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2010年5月30日 (日)

日本写真学会に行ってきた その1

日本写真学会へ行ってきました。

お知らせblogでご案内した:日本写真学会年次大会で発表します。

の発表に行ったのが第1の目的。

内容は、OrthoScan の概要と最新のシステムの簡単な報告でした。

持ち時間20分(質問時間抜くと15分)で実際にスキャンで得られた土器画像まで見せたので大忙しでした。

せっかくプレゼン資料を整えたので、概要をここでもお伝えします。

■オルソ画像とは何か。
まずそもそも、「オルソ画像」とは何か。ですが、
これは、正射投影画像、orthogonal でして、
例えば、ビルをヘリに乗って地上から眺めた画像が普通の画像。
人工衛星から撮影するとオルソ(に近い)画像。
と言えば解りやすいでしょうか。
模式図と実際に「円筒」を撮影した事例が下記の画像です。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/telecentric.png

デジカメやビデオカメラで人の顔を近づいて撮ると両耳は頬の陰に隠れて見えませんよね。

オルソ画像ではこれが見えるというわけです。

■オルソ画像を得るためのレンズ

通常のデジカメのレンズを中心投影レンズと言います。
これは原理的には、ピンホールレンズと同じで、被写体のイメージがレンズを通して結像される時、被写体と像の対応点を結ぶと全て同じ点(ピンホール)を通過します。

これに対して、オルソ画像を得るためのレンズを「テレセントリックレンズ」と言います。

テレセントリックレンズ(略してテレセンレンズとも呼びます)を使うと、地球外に出て撮影してこなくても、至近距離から、オルソ画像を得られます。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/telecentirc_lenz.png

この図では、「片側テレセントリックレンズ」と呼ばれるレンズで、左側に被写体、右側の結像面にセンサやフィルムを置きます。
この図では、レンズが2枚と間に 絞り があります。

何故、平行光成分(に近い角度の光線)のみが結像に寄与するのかというと、しかけは、対物レンズの「焦点位置」に置いた 絞り による効果です。
焦点位置とは、対物レンズに平行な光が入射した時の結像位置です。
その位置に、絞りを配置すると、結果として、対物レンズの被写体側から入ってくる光の内、光軸に平行な光成分のみがセンサ側に抜けることができます。
それ以外の光は、この絞りによりカットされます。

■テレセンレンズをロボットで動かす

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/orthoscan1000_300.png
この、テレセンレンズ+センサのユニットをX-Y-Zロボットに取り付けてガシャガシャと動かして、ロボットの稼働領域全ての画像を得ます。

■バンドスキャンで広い領域をスキャンする

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/band_scan.png

現在、OrthoScanで採用しているレンズは、有効幅150mmです。
これを150mmよりも大きな被写体に対して、ジグザグとスキャンしていく。
で、画像を繋いでいく。

デジカメやスキャナで巨大画像の継ぎ接ぎをやったことのある人は良く解ると思うけど、中心投影レンズでは、被写体との距離変動が、倍率変動となる。
そのため、継ぎ接ぎができない!
しかたないので、Photoshopなどを使って、ぼかしたり、回転したり、歪ませたりして、ごまかしながら。。繋ぐ。

でも、テレセントリックレンズのすごいところは、
被写体との距離変動が、倍率変動にならないところ。
なので、スキャンした画像は pixel 単位でだれでも繋ぐことができる。

こうして作った初代 OrthoScan-1000は、
1 m x 50 cm の範囲をスキャンするシステムでした。
20 pixel / mm で、2万 x 1 万 = 2億画素を発生します。
8bit grayscale なので、最大1ファイル 200M Byteです。
レンズの作動距離は、300mmあるので、25cm程度の深さは、ロボットでガシャガシャとZ軸を動かして、最適ピント画像を自動で合成します。
こうして、
直径 Φ 50cm
高さ  100cm
の土器の表面の 508 ppi の子細な画像を得ることができます。

このモデルの完成までに構想から丸3年かかりました。2004年12月にクライアントのご好意で、スキャナ本体を「パシフィコ横浜」で行われていた国際画像学会2004の展示会で展示しました。

分解すると 最大でも 20kg.
現地で1時間で組立できて、直ぐにスキャンできる。
このシステムは、実際に既に5年以上の運用実績があります。

土器のサイズもまちまちですが、スキャン時間は、5〜10分程度/点。
セッティングや貴重な土器の取扱もありますので、凡そ作業効率は、20〜60点/日 程度だそうです。
カメラマンの方なら ピン ときますかね。この程度の作業効率。
当時、Windows OSがちょっと不安だったので、Linux OS ベースで作りました。
PC内蔵ハードディスクのトラブル以外は、今まで一度もトラブルがありません。
非常に安定したシステムに仕上がりました。

■ 巨大化へ そして カラーへ

ベースロボットは、液晶テレビの生産ラインにも使われるロボットなので、どんどん巨大化しています。現在は、3mロボットもあります。
このロボットが 20μm (約1200 ppi)の位置再現精度で動く。

ラインセンサも 6年前にはまだ、使えるカラーセンサがありませんでした。

「使える」とは、

(1)リニアリティが確保できる

(2)つまり、イメージスキャナとして使えるきちんとしたラインセンサです。

現時点で入手可能なカラーラインイメージセンサを搭載したカメラを一通り評価しました。

全て、カメラリンク対応のラインカメラです。

もっとも高価なD社12bit品はボロボロでした。今回の我々の用途に使えません。
2台も買っちゃったので技術者と直接議論しましたが、リニアリティは諦めていました。海外に設計開発拠点があるため商品企画を国内から制御できないようです。

やはり日本国産はイイです。

N社とT社はまあいい勝負でした。どっちがスゴイかというと。。

まあ詳細知りたい方は、こっそり教えます。(爆笑^^)

■ OrthoScan Color の完成

昨年 2010年3月。いよいよカラー版が完成しました。
クライアントから装置写真公開の許可は得てないので学会でチラっと投影しただけですが、スペックは下記の通りです。

有効スキャン範囲: 1540 mm x 1230 mm
イメージタイプ:  48bitカラー (各色16bit)
光学解像度:400ppi
メカ解像度:800ppi
有効画素数:48504 x 38740 = 19億画素
1スキャンで、 最大11.3GBの画像が生成されます。
もちろん、TIFF保存できません(^^)

部分プレビュー、部分スキャン機能も搭載しているので、
普通のA4、800ppi、48bitカラーの
カラーイメージスキャナとしても さくさく動きます。^^)
まあ、やらないでしょうけど。

ベイヤー配列デジカメ換算すると、 75億画素
7.5G pixel となり、いよいよ ギガピクセルスキャナ のおうだいに乗ったことは、間違いありません。

まだ世界に1台しかありません。
活躍が楽しみです。

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