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2017年9月

2017年9月15日 (金)

【 実験 】 イメージスキャナをひっくりかえしてみた。(※注意)

Hanten_


A3サイズを2400ppiでスキャンできるから、12億画素のカメラだね。
また、A/Dコンバータは 16bit (65536階調)を積んでるので、48bitColor画像。

でも、被写界深度が 1200ppi では 1mm程度なので、ブラケットスキャンをやってみた。

ワザと名刺を折り曲げる。

高さは最大で 24mmくらい。

ピントを0.1mmづつ変えられるスキャナなので

ES-10000G

目一杯(2.0~+6.0mm)変えて、スキャンする。

そのピントを1mmづつ変えてスキャンした画像を

後から、フォトショップのレイヤー合成機能を使えば

全域(8mm範囲で)ピントの合った画像になるでしょう。

きっと。

ということで、パンフォーカス画像を作ってみた。

ところが。。

〜〜〜〜〜( 注意)

よい子は真似しないで下さい。改造せずに、ひっくり返すと、壊れます。

 こうなる。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-83a0.html

〜〜〜〜〜

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2017年9月 7日 (木)

高精細画像の写真撮影とレプリカの制作

作品のスキャニング作業が終了した。

800ppi で複数回スキャンした。
作品は凹凸が激しく、2焦点位置で撮影し全焦点画像を生成した。
また、有効スキャン範囲を超えているため、左右2回に分けてスキャンし、合成した。

この作業を通じて感じたことをちょっとメモします。

今回は、塵(ちり)のことと画像接合の話題です。

 塵(ちり)のこと。

スキャン解像度が800ppiともなると、1画素で32マイクロメートルを分解する。

ちなみに、髪の毛の直径は、70マイクロメートルなので、作品の上に埃や髪の毛が乗ってしまうとはっきりとそれと判ってしまう。そのため、画像をパソコンで開いてからが、大変な作業になる。

(じつは先月、日本刀のスキャニングワークショップに合わせてクリーンベンチを導入したのだ。)

作品の中に毛筆の毛こそ見つかったが、室内の空間から落下したと思われる埃や髪の毛は幸いにして検出されず、後処理は非常に楽だった。

ほっとした。

800ppi ましてや 1200ppi ともなると、クリーンベンチは必須です。

ちなみに、クラス1万というクリーンベンチのスペックは、1フィート立方空間中に、0.5マイクロメートル以上の塵が、1万個未満であること。

 画像接合の話。

最近のPhotoshopは、メモリーさえ積んでおけば、ギガピクセル(10億画素)画像だろうと、さくさく動く。

今、弊社で頻繁に使うのが、レイヤー合成機能とフォトマージ機能(Photomerge)だ。

レイヤー合成機能は、パンフォーカス画像の生成に非常に有効だ。

パンフォーカス画像とは、被写体に奥行きが有る場合でも、前後方向全域にピントの合った画像のこと。

通常は、撮影光学系の被写界深度(ピントの合う範囲)があるため、解像度を上げる程、パンフォーカス画像は得られない。

そこで、被写界深度よりも、対象物の奥行きが大きい時は、カメラごと前後させて複数枚の画像を得て、その複数枚の画像から最適ピント画像を合成する。

これは、顕微鏡の場合に良く行われる手法で、光学写真で立体物の全焦点画像は、こうした方法で得て居る。ちなみに、顕微鏡のレンズは殆どが、テレセントリックレンズである。

デジカメの場合(最高級業務用一眼レフも同じ)はこうはいかない。

近づくと被写体は大きくなる、遠ざかると小さくなる。

いわゆる、パース(ペクティブ、遠近法のこと)が発生して、前後のピントの合った画像の自動合成では、どうしても歪みが発生する。

単純計算で、1メートル離して撮影した場合で、1mm近付けば、相手は1000mmに対して、1mm大きくなってしまう。

10cm対象であれば、端で0.1mm程度、つまり800ppiであれば、3ピクセル分は歪みが発生する。

だから、画像接合はそう簡単な話ではない。

オルソスキャナは、テレセントリックレンズを採用した。

その結果、被写体の凹凸に合わせて、ピント位置を変えてレンズを丸ごと前後させて得た画像は、寸法歪みが無いため、素直に合成することが可能となった。顕微鏡と同じ原理だ。

こうして、レイヤー合成機能を使って、お任せでパンフォーカス画像が(ほぼ)自動生成される。

・・・

次に、フォトマージ機能。

こちらは、パノラマ写真を作るために産まれた機能だ。

イメージスキャナでも、大きな被写体を何回かに分けてスキャンして合成する際に使用できる。

Photoshopが、画像を見比べて、マスクを自動生成して、複数画像を合成する。

2回に分けて撮影した画像の接合部を32マイクロメートルの歪み無く、撮影することはデジカメでは不可能だ。でもPhotoshopが、うまい具合に接合してくれる。。はずだが、そうはいかない。

