スキャナは濃度計になるか? その1
この写真は、長野県精密工業試験場(岡谷市)に設置してあります、日立製作所製のU-4000形分光光度計の写真です。
中はこんな感じ。
回折格子(プリズム)で分けた単色光ビームをハーフミラーで2手にに分けて、片方の光を参照光にしながら、非測定物の透過光を積分球に入れて、フォトマルチプライヤで検出します。
参照光との相対比較で測定するために非常に精度の高い分光測定装置です。
今回、弊社製品赤外線イメージスキャナの反射光と透過光のそれぞれのスキャン値が、実際の濃度計を使って計測した値とどの程度相関があるのか、調べるためにテストチャートを固定して、分光光度計とスキャナで得た値を比較してみることにしました。
岡谷のこの施設は、長野県の公的機関の測定装置で、県内の製造業者であれば、事前にレクチャーを受けることで、時間貸しをしてくれます。
■テストチャート
まず透過光用のテストチャートですが、以前、『検出光学濃度限界に挑む』 でも使用したエドモンドオプティクスのグレースケールチャートを使用しました。
■U-4000の測定精度
まず、日立製作所の分光光度計 U-4000の実力評価。
キャリブレーションターゲット(素材:)として、何も置かずに測定します。
入射光が直線ビーム、検出側は積分球ですので、測定条件は、(0/d:Normal/diffuse)ということになるのでしょうか。
写真濃度の世界では、銀塩系とカラーネガの色素系で拡散透過光濃度と平行光透過濃度が異なるため、測定条件を明示するようですが、今回は、平行光透過濃度に相当することになると思われます。
エドモンドのグレースケールは、銀塩系のものと思われます。ベースフィルムは、PET(ポリエチレンテレフタレート)かな?
キャリブレーションを終えた後、何も試料をセットせずに再度計測した結果が以下の図です。
900nm前におおきなバラツキが1つあります。これは、可視光〜近赤外線領域まで1つのセンサでは測定できないため、センサ切り替え部分に相当します。
それ以外は、バラツキは、0.1%程度に収まっています。
つまり、100%透過率に対して、0.1%程度の精度があることになります。
光学濃度 Optical Density (OD値)換算で、3ケタですから、3.0までは厳しいかなというところでしょうか。
15段のもので、¥6,000-です。
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