MAXI 宇宙のX線源を92分に1回の間隔で監視し続けるシステム
Monitor of All-sky X-ray Image
まるで「気象衛星ひまわり」のように全天のX線源を常時モニタするシステム
理研のこのページはすごい。明るいX線源をクリックすると名称が下に表示される。更に、X線源の名称をクリックすると過去〜現在までのX線強度の観測結果がグラフになって表示される。中央上部の明るいのがさそり座X1、そのすぐ下が、今年9月に最初に発見された、MAXI J1659-152。下図のカーソルを参考にクリックする。
2010-6-15までの画像(下端図2)と見比べると、増光しているのが一目瞭然です。
はやぶさのターゲットマーカーのミリオン(100万人)署名募集を知らずに過ごしてしまい、イトカワの上に名を残せなかったのが残念で(笑)、
最近JAXAのページを見るようにしています。
2010-10-17に MAXIが2個目のX線源を発見したようです。
ーーーーー
http://www.jaxa.jp/press/2010/10/20101022_maxi_j.html
http://www.jaxa.jp/press/2009/11/20091126_maxi_j.html
「MAXIはこのような観測を繰り返すことにより、全天で1000個を越えるX線天体の1日から数カ月にわたるX線の強度変化を90分に1回の間隔で監視し、いわばX線による全天の動画をカラー撮影します。」
「MAXIは、平成21年7月16日にスペースシャトル エンデバー号により打ち上げられ、同24日に若田飛行士によるロボットアーム操作で「きぼう」船外実験プラットフォームに取り付けられました。」
「MAXIは今後少なくとも2年以上にわたり「全天を見渡すX線の眼」として活躍することが国際的に期待されています。」
ーーーーー
http://www.jaxa.jp/press/2009/08/20090818_maxi_j.html
「MAXIでは、電力供給や姿勢制御、通信などの基本機能をISSに依存することができるため、従来より大型の検出器を搭載することが可能になり、その結果、天体が放出するX線をこれまでの全天監視型の観測装置より10倍高い感度で検出できます。」
ーーーーー
ーーーーー
http://kibo.jaxa.jp/experiment/ef/maxi/
「MAXIは全天を観測する装置としてスリットカメラを用います。一次元位置検出器と直交したスリットを組み合わせ、細長い視野からX線のくる方向を検出し ます。これは、レンズを使用しないピンホールカメラと同じ原理です。X線天体は国際宇宙ステーションの動きに合わせて動き、カメラの視野内に現れる時刻から座標が決まります。国際宇宙ステーションが90分で地球を一回周回すると、2つの半円弧状のカメラ視野が全天を一回走査します。」
ガス比例計数管 X線冷却CCD
「MAXIには比例計数管を用いたガススリットカメラとX線CCDを用いたX線CCDスリットカメラの2種類のカメラが搭載されます。これらの組み合わせに より、低エネルギーのX線から高エネルギーのX線まで広い波長領域で観測し、X線によるカラー撮影を行うことができます。」
ーーーーー
ーーーーー
ーーーーー
Si(シリコン)のバンドギャップが、1.1eVで1100nmまで感度が有る。
波長 [nm] = 1240/ バンドギャップ [eV]
2KeVにて 0.62 nm = 620 pm
16KeVにて 0.078 nm = 78 pm
のX線を捕らえるとうことになります。
(■追記)
誰が中心になってこの斬新なアイデアを現実化したのか。。
漸く分かりました。松岡勝さん 仁科研の直系の方。
「松岡 勝 基幹研究所 特別顧問に聞く
日本の原子核物理学の先駆者として知られる仁科芳雄博士は
1931年、理研に仁科研究室を立ち上げ、宇宙線の研究を始めた。
それ以来、理研の宇宙研究は現在まで連綿と続いている。
松岡 勝 特別顧問は、仁科研究室の直系に当たる
宇宙線研究室(1988年6月から宇宙放射線研究室に改名)の主任研究員を
1986年から1999年まで務め、ガンマ線バーストを観測する小型衛星HETE(ヘティ)を開発したり、
