技術資料 イメージスキャナの倍率精度と温度依存性
技術資料 イメージスキャナの倍率精度と温度依存性
1.目的 イメージスキャナの倍率精度評価にあたり、倍率の温度依存性を調べる。
2.実験方法
イメージスキャナ: ES-10000G (s/n: FVR0000909)
透過原稿ユニット:TPU(s/n: 013364)
スキャン条件: 透過/8bitGray/1200dpi
TestChart: 231 x 250 mm 四方に○印マークをガラス面にクロム蒸着したチャート。
4箇所のマークをそれぞれ、A1,A2,B1,B2と呼ぶ。
座標は、それぞれ(0.0),(231,0),(0,250),(231,250)[mm]である。
温度: 水準 10°C/20°C/30°C
●結論:
・20度の温度変化(10〜30度)において、倍率は、最大 0.101%変動した。
●考察:
・もし、読み取り寸法倍率精度の変動を 0.01%に抑えることを目的とした場合、許容される温度差は、Δ2度である。一般的にイメージスキャナは、連続スキャニング動作を行った場合、CCDセンサ駆動やモータの発熱により筐体内の温度が上昇する。使用開始前と連続スキャニングを行った際の温度差を Δ2度以内に抑えることは不可能である。よって、主走査方向の倍率精度を0.01%に抑えるためには、運用(使用環境温度の管理など)では不可能であると判断される。
●倍率が温度に依存する理由:
イメージスキャナは、光学ユニットの素材としてアルミニウムを使用している。レンズとセンサの間の距離は、約80mmである。
アルミニウムの線膨張係数を
25.6 x 10 ^ -6 と仮定した場合、
http://www.zerocut-watanabe.co.jp/contents/handbook/hand031.html
25.6x10^−6*20度=512x10^−6
=0.000512
=0.05% の変動である。
実際の距離変動は、80mmx0.000512=0.04096
約41μmの変動となります。
以上より、イメージスキャナの倍率精度の温度変動の主要因の一つは、使用しているアルミニウム合金の線膨張係数によるものである。
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