地図など線画の被写体の場合は、鉄道が繋がらず、道路が繋がらず、河川が繋がらず、自動合成は無理だと判る。

ではどうするか。メッシュ(網の目)歪み補正の機能(ワープ)を使う。

しかし、この作業は、ゴミ取り作業よりも更にきつい。

オルソスキャナではどうか。接合部でのスキャン精度は、1メートル長で、±0.1mmの絶対精度を達成した。Photoshopのフォトマージ機能にお任せで、ほぼ問題が無い。

ラクチンなのである。

もし、あなたがこの記事を読んでいて、もし、日夜、根性で画像を繋いでいるようなら、ぜひ一度、オルソスキャナの実力を試してみて欲しい。

http://www.imeasure.co.jp/ortho/

・・・

オリジナル作品が劣化して、頻繁に大衆の目に触れることの出来なくなる作品が存在する。

だからこそ、高精細レプリカを作成して、それを展示する。

管理環境の整っていないギャラリーにも気軽に貸し出し、作品の認知度を上げる。

A.オリジナル作品は大事に保管する。 

B.作品をより多くの人の目に触れてもらい価値を伝える。

この相反する需要を同時に叶えるために高精細レプリカの価値がある。

そんな時代。

2017年9月 2日 (土)

論文紹介 浮世絵 色材 #ukiyoe

論文紹介 浮世絵 色材 #ukiyoe

昨年の11月、東京都墨田区に北斎美術館が開館するのに合わせてNHK特集が放映された。

「ロスト北斎 The Lost Hokusai『幻の巨大絵に挑む男たち』」

関東大震災で消失した北斎の作品『須佐之男命厄神退治之図』(すさのおのみことやくじんたいじのず)を、残されていた白黒(コロタイプの)印刷物から図柄を復元するだけでなく、色彩をも再現しようとする試みをドキュメンタリータッチで構成した秀逸な番組だった。

白黒写真が、256階調のグレースケールと仮定すれば、フルカラーにおいては、1670万色からどの色かを推定しなければならない。

・当時、白黒(コロタイプ)印刷を行う上で使われた白黒フィルムの分光感度特性の調査。

・当時、北斎が作品に使ったであろう、色材の推定を現存する作品から分析。

・当時、北斎の手法で描かれた場合の、グラデーション手法をプロの絵師に再現してもらいシミュレーションする。

・当時、それぞれの絵柄に登場する病や災害を象徴する鬼達が、どのような文化的背景で彩色されていたかを時代考証する。

それらを総合的に考察し、最終的に、非接触スキャナでスキャニングされた白黒(コロタイプ)印刷物の濃淡と合致する色材候補の中から、特定の色材を特定していく、気の遠くなるような地道な作業。

現在、普及しているオフセット印刷物ではなく、美術作品の記録として優れたコロタイプ印刷であったことが、せめてもの救いであったと思われる。これにより微細な表現と忠実な階調性の記録がなされている。

また、この滑らかな階調を高い光学解像度のまま、正確に非接触で写し取るために使用されたオルソスキャナの活用も重要であった。

現在、この複製画は、すみだ北斎美術館の入り口にドーンと飾られている。

・・・

当時、北斎が使ったであろう、色材の推定。

浮世絵に使われている色材の先駆的な研究成果が以下の論文である。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku1952/47/2/47_2_93/_pdf

分析科学 Vol.47, No.2, pp.93-100(1998)

光ファイバーを用いる三次元蛍光スペクトルによる日本古来の浮世絵版画に使用された着色料の非破壊同定

下山進、野田裕子、勝原伸也

この共同研究者の勝原さんは、立原位貫(1951-2015)という作家名で浮世絵版画の再現を目指した彫り師+摺師である。残念ながら、一昨年亡くなられた。

昨年、共同論文執筆者の下山氏が、研究成果の全貌を判りやすく論文にまとめた。

http://kiui.jp/pc/bunkazai/kiyo14/08_shimoyama_pp63-74.pdf

浮世絵の色材研究

浮世絵非破壊分析法の開発研究と浮世絵研究者との出会

下山 進・下山 裕子

文化財情報学研究 第 14 号 文化財情報学研究 第 14 号 pp63-74

ここでは、浮世絵の色材の研究目的のために、さまざまな分光学的な計測手法が開発された経緯が、詳細に綴られている。

(1)3DF分析法:三次元蛍光スペクトル非破壊分析法

 ※顔料は測定できない。

(2)RI蛍光X線分析法

※NASA火星探査機MarsPathfinder に搭載された装置をヒントに、ハンディーな蛍光X線分析装置を開発した。

(3)Vis-Nir反射スペクトル分析法

※Ocean Optics 光ファイバー式。直径1mmを計測可能。780nm~1100nmの近赤外線域も計測可能。

こうして、江戸時代に 青 として使われていた染料、顔料、

・染料:青花(露草 つゆくさ)、藍

・顔料:プルシアンブルー(鉄とカリウム)

が、どの浮世絵から、採用されたかを、時間軸で科学的に解明された。

素晴らしい成果ですね。

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