強誘電体の氷と宇宙生命起源
強誘電体の氷と宇宙生命起源
ちょっとおもしろい記事がありました。
http://www.jaea.go.jp/02/press2009/p09102001/hosoku.html
水(H2O)からなる氷は、マイナス200度以下になると
結晶構造が変わり(相変化し)、「分極」するらしいです。
分極することで、強誘電体となる。
その結果、
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「様々なイオンを呼び寄せたり、氷同士が引き寄せあって合体成長したりすることが可能となり、」
「重力のみの力で凝集が起こる場合に比べて、より大きな天体がより早く形成できることになります。」
「宇宙に強誘電体氷が存在するかどうかは、惑星、生命、物質の形成シナリオに決定的な影響を与える基本的かつ重要な問題と言えます。」
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とのこと。
通常の氷:氷1h(こおりいちえいち)
と
−200度以下で相変化が起きて構造が変わる:氷XI(こおりじゅういち)
構造を解析するためには、中性子解析を行う必要があります。
ラウエが世界で初めて金属にX線を当てて、銀塩フィルムで
「ラウエ斑点」を撮影した。これと同じ原理で、中性子線を結晶にあてて、その反射スポットから、結晶の構造を明らかにします。
(ワトソンらも、こうした方法で、DNAの結晶構造を明らかにしました。)
日本では、茨城県東海村に研究用の原子炉があり、これで構造を解析します。
(私も昔、学生時代にこの東海村の中性子解析の施設で行った実験に立ち会ったことがあります。)
宇宙空間の温度が−200度以下ってのは当然なので、氷XI(こおりじゅういち)
として存在している可能性が高いけど、これを検証する方法が無かった。
今回の発表は、11.7μmの遠赤外線波長域でスペクトルを観察するとどちらの氷かを判別できる可能性がある。という発見。
おもしろい。
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