X線で全天を監視するMAXI(マキシ)のアイデアをまとめるなど、理研の宇宙研究を大きく飛躍させた。
松岡 特別顧問に、理研における宇宙研究の過去と現在、そして今後の期待を聞いた。」
■松岡>
「きぼう」では、船内実験室に加えて、装置を宇宙空間に露出させて観測や実験を行う船外実験プラットフォームもつくることになりました。これは、米国やロシア、欧州の実験棟にはない「きぼう」の大きな特徴です。
■松岡>
MAXIチームの三原建弘 先任研究員が中心となり、毎日250ほどの天体のデータをMAXIのホームページで公開しています。データの解析には、大阪大学、東京工業大学、青山学院大学、日本大学、京都大学、宮崎大学、中央大学の学生や研究者も参加しています。
今年9月に見つかったX線源は、一番下の10-20keVのグラフを見ると、そろそろ終息しそうです。
(■追記)
松岡勝氏による最新記事。pdf, 17page。
このpdfには、松岡氏がMAXIをどのように立ち上げたのか、詳細な記載と豊富な写真や図が掲載れている。
blogの主旨”デジタル画像”の観点から、加算平均処理によるノイズ低減→感度を上げる手法と推定される記載があったので抜き出します。
「MAXIはこれまでの全天X線監視装置に比べ1桁ほど感度が上がるものである。
このため、1周 の観測で、かに星雲のX線強度の30~40分の1ほどまでのX線天体が観測できる。
1日ではかに 星雲のほぼ100分の1(10 mCrab)、半年もすると、1000分の1の強度(1 mCrab)まで観測可能とな り、1000個ほどのX線天体が観測できる予定である。
X線強度が強いX線天体のほとんどは我々の銀河系内にある中性子星やブラックホールが普通の星と連星系をつくっている天体である。
クエ サーと呼ばれる巨大ブラックホールをその中心にもつ銀河系外の天体は、10 mCrab以下の弱いX 線源である。
もし、1mCrabの強度まで観測できればほぼ7~8割が銀河系外のクエサーとなる。 これまでの全天X線監視装置は銀河系内にあるX線新星やX線源の爆発や変動を観測の対象にしてきた。MAXI は検出感度がこれまでより1桁ほど上がるため、銀河系内のX線天体は勿論のこと、 銀河系外のX線天体の変動を広く監視できる初めての全天X線監視装置として登場したわけであ る。」
なぜ、時間をかける程、感度が上がるのか?
これは、デジタル加算平均処理を行うことで、光ショットノイズを低減し、S/N比を上げる手法と思われます。
例えば、
「1周 の観測で、かに星雲のX線強度の30~40分の1ほどまでのX線天体が観測できる。」
(かに星雲のX線強度を1Crabと定義するらしい。Crabとはかに座の略称です。)
1周で得る感度を、かに星雲のX線強度の33分の1として、30mCrab。
92分で1周なので、1日では、24hr * 60 / 92 = 15.6周する。
光ショットノイズは、加算量の平方根で減るので、x16倍すると、1/4に減る。
よって、
30/4=8mCrabとなる。
更に、半年となると、(365*24*60/2)/92=2856周。
ノイズは、1/53となり、33/53=0.6 mCrab
までノイズが低減できる。
理研のサイトにはこうして、加算平均により次々とノイズが低減された滑らかなX線源宇宙星図が掲載されている。
« フィン型構造のシリコン発光ダイオードで光増幅現象を観測 | トップページ | イトカワの近赤外線分光反射率測定結果 »
「デジタル画像」カテゴリの記事
- ■ ImageJ の話 〜 NIH Image の進化形 〜(2018.08.19)
- イメージスキャナでタイムラプス その2 氷の融ける様子を連続スキャンしてみる(2018.08.17)
- 身の回りの解像度を統一指標で一覧にしてみた(2018.08.16)
- 鯛の彫り物 2種(2018.08.07)
- VRゴーグルの解像力を 視力で表記したらどうだろうか?(2018.07.29)
« フィン型構造のシリコン発光ダイオードで光増幅現象を観測 | トップページ | イトカワの近赤外線分光反射率測定結果 »
コメント