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2008年8月23日 (土)

イメージスキャナのbit数

イメージスキャナのbit数(センサが出力する階調に相当します)が12bit、16bitが当たり前なのに対して、産業用ラインセンサカメラは、8bitが大半です。近年ようやく10bit品が出てきました。

私も以前反射原稿が対象であれば、
>OD 2.2であれば、7bitもあれば良い。
シェーディング補正に1bit消費しても、8bitで十分と公言してきました。

本当にそうでしょうか。。
今回はその検証です。

前回の「OD 2.2であれば、7bitもあれば良い。」の議論は、
真っ黒のゼロに対して、OD値2.2の値が量子化時に闇夜に埋もれないための最低条件を計算したものでした。
つまり、
OD値2.2の反射率(最大値を1.0として) は、10^(-1*2.2)=0.0063
約0.63%の反射率となります。
7bit表記では、最小値が 1/(2^7)=1/128=0.0078
余裕を見て、8bit表記では、最小値が 1/(2^8)=1/256=0.0039
となりますので、「暗闇か、もしくは、OD値2.2の反射原稿が有るのか」の差違はかろうじて検出できることになります。

今回は、次の議論をしたいと思います。
『真っ暗闇から徐々に明るくなる緩やかなグラデーションがある時に、そのグラデーションの差違を肉眼が検出できないようにするために必要なbit数はいくつか?』

さて、

『真っ暗闇から徐々に明るくなる緩やかなグラデーションがある時に、そのグラデーションの差違を肉眼が検出できないようにするために必要なbit数はいくつか?』

です。

肉眼の検出特性を数式でシミュレーションした色は、CIEが1931年に定義した下記の色となります。

CIE XYZ  → CIE L*a*b* 

a* = 500*(f(X/Xn)-f(Y/Yn))
b* = 200*(f(Y/Yn)-f(Z/Zn))
Y/Yn > 0.008856 の時
L* = 116*((Y/Yn)^(1/3))
Y/Yn <=0.008856 の時
L* = 903.3*Y/Yn

ただし

Y/Yn>0.008856 の時 f(t)=t^(1/3)

f(t)=7.787*t+16/116

色のお話−かりんと! より転用させて頂きました。感謝。
http://karinto.mine.nu/?color#o9ab732c

明度L*についてグラフを書くと次のようなグラフです。

http://imeasure.cocolog-nifty.com/photos/fig/l_vs_gamma2.jpg

濃い実線が 明度 L*のグラフ(縦軸を1/100)にしてあります。

淡い実線が ガンマ 2.2のディスプレイの逆ガンマです。

ガンマ2.2はsRGB始め現在ネット上のターゲットディスプレイとしてデフォルトとなった色空間のガンマ値です。

ここで、肉眼が検出できない差違を1と仮定します。

産業用の印刷機器の色再現の目標として、ΔE > 1.0 であれば、肉眼が色差を検出できる限界である、と言われるためです。

ΔEは、L*a*b*で表現される3軸空間座標系の2つのベクトルの差で表記されます。

この色から、bit変換による量子化誤差が最も顕著に表れるのは、L*の0の近い箇所であることが解ります。

具体的には、

Y/Yn <=0.008856 の時
L* = 903.3*Y/Yn
の領域です。
L*は0〜100
Yは0〜100
の値ですから、
Ynで割り算されて規格化されているので1/100にして考えると、Y/Yn <=0.008856の領域では、約9倍の感度を肉眼が持っていることになります。
反射率で言うと 0%、1%、2%の反射率の領域は9倍の感度を持っているため、0.1%,0.2%の精度で数値化する必要があることになります。

言い換えると、
Y/Yn <=0.008856の時、L* = 903.3 * 0.008856 = 8
ですから、明度8以下の領域では、0.1%の反射率変化を肉眼は検知できるということになります。

実際に、L*=8より下の反射率(Y/Y0)を計算してみます。
また、隣接明度の差違の分解に必要なbit数を計算します。

L*    Y/Y0    bit
8    0.008856     6.8
7    0.007749     7.0
6    0.006642     7.2
5    0.005535     7.5
4    0.004428     7.8
3    0.003321     8.2
2    0.002214     8.8
1    0.001107     9.8
0    0.000000      

以上から、最も暗い明度0と次の明度1との差違、反射率にして 0.001107(=0.11%)を肉眼は見分けることができるので、bit数としては、最低 9.8bit必要という結論となります。

最後に前回の議論との整合を取ります。

OD値    Y/Y0(=反射率)    L*
2.2    0.006310     5.7

最も濃い反射原稿は2.2であると仮定して、L*値に換算すると5.7となります。

L*=8以下の明度は、直線の式です(L* = 903.3*Y/Yn)ので、各明度差はいずれも、反射率換算で先ほどと同じ 0.001107 となります。

よって結論は同じで、最も濃い反射原稿の近傍のグラデーションをデジタル入力機器(スキャナやカメラ)で量子化した場合に、その量子化境界を肉眼で検知されないためには、10bitのbit数が必要ということになります。

結論:『真っ暗闇から徐々に明るくなる緩やかなグラデーションがある時に、そのグラデーションの差違を肉眼が検出できないようにするために必要なbit数は10bitである』

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