ナイフエッジで光学解像度 MTF を測る
リコーのデジカメのサイトとかを見ていると、レンズに自信があるのか、よくこんなグラフを見ます。
「MTF曲線」です。
このグラフでは、横軸は、センサの幅方向に相当し、14.2mmの2倍の28.4mmのセンサの中心から周辺までのレンズ特性を意味しています。
赤と青は、撮影パターン(テストチャート)の細かさを意味し、
光軸中心(横軸0mm)にて、
15本/mm チャートにて、 MTF(縦軸)は、85%
45本/mm チャートにて、 MTFは、65%という意味です。(%3)
この解像度(MTF)の測定をいとも簡単に行う方法が有り、しかもフリーウェアで入手できると知人からさきほど教えてもらい嵌りました。
SFRedge_v6.exe 、Peter D. Burns さんの作品です。
http://www.i3a.org/resources/
ISO 12233 Slant Edge Analysis Tool (latest format)
※Non-Members でもFree です。
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[■2019-4-12追記]
佐野様より現時点で利用可能なプログラムのURLをご紹介頂きました。
http://www.imagescienceassociates.com/mm5/merchant.mvc?Screen=SOFTWAREsfredge&Store_Code=ISA001
詳細はコメント欄をご覧ください。
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[2017-2-27追記]
※上記URLは、リンク切れしていましたので検索して該当(と想われる)ページを見つけました。
http://losburns.com/imaging/software/SFRedge/index.htm
SFR-edge
ゥ Copyright 2008-2010 Peter D. Burns, all rights reserved
・Windowのみ。
・SRFedge_v6(2008b).zipがプログラム本体。
・Matlab用に書かれたプログラムをWindowsプログラムとして配布しているようです。
・あらかじめMCRInstaller.zipをダウンロード(%1)、インストールして、Matlabのランタイム(%2)を入れてからSFRedge_v6.exeを実行します。
・SRFedge_v6(2008b).zipには、サンプル画像も2つ入っているので、取説無しでも使い方は大体分かりました。
■ES-10000Gをテスト その1
さっそく、イメージスキャナのテストをやってみました。
ES-10000Gでスキャンしておいた画像をやってみました。
■検査画像
1200ppi
グレースケール
ナイフエッジを右下に2度ほど傾けてあります。
水平のままではうまく処理できませんでした。
■計測結果:
Half-samplingと書いてある空間周波数は、1Cycle分(=2画素分)の解像度である、600ppiのことです。
25.4mm/600ppi = 0.0423 mm の逆数、
23.62 cy/mm
です。
例えば、プラテンガラスの上に、ナイフエッジを載せてスキャン。
焦点位置を0.1mm変えてスキャン。
上記グラフを全ての画像で作成し、もっとも大きなMTF値を得た焦点位置が、最適焦点位置となります。
結構、使えそうなツールです。
市販で入手できるES-10000GのRGB画像を一通り計測したらまた報告します。
(追記)ES-10000GのMTF評価報告
%1)MCRInstaller.zipをダウンロード
サイトにて、予め、氏名とメールアドレスを登録すると、
MCRInstaller.zipをダウンロードするために必要となる
Username:
Password:
が自分のメールアドレスに、 @imagescienceassociates.com
から送信されてきます。迷惑メールに類別される可能性が高いです。
%2)Matlabランタイム
作者 Peter D. Burns さんの書いた「SFR-Edge Installation and User’s Guide 」より。
『The software is was generated using the Matlab (version 7.7, R2008b) Compiler, and requires
MCR (Matlab Component Runtime) software libraries from The Mathworks inc. The MCR should
be installed before attempting to install and run SFRedge.』
%3)45本/mm チャートにて
リコーのグラフには、右上に 「1/30倍」と書いてあります。
これは実験条件を記載しており、正確には、45本/mmの1/30の線数のチャートを撮影して実験したものと推定されます。
つまり、28.4mmの30倍、852mmの画面がセンサ一杯に映る倍率でピントを合わせ、そのターゲットとして、1.5本/mmのチャートを置いて撮影していると推定されます。
%4)誤植
SRFedge_v6(2008b).zip
SFR-Edge が正式名称ですので、zipの名称は誤植のようですね。
[2010-10-19追記]
このシンプルなナイフエッジで結像系(レンズ)のMTFを計測する手法は、
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18218354
「現・岐阜大学の藤田先生が医用デジタルX線システム用に提案されたもの」だそうです。
IEEE Trans Med Imaging. 1992;11(1):34-9.
A simple method for determining the modulation transfer function in digital radiography.
Fujita H, Tsai DY, Itoh T, Doi K, Morishita J, Ueda K, Ohtsuka A.
Dept. of Electron. & Comput. Eng., Gifu Univ.
[2011-3-4追記]
■EPSON ES-10000GのMTF測定結果
■NIKON LS-1000のMTF測定結果
以上
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はじめまして。
SFRedge_v6.exeを使ってみようと思い、Matlabランタイムを入手するためにサイトに氏名とメールアドレスを登録しましたが、何も返信がありません。
朝の10時頃に登録し、迷惑メールアドレスからも外していますが、18時現在の今になっても何も届きません。
今は対応されていないのでしょうか。
投稿: A | 2019年4月 4日 (木) 17時52分
Aさん はじめまして。いちのせです。
この記事を書いた日時の通り、私が試したのは8年前のことです。リンク切れがあったので、2017年にURLを更新しましたが動作確認はしておりません。
現状、対応しているかどうかは判りません。
Aさんのご報告が最新情報です。
もし進捗ありましたら、お知らせください。
投稿: いちのせ | 2019年4月 4日 (木) 20時57分
いちのせさん、メッセージありがとうございます。
まだ連絡はありませんが、進捗ありましたらご報告します。
投稿: A | 2019年4月 5日 (金) 13時13分
はじめまして。
いちのせさん、興味深いソフトの紹介、有難うございます。
現在は、ランタイムを含め、下記URLで配布されているようです。
http://www.imagescienceassociates.com/mm5/merchant.mvc?Screen=SOFTWAREsfredge&Store_Code=ISA001
私の環境(Win7Pro 64bit)では、管理者特権での実行と本体フォルダのアクセス権の変更で、起動・解析(サンプル画像使用)ができました。
保存先によっては、管理者特権のみでも大丈夫かもしれません。(この辺りはレガシーなソフトに共通するノウハウですね。)
Aさんの参考になるか分かりませんが、お知らせまで。
投稿: 佐野 | 2019年4月12日 (金) 00時15分
佐野様 貴重な情報をありがとうございます。
さっそく頂いた情報をblog本文に追記させて頂きます。
感謝です。
投稿: いちのせ | 2019年4月12日 (金) 00時37分
佐野さん、情報をお寄せいただき、ありがとうございました。
久々にこちらの書き込みを見てみたところ、佐野さんの情報に気付き、早速ランタイムをダウンロードしてみました。
結果、SFRedge_v6.exeを実行することができました。ありがとうございます。諦めなくて良かったです。
いちのせさん、佐野さん、お二方に感謝です。
ありがとうございました。
投稿: A | 2019年4月17日 (水) 17時36分
Aさん お役に立てて良かったです。(^^)
佐野さん 改めて最新リンク先URL情報のご提供に感謝します。
投稿: いちのせ | 2019年4月17日 (水) 20時13分
ImageJのマクロにSFRがあるそうです。
先日、論文を通じてYさんに教えて頂きました。
投稿: いちのせ | 2024年9月14日 (土) 10時53分