図面、地図や部品を ±0.1mmの寸法精度で測りたい その方法
公式ホームページに清書し掲載しました。ぜひこちらをご覧下さい。
http://www.imeasure.co.jp/ortho/report.html
図面や地図やアート作品や加工部品を高精度(例えば、±0.1mm)に測りたいとき、その撮影作業の「目標精度」について検討します。
具体的には、ターゲット(図面や地図やアート作品や加工部品)をどの程度精度良く設置すべきか?その計算をしてみます。
これは、ターゲットのデジタル画像を撮像するカメラマン(もしくはスキャナオペレータ)が、ターゲットを設置する場合、その設置精度をどの程度制御して(留意して)設置すべきかの計算です。
まず、目標寸法精度 を ±0.1mm に設定します。デジカメを使って図面を撮影する作業を考えます。
ここで例えば、レンズ~ターゲットまでの距離を1メートルと仮定します。(被写体レンズ間距離を作動距離:W.D. ワーキングディスタンスと呼びます。)
まず、変動要因として撮影距離を考えます。
カメラを三脚に固定しターゲット(図面や地図)にピントを合わせ撮影します。この作業を繰り返し、ターゲット(図面)を差し替えて、撮影作業を続けます。この時、ターゲットとカメラの距離設置精度が、撮影倍率に与える影響を評価します。例えば、撮影距離の変動が、± 1mmの時、その変動によって生じる寸法誤差(歪み)は、±1/1000 だけ影響を受けます。(上図参照ください。)
具体的には、例えば、1メートルの長さの部品図面であれば、1mmのズレが生じます。
よって、目標寸法精度 が ±0.1mm である場合、図面の距離設置精度は、±0.1mm未満に納めなければなりません。
実際には、ターゲット(図面、地図)を次々と入れ換えて撮影するシーンを考えると、図面の設置精度を±0.1mmに納めることは至難でしょう。紙の厚さは薄い紙でも0.05mm(=50μm)程度あります。この場合、紙2枚の厚さが、目標の寸法精度となる計算です。
【テレセントリックレンズを使ったイメージスキャナ(オルソ・スキャナ)の場合】
一方、テレセントリックレンズを使うとどうなるか。
距離変動に対しての寸法誤差は原理的には発生しません。
歪みはゼロです。
(ただし、当然ながら焦点のボケは起きます。被写界深度内であれば、焦点ボケは無視できます。)
〜〜〜〜〜
ケース2、次に、ターゲットが傾いた設置される場合を考えてみます。
例えば、図面を拡げた際に、皺や曲がりの癖で、ターゲットが +1mm 浮き上がった場合などを想定しています。
【デジタルカメラ(通常レンズ)の場合】
ターゲットの設置精度に、1mmの傾斜が有る場合、その寸法歪みは、1/1000 だけ影響を受けます。1メートルの図面であれば、1mmのズレが生じます。
先ほど、距離変動を検討したのと同じ結果です。
【オルソ・スキャナの場合】
直感的には、寸法歪みが大きいような気がしましたが、実際に計算すると、0.5x10^(−6)程度で、無視できることが判りました。
0.5x10^(−6)の歪みとは、1メートルの図面において、0.5μm程度の歪みです。緑色の光の波長程度ですね。
(まとめ)
従来こうした課題を解決するために採用されていた対策は、撮影距離を長くすることです。
かつて、オフセット印刷用の網点スクリーンを生成するための版作成カメラレンズの撮影距離は、数メートルにも及び、十分な距離を離して撮影していました。175線の網点にて、0.145mmピッチの線ですので、今回考察している寸法精度 ±0.1mmに近い精度です。この網点の版をYellow/Magenta/Cyan/Blackと4版重ね合わせるために高い精度が要求されました。
今回、考察したとおり、テレセントリックレンズを使った撮影方法を採用することで、実質的に無限遠からの撮影に相当します。その結果、ターゲットの浮き、傾きに高精度の設置を要求することなく、比較的実現可能な容易な設置により、高い精度(±0.1mm)の撮影が可能となることが判りました。
アイメジャーの開発した 『オルソ・スキャナ』は、ラインセンサとテレセントリックレンズを組み合わせた弊社独自の特許技術による撮影システムであり、今回のようなターゲット(図面、地図、加工部品)などの測定や撮影用途に最適なイメージスキャナです。
詳細は、下記専用ホームページをご覧ください。
http://www.imeasure.co.jp/ortho/
(初出:facebook)
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