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2017年4月 7日 (金)

フィルムスキャナ用のセンサ1画素あたりの飽和電荷量の目標値はいくつか?

Ppsep702

フィルムスキャナ用のセンサ1画素あたりの飽和電荷量の目標値はいくつか?

[結論:1画素あたり 275兆個の電子=光子を貯めることのできるセンサ ]

昔書いたブログ記事ですが、結構読まれています。

光ショットノイズ

http://imeasure.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_bd38.html

この記事のコメント欄で9年前に議論してきた話題は

パナソニックによって現実化してきましたね。

楽しみです。

一年前のPanasonicのプレスリリース http://news.panasonic.com/jp/press/data/2016/02/jn160203-3/jn160203-3.html

ここで述べられている

123dB ですが、もう少し設計の視点でブレークダウンします。

まずdBの定義:

dB=20*log(V/V0)

これに123dBを代入すると、

V/V0=10^6.15

つまり、1画素あたりに141万個のフォトンを貯める、って計算。

光ショットノイズは、信号(S)の平方根で決まるとして、

S/Nで 10^(6.15/2) = 10^3.075

=1188.5

OD値にして、3.075

つまり、ポジフィルのスキャンに手が届き始めます。

・・・

ここで、ポジフィルムの最大濃度を整理します。

カラーリバーサルフィルム特性曲線

写真工学の基礎−銀塩写真編-

Principles of Photographic Science and Engineering

1979年初版

1998年改訂版

編者 日本写真学会

第8章核種感光材料 page702

3本の線の凡例(はんれい)が無いけど、ネットを見るとどうやら、

上から順番に、R,G,B

http://www.muhyo.jp/contents/ev/images/velvia100f_476_421.png

log(露光量)= -2.0 あたりの濃度で比較すると、

濃い順に、

Green 3.8

Blue 3.7

Red 3.3

ってところですかね。

よって、必要十分なフィルム用スキャナのS/N目標値は、

S/Nで、3.8

Sは、自乗必要。(光ショットノイズは信号の平方根で決まるとして)

S=10^(2*3.8)

光電変換効率が1.0と仮定して、

同じくセンサの1画素あたりの飽和電荷数は、

10^(2*3.8) = 0.275*10^15

単位を整理すると、

10^3:K キロ

10^6:M メガ

10^9:G ギガ

10^12:T テラ(=兆)

10^15:P ペタ

ですので、

275兆個の電子=光子を貯めることのできるセンサ。

がゴール、ということになりますでしょうか。

特に、OD値の最大濃度が、Greenってことが課題です。

Green成分は、肉眼の濃淡感度にもっとも敏感な波長です。

つまり、空間周波数に最も影響する。

(まあ、だからベイヤー配列のセンサのフィルタ配置は、

4つの領域に、Greenフィルタを2枚も消費するわけです。)

だから、OD値3.8は必須達成目標ですね。

Panasonicさん がんばれ。

デジタルのフィルムスキャナで、ドラムスキャナを超える時代がもうすぐそこに来ています。

古いネガ写真であるガラス乾板のデジタルアーカイブの本命は、恐らくこのPanasonicの有機薄膜+CMOSのセンサが商業化することで達成できるんじゃないかと期待 しています。

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