんと、テンポラリー(一時的な、再利用可能なガラスケースなどを制作するのではなく)展示のために、照明だけに、100万円をかけたのだそうだ。ガラスにも拘りがある。壁の周辺の壁紙にも拘った。そしてもちろん展示空間や展示空間の照明にも。全てに緻密な設計があった。三潴さんが池田学に注ぐ、強く深い愛情を感じ取った。素晴らしいギャラリストが居て、若手現代美術作家は幸せだと想った。
■ 三潴さんの想い
三潴さんは所謂団塊の世代の方。豪傑だ。今、日本の現代美術作家、アジア(ベトナム)の現代美術作家を世界にプロデュースすることに意欲を燃やしている。
ヨーロッパ、アメリカのパラダイム(価値の評価指標)とは異なる、アジアのアートの価値を世界に発信したいという。日本の作家の価値を私たち日本人やアジア人が育てずに大切にせずに誰がいったい育てるのだ?
それが、三潴さんのコミットだと判った。
そういえば、この現代美術で世界にもっとも影響力を持つ日本人、草間彌生(kusama yayoi)はここ長野県松本市の出身でしたね。
三潴さんと話をしていると、なんか力が湧いてくる。

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2017年10月28日 (土)

古地図をデジカメやスキャナで分割撮影する方法

デジタルアーカイブ系の論文を読み解く シリーズ1

大判資料(古地図等)の分割撮影向け簡易撮影台の作製
Portable camera frames to take multiple shots for large documents like maps
大矢一志

鶴見大学紀要 第47号 第4部
平成22(2010)年3月 別冊

URL:
http://library.tsurumi-u.ac.jp/metadb/up/admin/pt4_07_ohya.pdf

■主な写真

Fig4_

Fig5_


■概要
大きな古地図全域(たとえば畳1畳分、90cm×180cm)を一定の光学解像度(例えば300ppi、400ppi)で撮影する手段の開発報告書。

具体的には、
(1)デジタルカメラによる分割撮影、
(2)イメージスキャナ(CIS方式)による分割撮影、
(3)イメージスキャナ(CCD方式)による分割撮影、
の試作を行い、開発コスト、実作業での操作性、全体俯瞰図完成までの作業時間、完成図の精度や画像品質など、 現場の学芸員が使う立場に立った、総合的な評価を含む、実践的な実験報告書。

目的、目標、手順履歴、結果、評価、など子細に記述されていて、このテーマ「大判資料(古地図等)の分割撮影」を行おうとする者にとって、具体的な手引き書になっている。優れた論文だと思う。

この論文が書かれた背景を著者は論文最後に簡単に記載している。


本稿は、撮影台を作成した報告を目的とした、学術 研究論文というよりは、いわば技術報告書に近いものである。その意味では(、技官ではない)自分が用意する論文としては相応しくないかもしれない。日本では、資料の電子化そのものに関する学術的な研究は極めて少なく、また、その発表も高く評価されることはまれである。現場に直接還元できる実験報告は、意図的に学術論文としての性格を放棄しない限り、現状では共有できる情勢ではない。よって、本稿は、学術論文としての立場を放棄する。大矢・土屋 2000[1]でも述べた通り、研究者が自らの手で資料を電子化することは、 人文情報学の研究を進める上で極めて重要な仕事であると考えている。その環境を整えるためには、このような報告書も価値があると考えている。よって、本稿を上梓した。
■実験に用いた機材:
・デジタルカメラ Canon EOS 5D, EF50mm F2.5 Compact macro
・イメージスキャナ(CCD方式) Epson Colorio GT-S620
・イメージスキャナ (CIS方式)Canon CanoScan LiDE 600F

