水銀レス蛍光ランプ
キセノンガスを水銀の替わりに封入した蛍光ランプがいよいよ店舗や看板用に使用され始めた。
http://www.ushiolighting.co.jp/news/07/07-11.html
http://www.ushio.co.jp/jp/NEWS/products/20080422.html
このランプは、当時水銀封入タイプしかなく、スキャナ用というとハロゲンランプが用いられていた時代に、私が、イメージスキャナ用光源として新規開発するランプメーカーを探した時代に見つけたメーカーの1つだった。
技術史としては、キセノンガスを封入した蛍光管は、東芝の中央研究所の方が、1980年代に、やはり環境を考え将来水銀レスが必要となると考え研究する中 で、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン)を片っ端から評価する中で、有望な希ガスとして選定したガスでした。
実際に商品化されたのは、1986か87年に発売された東芝のファクリミリでした。小型化と始動時の光量安定性を当時に実現し、画期的な商品でした。課題は、光量不足でした。
今でこそ冗談話のようですが、当時のビジネスジャンプという雑誌にこの新ランプ開発の記事が漫画になって掲載されていて、これを読んだ社員がイメージスキャナへの採用を検討し始めたのがきっかけでした。
技術的には紆余曲折、課題難題山積みでしたが、どうにか製品化にこぎ着けて登場した商品が A4版のカラーイメージスキャナ GT-4000です。
当時、シャープからA3版のカラーイメージスキャナが150万円で販売されていた時代であり、19万8千円という価格は、衝撃的でした。
その後も引き続き光量アップを目的に、キセノンガスを封入した蛍光管の開発をさまざまな照明機器メーカーに働きかける中で、迅速かつ的確な対応をしてくださったのが、当時のウシオ電機で商品企画担当の室長だった鈴木さんでした。
http://www.ushio.co.jp/documents/technology/lightedge/lightedge_02/ushio_le02-02.pdf
この総論は、日本照明学会でも委員会活動を行い、一緒にまとめ上げた資料の一部です。
http://www.imeasure.co.jp/pdf/NihonShoumeiGakkai.pdf
現在、みなさんがコンビニで使用するコピー機の読み取り部分は、ほぼ全てデジタル化により、イメージスキャナの一部となっていて、この照明装置は、ほぼ全てがこの外面電極方式のキセノンガスを封入した希ガス冷陰極蛍光管となっています。
店舗用、看板用に商品化が行われ、ようやく東芝の中央研究所で開発に着手された方の願いが現実化したことになります。
希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン)を片っ端から評価してから、25年以上が経過しています。
開発行為は実用化されるまで本当に気の長い話であるとともに、目の前でまずは応用できる用途を開拓していくことも重要なポイントなのでしょう。
キセノンガスを封入した蛍光ランプは、イメージスキャナ部に採用された事で、実用化の一歩を踏み出したことになります。
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