スキャナは濃度計になるか? その2
日立製作所 分光光度計 U-4000を使って エドモンドオプティスクの透過型グレースケールチャートの分光透過率を測定しました。
測定波長範囲は、380nm~1100nmです。
測定結果の名称は、15段ステップの内、最初をbase、次をstep1としてあります。
15段目は、step14となります。
baseは、ご覧の通り、600nmよりも短波長側で徐々に透過率が落ちます。
近赤外域はかなり安定してフラットなベースフィルムです。
濃度ステップ側は、逆に赤外域ほど透過率が下がる傾向があるようです。
縦軸を透過率10%にしたグラフが下記です。
更に、縦軸を対数表示したグラフが下記です。
このグラフを見ると、近赤外用のセンサ PbS に切り替えているのは、700nm以降のようです。
光学濃度は、
OD = -1* log(T)
T: 0~1.0
です。
可視光の代表として λ=555nm。
近赤外線の波長として、弊社赤外線イメージスキャナの標準機の波長 λ=850nmについて、透過率をサンプリングし、濃度ステップを横軸に、縦軸を光学濃度にした校正曲線を作成しました。
このグラフの見方は次の通りです。
可視光(555nm:緑三角のグラフ)にて、ベース濃度は、0.0574
5段目(ベースを1と数えると6段目)は、y=0.1977 * 5+0.0574=1.1033
15段で濃度3.0になるとエドモンドは言ってるので、1/3で濃度1.0と言ったところでしょうか。
相関係数は、フォー9となっていてかなりきちんと造っています。
一方、近赤外域は、上記赤■ラインの通りです。
可視光に較べて 1割ほど濃度値は割り増しになっているようです。
銀塩系は、Ag粉末を使った濃度制御のため、散乱光は波長依存があるということなのでしょうかね。空が青い理由と同じで、波長が長くなる程散乱されずに銀粉末で吸収されたままになるのかも知れません。
次回、いよいよイメージスキャナを使って取り込んだ値と、濃度計で測定した値を比較します。
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