■コメント
イメージスキャナ設計者の視点で、2箇所気になる記述があったので、コメントする。
◇ page49 欄外コメント16)
「スキャナの場合、多くがレンズによる収差を自動的に補正してくれる。」
正確には、製造前の段階で収差が無いレンズ設計を実施している。具体的には、一般的にレンズには球面収差や歪曲収差、非点収差、そしてこれらの波長依存性で生じる色収差、などがあり、レンズ光軸中心(CCD式スキャナではスキャンエリア(短辺×長辺)の短辺側の中央位置)と周辺で異なる特性を有しているために生じる。
そこで、レンズ設計段階にて、ラインセンサ(イメージスキャナのセンサは、デジカメのセンサと異なり、2次元画素配列ではなく、1次元配列である)の逆投影面である被写体上の1本の線上において、収差の無い、均一な画像を得られるように、レンズ設計が行われる。非常に小さいレンズである(直径30~40mm)が、高級一眼レフ用のマクロレンズ同様に、5群7枚などといった高性能レンズが採用される。
加えると、イメージスキャナが、「自動的に補正」しているのは、主に「シェーディング補正」と呼ばれる機能である。イメージスキャナは、内部に白基準板と呼ぶ、反射率基準板を内蔵している。イメージスキャナは、電源投入後の起動時や、スキャニングする毎に、事前に内蔵白基準板の画像取り込みを行い、校正(キャリブレーション)を実施する。この原理は、反射率測定機や、分光光度計の計測手段と全く同じである。白と黒を得て、センサの感度特性がリニア(光量vs出力が直線的)であることを利用して、校正を行っている。
そのため、「(1)光源の光量ムラ、(2)レンズの周辺減光、(3)ラインセンサ画素毎の感度のバラツキ、(4)光源の光量、(5)レンズのF(絞り)値の明暗バラツキ、折り返しミラーの反射率バラツキ、(6)ラインセンサ全体の感度バラツキ、」など、時間変動の無い要因(=パターンムラ)を全て自動的に補正することができる。 その結果、分割撮影において、隣接画像との階調差が発生しない(継ぎ接ぎ部分で明暗差が生じない)階調再現性(色再現性)が担保される。

◇ page52 付録
「CCD方式では、被写界深度はCIS方式のそれより は深いため、ピントの合う領域は広くなり、図上では ほぼ全面でピントが合っている(図8)。 しかし、 デジタルカメラの方は、絞りの量を多く調整すると被写界深 度はより深くなるため、折り目に沈んでいる文字も浮 かび上がらせて撮影することができる 」

Fig789

この画像(図8)を見る限りでは、被写界深度の要因ではなく、採用したCCD方式イメージスキャナの照明装置の問題であると推定される。評価したイメージスキャナは、片側照明装置搭載のモデル(GT-S620)であり、光源の指向性が高く(拡散性が低く)、凹凸に対して影(陰影)が強い。そのため、凹部の奥まった箇所に光が届いて居ないためと思われる。
 
以上です。
このような素晴らしい大矢氏の論文や、私のささやかなコメントが、大型古地図撮影現場の学芸員や技官の方のお役に立つことを祈念して。

(初出:アイメジャー公式フェイスブック)

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2017年10月17日 (火)

オルソスキャナで写真撮影した昆虫標本の高精細画像の特徴 〜 深度合成 フォーカスブラケットの実際 〜

Photo

オルソスキャナで写真撮影した昆虫標本の高精細画像の特徴

◇ 常に正確な寸法(定規)が表示されます。

◇ 昆虫標本の箱をガラス板を外さずに丸ごと撮影。

   貴重な標本に全く非接触で撮影が可能。

◇ 学名の解説シートと標本と全域(高低差62mm)にピントの合った画像。

◇ 2億画素の画像。

◇ 髪の毛の半分(32マイクロメートル)を分解した(800ppiの)画像。

◆デジタルギャラリー:

http://www.imeasure.co.jp/ortho/gallery.html

◆アゲハ蝶 昆虫標本画像:

http://www.imeasure.co.jp/ortho/viewer/viewer.html?img=dzi/ageha&reso=800

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2017年10月 3日 (火)

ImageJ セミナー その1:入門

ImageJ セミナー (1時間30分コース)
その1:入門
1.画像データの構造
1−1.解像度と寸法
画素とは何か。
Set Scaleを見る。
1-2.色チャンネル
フルカラーとは何か
グレースケール
階調、ビットの話(8bitと16bit)
JPEG画像とTIFF画像の違い
2.応用
2−1.コントラストを上げる
image > Adjust > Brightness/Contrast
2−2.対象物の寸法をミリ単位で測る。
Set Scale
pixel per inch を pixel per mm に変える。
3.実践編
注目の画像に対して、背景の模様や濃淡を消去する方法。
3−1.色チャンネル同士の演算
Process > Image Calculator
blue.tif Divide red.tif
3−2.ボカシを使った演算
Process>Filters>Gaussian Blur
Process > Image Calculator
red.tif Divide red_blur.tif

以上

2017年10月 2日 (月)

写真の寿命はどんな考え方で求めているのか?

