ベクレルには時間の単位があるのにシーベルトからは消えているのは何故か?(改)
■ 預託実効線量とは? もご覧下さい。
ベクレルには時間の単位があるのにシーベルトからは消えているのは何故か?(改)
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■補足 2011.3.29
理系の人向けの判りやすいページがありました。
[実効線量係数 線量預託]で検索をかけてみてください。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/yotaku_jikkou_syousai.html
(Anaさん ありがとうございました。)
私が疑問に思った「消えた時間」とはこの記述の中で言えば、τでした。
τとは、内部被ばくにより人体に与える影響を積算するための期間であり、
成人:50年
子供や乳幼児:摂取から70歳になるまでの期間
つまり、Bq→Svへ変換する時に
Bqの[核崩壊/秒]という単位は、[Sv/τ]に変換されていた。
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■補足:2011.3.28
基礎式が見つかりました。
半減期の影響が加味されています。
厚生労働省「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」
2r98520000015cfn.pdf
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■2011.4.2追記
実効線量係数 0.14 [μSv/Bq] は、[原子核、年齢]により異なる。
また、「成人に対しては50年、子供や乳幼児に対しては摂取から70歳までの期間」の積算量を意味する。
例えば、
1kgあたり、54100 ベクレルのヨウ素131の付いたホウレンソウを
1回に、1kg食べたとして、
その後一切食べない時に、生涯で受ける放射線積算量は、
54100 [Bq/kg] * 0.14 [μSv/Bq] = 7.56 [mSv/kg]
となる。
実効線量係数 の詳細は、
厚生労働省「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」
2r98520000015cfn.pdf
別表4 経口摂取による実効線量及び甲状腺等価線量への換算係数
を参照。
■計算(再掲):
さきのホウレンソウの計算にて、
ベクレルは 核崩壊数/秒
なのに、
変換係数(μSv/Bq)で導かれるシーベルトからは時間の単位が消えている。
ように見える。
これは何故か? 再度、考えてみました。
Q1:「日立市 ホウレンソウ 54100 ベクレル/kgのヨウ素」を検出した。
「このホウレンソウを1年間食べ続けた場合の被爆量は?」
54100 [Bq/kg] * 0.14 [μSv/Bq] = 7.56 [mSv/kg]
Q2:年間、許容被爆量を50 mSvとした場合に、年間何キロまで(食べ続けて)よいか。
50 mSv / 7.56 [mSv/kg]
= 6.6 kg
以上は、「0才児が食べた場合」に採用される変換係数 0.14 [μSv/Bq] を使った場合。
ここで、「シーベルトからは時間の単位が消えて」いるように見えるがよく見ると消えていませんでした。
つまり、
0才児は、54100 ベクレル/kgのヨウ素131が含まれるホウレンソウを【1年間】で総量6.6kgをせっせと食べ続けた場合に、50mSvの被爆を受ける。
(2011.3.25修正)
ということだ。
となると、変換係数の解釈に既に時間が含まれている。
0.14 [μSv/Bq]
この係数の意味は、
1ベクレル = 0.14 マイクロシーベルト/年
が隠れているはずだ。
でないと、先のホウレンソウの計算が合わない。
1年は、8760時間なので、係数は、
1ベクレル=(0.14/8760)マイクロシーベルト/時
となる。
ヨウ素131の半減期8日の積分時間をエイやっと見積もって200Hとする。(後でちゃんと計算してみます。)
54100 ベクレル/kgのヨウ素131を含んだホウレンソウを1kg食べて、
その後、口に入れなかった時。全体の被爆量は、、
54100 ベクレル/kg
* 1kg
*(0.14/8760)マイクロシーベルト/時
*200H
=173マイクロシーベルト
となる。
問題は、半減期の長い、セシウム137(=30年)の方だ。
こっちは、一度だけ、この量を体内に入れると、30年間後に半減するペースで、体の中で出続ける。
(補足:NHKのnewsによれば、ヨウ素が甲状腺に取り込まれて排出されないのに対して、セシウムは80日程度で体外に排出される。とのこと。)
体内被曝の計算式に、暗黙の内に時間が省略されていたのは、1年間とり続ける、もしくは、半減期が長く、一度取り込むと、1年間浴び続けるという前提で省略されているもの、と推定される。
■補足:
「0.14 [μSv/Bq]。この係数の意味は、1ベクレル = 0.14 マイクロシーベルト/年が隠れているはずだ。」
素朴な質問はこうなる。
0才児がヨウ素131の放射線被曝を受ける場合、
0.14マイクロシーベルトとなるのに、核崩壊は何回起きてるか?
