ImageJ その1 明るさ調整
【宣伝】iMeasure Scan発売中!
NIH Imageというソフトをご存知だろうか。
マッキントッシュユーザーで画像処理にはまっていた人たちの間では、知る人ぞ知るフリーウェア。
フリーでありながらも、早くから16bitTIFF画像をサポートし、深い諧調画像データを扱う上でアドビのフォトショップと並んで愛用してた。
このソフトウェアは、Java言語にて書き換えられて、現在、一通りのOSプラットホームの上で動作するソフトウェアとして、生まれ変わった。
という名で現在流通している。
最近知ったのは、更に日本語化されて1万円を切る価格で販売されている。
(:リンク切れ)
(注記:2009.8.7現在、販売元が次のURLに移動していました。テキセル工房 :リンク切れ)
ウィルスや機密漏洩の観点からきちんとした企業や公共機関では、フリーウェアのインストールを嫌う。
有償での販売は、こうした方にはありがたい動きだと思う。
NIHは、National Institutes of Helthという米国の機関の1人の開発者(Wayne Rasband 開発者に会った方の記事)が生み出した。
もともと医療関係の用途から生まれたため、画像処理に対するポリシーを時々感じて面白い。
一応、私もDigital Darkroom と競っていた頃(もちろんAdobeに買い取られる前)からフォトショップは使っているので、画像処理の思想の差を感じる時がある。
そんな ImageJの面白さを時々発信しようと思います。
まずは、「明るさ調整」についてです。
まず16bit画像を1つ。これは、蛍光イメージスキャナ GELSCANを用いて得たタンパク質を電気泳動したゲル画像です。SyproRubyという染料で蛍光染色しています。真っ暗ですが、ラインツールにてグラフ化すると800(65535に対して800ということ)をピークにしている画像であることが分かります。
Image⇒Adjust⇒Brightness/Contrast を使って明るくします。
明るくして、同様に同じ箇所のラインツールのプロファイルをプロットすると
同様に最大値800で、『画像データに変化がない』ことが分かります。
つまり、ImageJは、 Image⇒Adjust⇒Brightness/Contrast という処理では、
画像データに全く手を加えず、見えだけを操作していることになります。
この部分が、ムムッ。やるな。と感じたところです。^^)
つまり、値を読む、定量することを優先しており、見栄えよくすることは副次的であるという考えです。
言い換えると、生画像の値を非常に重要視しているということになります。
一方、フォトショップは、例えば同様の機能、明度/コントラストやレベル補正を使って画像の見えを変えると生画像を操作し、値が変わっていきます。
つまり、フォトショップは、最終仕上がりがゴールであって、そこに向かって生画像データを加工していくという終点を意識した設計であると言えます。
もっとも、ImageJにおいても、Processという処理を実施するとフォトショップ同様に値が変化して行きます。
Process⇒Gamma にて 0.45(ガンマ2.2に相当)を入力した画像とプロファイルプロット結果です。
先ほど800だった最大値が、5000を超えていることが分かります。
次回は、Image⇒Adjust⇒Brightness/Contrast のTipsを書こうと思います。
なんせ 0~65535というレンジの広さは膨大ですぐに階調の迷路に嵌ります。
Image⇒Adjustは、16bitの世界をスイスイとサーフィンするための必須のテクニックかと思います。
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