写真の寿命はどんな考え方で求めているのか?
具体的にどんな仕組みで 『写真寿命60年』 って言ってるのか調べてみましょう。


<寿命推測>

屋内耐光性(年)
=積算照度(klx・hr)÷ [ 0.250(klx)×12(hr)×365(day/year) ]
JAITA CP-3901A  より。


参考:EPSONのページ( ÷の後に[ ]が抜けている誤記があります。)

http://www.epson.jp/products/largeprinter/note/taikousei.htm

この考え方(式の意味するところ)は、以下の劣化メカニズムを仮定している。

【 仮説1:写真の劣化は、そこに照射される 光量 [ ルックス lx ] と 照射される 時間 の積(かけ算)で決まる。】

具体的には、
・写真が置かれる場所の照度は 250ルックスである。
・1日の照射時間は 12時間である。
・1年は、365日である。
ちなみに、実際には、どんなに光量を強くしても、60年なんていう寿命評価はとんでも無い時間がかかるので、 実験時の環境温度をわざと上げて、加速試験を行う。 同じ 積算光量(ルックスx時間)でも、評価時の環境温度が高いと劣化が加速される。

ここで、更に仮説を使う。

【 仮説2:劣化モードは、絶対温度の逆数(1/K)にて対数座標にプロットした時に、直線的に乗る。 】
これがいわゆる、加速試験の原理ですね。「アレニウス(Arrhenius)プロット」というグラフを作り、求める。

・・・
□アレニウス(Arrhenius )プロット 実例。

Jeitacp3901a

つまり、「228日間」 光を照射した実験結果を根拠にして、
「60年寿命」と売り文句を言うことにするわけだね。
たった、1年弱の実験結果を根拠にして、60年先のことを言っているってわけ。

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六本木ヒルズで開催された 池田学(いけだまなぶ)vs 三潴末雄(みづますえお)トークイベントに参加した

先週 六本木ヒルズで開催された 池田学(いけだまなぶ)vs 三潴末雄(みづますえお)トークイベントに参加した。
来週月曜日(10/9)まで、日本橋高島屋で彼の作品を見ることができる。(800円) ]
彼の作品の製作手法は非常にユニークで、ペンを使って描く。下絵は描かない。
色表現のためにアクリル絵の具を使うが、あくまで線画のみで色表現を行う。
そのため、1日に10cmx10cmしか描けない。
彼の才能を見いだした Mizuma Art Gallery
の三潴氏は、彼に巨大な作品を描くようにけしかけた。
やがて、カナダから巨大なスタジオ(アトリエ)と3年の時間を与えられ招待される。
その直後に311が起きる。
彼がその体験を経て産み出した作品は、3mx4mものサイズ。
「1日に10cmx10cmしか描けない。」ため、結果的に、3年と3ヶ月の歳月を費やした。
その最新作 『誕生』が今、東京に来ている。
・・・
彼はトークショーで言った。
「高さ3mの作品は、通常の展示では、作品を鑑賞する者の目には見えない。」
「それなのに何故、3m上の部分にまで、緻密な絵を描くのか?」
と良く聞かれる。
それに対して、池田は言う。
「恐らく、見えるように誰かがやってくれる。」
・・・
まさに、その見えるようにしてしまったのが今回のイベントだった。
3x4mの作品を30億画素にして任意の場所を拡大して閲覧できるようにしてしまったのである。
トークイベントでは、1日限りの30億画素の無料閲覧が行なわれた。
トークイベントで作者が手元のiPad(パッド)を使って、拡大してプロジェクターで映し出し、解説するデジタル画像を、会場に立ち会った参加者は、スマホやパットで自分の手元でも拡大して鑑賞するという、(おそらくこの世界では初の)イベントが行われた。
すごい時代が来たもんだ。
・・・
池田氏の才能を見出し世界への扉を開き池田の強力な後押しをした三瀦(ミヅマ)氏は言う。
「ブリューゲルのバベルの塔は450年を経て私達に作品を通して感動を伝えてくれる。」
「池田学の作品は50年、100年経ってもなお後世の人達に、人の手が生み出した作品である事に驚きと感動を伝えるでしょう。」
現場を目撃し生き証人になりましょう。
・・・
トークイベントでは、最後に手を挙げて三瀦さんに直接質問した。

Ikeda_mizuma2

の照明にかけたコストは半端ではなかった。
テンポラリーの無料展示に何と百万円かけたとの事。
だって作品に対する愛情が溢れ出てると感じたものそのライティングは。
この作品を購入した佐賀県は、是非この作品展示の照明にこだわって欲しい。

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