1ベクレル = 0.14 マイクロシーベルト/年
1ベクレル=1[核崩壊/秒]
1年間=365日x24hrx60分x60分=31536000秒
だから、
3千153万回の核崩壊。
A:3千万回の核崩壊。
○結論:
【1ベクレル =0.14 マイクロシーベルト】
という換算式には、時間軸が含まれている。
【 3千万回の核崩壊 / 年 = 0.14 マイクロシーベルト/年 】
漸くこれで、納得。
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Bqは、確かに一壊変/秒ですが、上式の
Bq/kg*μSV/BqでBqは分子、分母にあるので
Bqは消去されます。よって、年間とかではなくBqの野菜をどれだけ摂取したらその時点でどのくらいの
被爆SVがあるかということだと思います。
変換した時点でその時点での被爆ということだとIoもいますが。
投稿: Ana | 2011年3月29日 (火) 13時51分
さきほどのコメントに追加ですが、変換係数自体が線量預託を考慮しての考え方ですので、大人であればこれから50年この線量を被爆しますよとの解釈と思います。
投稿: Ana | 2011年3月29日 (火) 14時34分
Anaさん
コメントありがとうございます。
氷塊しました。
[実効線量係数 線量預託]
で検索をかけたら非常に(理系が)判りやすいページを見つけました。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/yotaku_jikkou_syousai.html">http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/yotaku_jikkou_syousai.html 預託実効線量とは?
私が疑問に持っていた「消えた(と思った)時間」とは
この記述の中で言えば、τでした。
成人:50年
子供や乳幼児:摂取から70歳
のことでした。
Bq→Svへ変換する時に
[核崩壊/秒]という単位は、[Sv/τ]
に変換されていた。
年度末、出張続きで忙しいので、一区切りしたら、
blog全体の記述を見直します。
ありがとうございました。
投稿: いちのせ | 2011年3月30日 (水) 01時36分
同じ疑問を持たれた方がいた事に感謝します。すっきりしました。
ただ、さらに疑問なのですが、計算式では経口摂取した核種について吸収率の項目がありません。
100%吸収での数字だとしたら、実際にはもっと小さい数字になるのではないでしょうか。
投稿: k | 2011年5月 4日 (水) 13時06分
kさん コメントありがとうございます。
当時、ベクレル、シーベルトが氾濫し、報道する記者は「毎時」なのか、トータルなのか理解せずに報道していました。
外部被曝と内部被曝の要因も当時整理して発信されていないかったと記憶しています。
そのため、私もかなり理解に苦しみ、少ないネット上の情報をたどり、いろいろと調べました。
実は、息子の知人が松本市で福島県産の野菜を販売するイベントを立ち上げたので、販売責任上、自信を持って売れるように支援してあげたかった。
というのが経緯です。
ご質問の件ですが、吸収率は、文化や個人により異なるので、100%として計算しておけば、安全側になるという理解で良いのだと思っています。
ヨウ素は、日本では、コンブやわかめを食べる習慣があり、放射性ヨウ素を取り込む可能性は、他の文化圏(例えばチェルノブイリ)よりも少ないという記事は良く目にしますよね。その場合、吸収率は100%にはならないのだと思います。
投稿: いちのせ | 2011年5月 5日 (木) 12時30分