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2011年2月12日 (土)

シェーディング補正とは

○シェーディング補正とは

イメージスキャナに搭載されている補正機能の名称です。

具体的には、

(1) 光源の光量、
(2) レンズの透過率、折り返しミラーの反射率、
(3) リニア(ライン)イメージセンサの感度、
ならびに、
(4) 光源の光量ムラ、
(5) レンズの周辺減光、
(6) リニア(ライン)イメージセンサの画素毎の感度ムラ
の6つの変動要因を個体毎、1スキャン毎に補正する仕組みです。

目的は、スキャン値の絶対反射率(もしくは絶対透過率)再現性と、繰り返し再現性です。
このシェーディング補正機能のおかげで、どのスキャナでスキャンしても【個体差】、購入時にスキャンしても長期間使用後にスキャンしても【寿命変動】、寒い朝にスキャンしても暑い夏にスキャンしても【環境温度変動】、有効取込範囲(A3等)のどこに原稿を置いてスキャンしても【有効取込範囲の場所による変動】、同じ結果が得られる仕組みになっています。
この点がデジタルカメラ等で接写する画像との大きな違いとなります。

【仕組み】

較正の仕組みとしては、反射率計や濃度計で行われる手順をラインセンサ全域について行っています。
濃度計では、標準反射板(白色/黒色)を初期設定において使用して較正作業を手動にて行います。

イメージスキャナでは、補正に使用される基準板が内蔵されており、自動化されています。

反射原稿の場合は、有効スキャン範囲のプラテンガラスの読み取り開始側に反射率100%の白基準板が、スキャナ内部に向けて設置してあり、これを使って基準反射率の較正(キャリブレーション)を行います。

透過フィルムをスキャニングする場合は、同様に、プラテンガラスの読み取り開始側のプラテンガラスを透過率100%の基準としてサンプリングします。

黒基準は、光源を消灯し、無照明時のセンサ出力を黒基準としてサンプリングします。

【計算式】

d_cal(n)

= (2^BIT-1) * { d_in(n) - d_bk(n) } / { d_wh(n) - d_bk(n) }

<説明>

d_cal(n):補正されたデータ。
n:センサ画素番号。ES-10000Gであれば、12.2*2400=1~29280
(2^BIT-1):階調数に応じた係数。
16bitの場合、2^16-1=65535。8bitの場合、2^8=256-1=255。
d_in(n):センサからの入力値。
d_bk(n):黒基準値。
d_wh(n):白基準値。

【シェーディング補正の限界】

上記式は、y=ax+b で表される1次関数近似の補正式です。
従って、ラインセンサのリニアリティ(感度の線形性)が
完全な直線でない領域を使う場合は、シェーディング補正
を行ってもタテスジは解消できません。

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コメント

いつもお世話になります。この記事、大変興味深いです。
ちなみに、私のやっている想定外での使用においては、
構造的に消灯時の完全な黒基準がとれないと思いますが、
どんな悪影響がありますか?

スキャン開始直前までレンズにフタをして撮影した画像とフタ無しで撮影した画像の間で有意差があるかどうか調べれば良いと思いますよ。たぶん差が無いように思います。

以前、位置センサーのoffに連動してシャッターを開くシステムを考えたことがありますが、ハッセルは電磁レリーズにならないのと、結局カメラぶれの原因になりそうなので諦めました。一度レンズキャップで違いが出るかやってみます。でも、動き出すタイミングは難しそうです。

YAKUさん
testならセンサが動き出してから後にレンズキャップをはずせば充分だと思います。スキャニング後半に、「暗箱」を撮影して、もし、フタをしない時の方が、フタをした時に較べて、値が小さい場合、悪影響の可能性があります。つまり、黒基準サンプリング時にモレ光が入っていて、引き算し過ぎるために、値が小さくなる(最悪、0に張り付いてしまう)現象が起きると思われます。

なるほど!調べてみます。

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